【美術展レポート】VR作品「色絵月梅図茶壺・八橋蒔絵螺鈿硯箱」@ミュージアムシアター(東京国立博物館)

2020年

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当ブログの記事を書いているmasayaと申します。

さて今回は「TNM & TOPPAN ミュージアムシアター」で上映中の
日本工芸の名宝 色絵月梅図茶壺・八橋蒔絵螺鈿硯箱
についてのレポートです。
作品解説や感想を書いていきます。
是非最後までご覧になってください♪

鑑賞日:2020年1月5日㈰
「VR作品「日本工芸の名品 色絵月梅図茶壷・八橋蒔絵螺鈿硯箱」」
会場:東京国立博物館内・TNM & TOPPAN ミュージアムシアター
上映時間:約35分
料金:500円(高校生以上)
*窓口のみの販売で「総合文化展セット券」というものがあるそうです。
僕は当日、東京国立博物館の入館料金として620円。
そしてミュージアムシアターの鑑賞料金で500円の、合計1120円支払いました。
ところが、「総合文化展セット券」ですと1000になり、120ほどお得になります!

ジュース一本分ですが、節約は大事!!

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VR作品「日本工芸の名宝 色絵月梅図茶壺・八橋蒔絵螺鈿硯箱」@ミュージアムシアター

トーハクに行った際には必ず立ち寄る事にしている「TNM & TOPPAN ミュージアムシアター」。
今回は取り上げられた作品は、
仁清の《色絵月梅図茶壷》と
尾形光琳の《八橋蒔絵螺鈿硯箱
でした。

毎回趣向を凝らした演出で楽しませてくれるミュージアムシアターですが、今回は二点とも工芸品という事で、普段の展示では中々見る事のできない底の面だったり、蓋を外した状態を見ることできます。
さらに、まるで自分が小さくなったかのように作品の内部に入り、そこからの視点で表面に施された意匠を楽しむ演出もありました。

そういった視点で作品を鑑賞したことがなかったので面白かったですし、より作品の世界観を堪能することができました。

それでは、それぞれの作品について簡単にご紹介していきます。

重要文化財《色絵月梅図茶壷》仁清、東京国立博物館蔵

読み方は「いろえげつばいずちゃつぼ」。
ちなみに「茶壷」とは茶の湯の道具で、摘んだ茶葉を保管したりするものです。

仁清(にんせい)江戸時代初期の陶工で、京都で活躍しました。
野々村仁清の名で呼ばれることもありますが、今回の上映中は「仁清」と呼ばれていたので、この記事もそれで統一しようと思います。

今は「野々村」はつけないのかな?

 

高さはおよそ30センチで、重さは約3000グラム。
実際に持ち上げると、ふわっと軽い印象だそうです。

表面には咲き誇る梅の図が金・銀・赤で表されています。
ごつごつとした幹は老木で、それが巧みに折れ曲がって螺旋を描いており、一つの面からだけでなく、360度どの角度から鑑賞しても楽しめるようになっています。

上部に見える黒い円は満月を表しており、元々は銀色で描かれていましたが現在は黒く変化しています。当初はきっと銀色に輝いていたことでしょう。

この時代の茶壺というと、無地でわびた趣向のものが普通でした。
色絵月梅図茶壷》のように絵付けをしたものなどは、あり得なかったのです。
そこに挑んだのが仁清の斬新さです。

この《色絵月梅図茶壷》は本年1月28日から4月19日まで、東京国立博物館の本館展示室にて展示が行われます。

国宝《八橋蒔絵螺鈿硯箱》尾形光琳、東京国立博物館蔵

 

読み方は「やつはしまきえらでんすずりばこ」。
硯箱とは筆記用具を入れる箱の事で、こちらの作品の高さはおよそ14センチです。
通常、硯箱はここまで背が高いものではありませんが、光琳はスッと伸びる燕子花を表現するためにこのような高さにしたと考えられます。

上蓋は箱にかぶさる被せ蓋作りになっています。
箱は上段と下段に分かれ、上段に筆記用具を、下段には紙を収めるようになっています。
(紙を収める箱を、料紙箱(りょうしばこ)といいます)

上蓋と側面にはカキツバタとそこに掛かる橋が表されています。
舞台は三河の国の八橋。
伊勢物語の第九段で、主人公の在原業平(あらわらのなりひら)が水辺にカキツバタが広がる風景を前に詩を謳う場面です。

らころも
つつなれにし
ましあれば
るばるきぬる
びをしぞ思ふ

「都に残してきた愛する人を想い、はるか遠くまで来てしまった自分を寂しく思う」
という内容です。
また、各句の頭文字を繋げると「かきつはた」となり、目前に広がるカキツバタにかけられています。
これは折句(おりく)と呼ばれ、平安時代には高貴な嗜みとされました。

 

光琳の有名な作、国宝《燕子花図屏風》も同じ主題を扱っています。

しかし、主人公である在原業平は描かれていません。
光琳は物語の場面を説明的に描写するのではなく、モチーフのみを象徴的に描くことで表現しました。
光琳の洗練されたデザイン感覚が伺えます。

 

続いて《八橋蒔絵螺鈿硯箱》の意匠(デザイン)について見てみましょう。
箱の表面全体は黒漆で仕上げられています。
橋は鉛と銀で、カキツバタは金の蒔絵と螺鈿で表現されています。

面白いのは「橋」の表現です。
往来した人々の痕跡を残すためにわざと橋に傷がつけられているのです。
このような細かな気配り・表現はさすがの一言に尽きます。

下段の料紙箱の内側と上段の底の面には、美しい水の流れが蒔絵で表されています。
そうです、つまりここで橋の下を流れる水が表現されているのです。
そしてそれはカキツバタを潤す水でもあります。

今回の上映ではその光景を箱の内側から見る事できるのです。
周囲に流れる水と、その向こうに広がるカキツバタと橋の光景。
光琳が作り上げた革新的な美の世界を、現代の我々はバーチャルリアリティーで体験することができるのです。

素晴らしい時代になりましたね!

こちらの作品は残念ながら今後の展示予定は未定だそうです。

さいごに

いかがでしたでしょうか。

作品を実際に眺めた鑑賞するのも楽しいですし、本などの資料で作品について調べるのも勉強になります。

けれども、自分が小さくなったように内部から作品を鑑賞するバーチャルリアリティー体験は「TNM & TOPPAN ミュージアムシアター」でしか味わえません。

ちなみに鑑賞後にSNSで「#トーハクで月梅八橋」と投稿し、その画面を係の人に見せるとシールがもらえますよ♪

記念に良いですね(^^♪

是非トーハクに足を運ばれた際には、こちらも併せてご鑑賞ください!
お勧めですよ★

最後までご覧いただきありがとうございました。

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