2021年11月21日にNHKで放送された「日曜美術館」の【ルーブル美術館・美の殿堂の500年 〜“太陽王”のもとで花開くフランス美術】の回をまとめました。
今回の記事はパート2になります。
前回のパート1はこちら☚からご覧いただけます。
番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪
王立絵画彫刻アカデミーの設立
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
1663年、ルイ14世の命によりルーヴル宮殿に「王立絵画彫刻アカデミー」が設立されます。
その目的は、王の業績を歴史として、後世に伝えるための芸術家を育てることでした。
ルイ14世の言葉です。
「余にとって最も大切なものを諸君に委ねよう。それは余の栄光である」
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
そんなルイ14世が若い芸術家たちに絵画の模範として示したのが「歴史画」でした。
「歴史画」とは神話や宗教の世界を表した絵画のことです。
プッサン《サビニの女たちの略奪》
《サビニの女たちの略奪》1637-1638年
ニコラ・プッサン
ルーヴル美術館蔵
この作品では古代のローマ建国にまつわる伝説が描かれています。
女性の少なかったローマ人が、サビニと呼ばれる近隣の部族の女性を奪って子孫をなして、後世の繁栄につなげたという物語です。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
今まさに女性たちが略奪されている、その情景が身振りや顔の表情でリアルに描写されています。
この絵には見る者を絵の中に引き込む劇的な手法も取られています。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
画面右端には兵士から見つかるまいと母親の服の中に隠れる娘。
その隣の画面中央では、今まさに捕らわれようとしている娘の姿が。
そして一番左ではついに捉えられてしまった娘と、画面の右から左に略奪が進んでいくその流れが描かれています。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
アカデミーではこうした「歴史画」を絵画のランクの最上のものとしました。
ルーベンス《マリー・ド・メディシスのマルセイユ上陸》
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
”王の画家にして画家の王”と呼ばれた巨匠、ルーベンスの作品もその一つです。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
こちらはルイ14世の祖母にあたるマリー・ド・メディシスの生涯を描いた、全24枚からなる連作です。
その奥深い色彩世界はアカデミーの画家たちに衝撃を与えました。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
イタリア・メディチ家出身のマリー・ド・メディシスが、フランス王家に嫁ぐためマルセイユに上陸する場面が描かれています。
現実に起きた出来事を描いているにも関わらず、画面上にはラッパを吹く天使、海にはポセイドンやニンフ(ギリシア神話などに登場する精霊)など神話の登場人物が描かれています。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
マリーのドレスは銀色に輝いています。
ルーベンスは色を重ねる事で、その奥深い色彩表現を生み出しました。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
水と戯れるニンフの肌をよく見ると、薄い青や灰色も使われているのが分かります。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
海の表現は白や青といった色を重ねる事で、水流の流れまで見事に捉えています。
このように王の絵画コレクションは、アカデミーの画家たちに多くのインスピレーションを与えたのです。
『ルイ14世の宝石用の櫃(ひつ)』
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
ルイ14世の時代には、それまでにない豪華絢爛な工芸品も生み出されました。
こちらの『ルイ14世の宝石用の櫃』は王の命によって作られた純金の宝石箱です。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
全体に精緻な金細工が施されています。
モチーフとなっているのは、アカンサスの葉です。
アカンサスは「不滅の力」や「永遠の命」を象徴する植物とされてきました。
じつはこの時代に作られた金細工工芸はほとんど残されていません。
王が相次いで行った戦争による莫大な費用を賄うために、豪華な工芸品は溶かされてしまったのです。
ルイ14世の戦争に対して次のように語っています。
「領土を拡大することは、王に最もふさわしい、最も気持ちのよい仕事である」
豊かな芸術が花開いた一方で、ルイ14世の時代は周辺国との戦争に明け暮れた時代でもあったのです。
『クロトナのミロ』
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
こちらはルーヴル美術館内ピュジェの中庭にある彫刻、《クロトナのミロ》。
フランス人彫刻家のピエール・ピュジェの作です。
ミロとは古代ギリシャの英雄で、強靭な肉体の持ち主でした。
老いてなお衰えない自分の力を過信し、切り株を引き抜こうとします。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
しかしその手が切り株に挟まったのが仇となり、野獣の餌食となってしまいます。
獣の爪が足に食い込む様子が、リアルに表されています。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
かつての勇者は自らの虚栄心の為に、苦痛を味わい、悶えています。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
ここに表されているのは、過去の栄光に捉われ、身を滅ぼす人間の愚かな姿。
まさに人間の本質をえぐり出す芸術です。
『4体の捕虜』
ヨーロッパの覇者となる事を夢見たルイ14世。
近隣諸国との戦争は30年に及びました。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
こちらの4体のブロンズ像は、それぞれフランスが打ち負かした4つの国を表したものです。
かつては王の銅像の足元に置かれていたといいます。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
王の欲望のために起こる戦争の最中、市民は重税に苦しみ、食べ物も手に入らない状態になります。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
こうして次第に民衆の心も太陽王から離れていくことになったのです。
今回の記事はここまでになります。
パート3へと続きます。
【日曜美術館】花開くロココ美術③【美術番組まとめ】
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