【日曜美術館】花開くロココ美術③【美術番組まとめ】

日曜美術館

2021年11月21日にNHKで放送された「日曜美術館」の【ルーブル美術館・美の殿堂の500 太陽王のもとで花開くフランス美術】の回をまとめました。

今回の記事はパート3になります。
前回のパート2はこちら☚からご覧いただけます。

番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

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ルイ14世亡き後

1715年。70年以上に渡って王として君臨したルイ14世が亡くなります。
この時フランスは財政破綻寸前、危機的な状況にありました。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

私は死にゆくがフランスは生き続ける
死の間際、王太子にこのような言葉を残したと伝わります。

ルイ14世がこの世を去ったことで、他国との戦争は減り、人々の暮らしも平和が戻りつつありました。

シャルダン《赤エイ》

平和で豊かな時代は芸術を育みます。
店先には庶民の家を飾るための絵が並ぶようになりました。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

そこで特に人気があったのが静物画です。
ルイ14世の時代には重んじられていなかったジャンルの絵画です。


《赤エイ》1725-1726年
ジャン・シメオン・シャルダン
ルーヴル美術館蔵

舞台は生活感が漂う家庭の台所。
主役である”エイ”は当時人気の食材でした。

エイの内蔵は生々しく描かれ、非常にリアルです。
写実的に描かれることで、リアル感を出しています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

一方、テーブルの上に置かれた牡蠣は、近くで見ると荒いタッチで描かれています。


しかし遠くから見ると、本物のように見えるのです。

後の印象派にも通ずる技法ですね!

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

エイの横に描かれた猫。
ここに猫がいる事で、画面全体に動きが出ています。

もし猫がいなかったら寒々しい絵になりますね。

サロンの開催

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

次第に市民から「優れた芸術をもっと見たい」という声が出るようになります。

そこで開催されたのが、以降の美術史においても重要な存在となる「サロン」です。
アカデミーに所属する芸術家の作品が、原則年に一回、ルーヴル宮殿のサロン・カレ(方形の間)で公開されるようになったのです。

人々は夢のような美の世界に酔いしれました。
ここに新たな美術の潮流が生まれたのです。

ロココ美術

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

ここで生まれたのが華やかで繊細なロココ芸術でした。


《オダリスク》1743-1745年
フランソワ・ブーシェ
ルーヴル美術館蔵

こちらはロココを代表する画家であり、王立アカデミー出身のフランソワ・ブーシェの作品です。

タイトルの「オダリスク」とは、トルコの宮殿に仕えた女奴隷の意です。

ブーシェがここで表現したかったのは、生身の肉体が放つ輝きでした。
新しい時代、フランスにそれまでとは違う美意識が花開きました。


《シテール島の巡礼》1717年
アントワーヌ・ヴァトー
ルーヴル美術館蔵

ルイ14世が亡くなった2年後に描かれた《シテール島の巡礼》。
作者のヴァトーもまた王立アカデミーの出身です。

シテール島はギリシャにある島で、神話の中では愛の女神ヴィーナスの出身地である事から、男女が結ばれる場所とされてきました。
ここで描かれているのは恋愛模様を楽しむ貴族たちの姿です。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

画面の右側にいる3組のカップルがこの作品の中心的存在になっています。

一番右側、男が女の耳元で愛をささやいています。
その隣では迷いながらも男の手を握る女の姿。
画面を更に左に進むと、恋に落ちて水辺に向かう男女の姿が続きます。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

画面の奥にいる恋人たちは、キューピッドの祝福を受け、愛の世界へと船出して行きます。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

このように一枚の絵の中に時間の経過を描く表現は、太陽王・ルイ14世の治世に、若き芸術家への模範として示した絵画に用いられていたものでした。

亡き王がかつて憧れた美は、新しい時代の美と深くつながっていたのです。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

19世紀の美術評論家トレ・ビュルガーは次のような言葉を残しています。
かつて芸術は神のため、君主のために作られた。
そしておそらく、人間のための芸術が作られる時がやってきたのだ

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

自らを太陽王を称し、フランスが芸術大国となる礎を築いたルイ14世
王の栄光を後世に伝えることを目的としたアカデミーでしたが、やがて芸術家たちの探求によって、自由を謳歌した美へと変わっていったのです。

今回の記事はここまでになります

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. […] 今回の記事はここまでになります。 パート3へと続きます。 【日曜美術館】花開くロココ美術③【美術番組まとめ】 […]

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