2019年7月23日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#315 国立西洋美術館「松方コレクション展」~ゴッホ、モネ、ルノワール…歴史に翻弄された奇跡の名画が大集結!~】の回をまとめました。
今回の記事はパート8になります。
前回のパート7はこちら☚からご覧いただけます。
番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪
《睡蓮、柳の反映》モネ
《睡蓮、柳の反映》1916年
クロード・モネ
国立西洋美術館蔵
こちらが「松方コレクション展」の最後に展示されていた、展覧会の目玉ともいうべき作品、クロード・モネの《睡蓮、柳の反映》です。
キャンバスの上半分が無くなってしまっており「全然修復されていないのではないか?」と思われる方もいるかと思いますが、現在の修復の考え方の基本は”現状維持”であり、無くなった部分を足すということはしないのです。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
ですので、この作品の修復はオリジナルとして残されている部分に対して行われ、埃やカビを除去し、安全に展示ができる状態にしたといいます。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
この作品はパート1の記事でもご紹介した《睡蓮》と同じく、松方幸次郎がモネから直接購入した作品です。
さらにその睡蓮と同じく、オランジュリー美術館の『睡蓮』の装飾壁画とも高さが一致しています。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
第二次世界大戦中に日置釭三郎(ひおきこうざぶろう)がパリからコレクションを疎開させたときに、保管方法を誤ってしまい、こうなってしまったと考えられます。
残念ですが、状況が状況だけに仕方がないですよね。。。
上下逆さまの状態で置かれていて、下から水がきて、このような状態になったと考えられます。
この作品は2016年にルーヴル美術館から発見されました。
発見された当初は、何の作品か判別できないほど状態が良くなかったといいます。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
しかし幸いなことにモネのサインがはっきりと残されており、そこからかつて松方コレクションにあった『睡蓮』である事が分かりました。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
よくよく見てみますと、柳の影の大事なモチーフは若干残されています。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
これはオランジュリー美術館の『睡蓮』と同じモチーフである事が確認されました。
柳の実態は描かれず、水面に逆さまに映った柳の姿が描かれているのです。
ガラス乾板の発見
松方コレクションの作品群がロダン美術館に保管されていた際に、写真家のピエール・シュモフが撮影した写真があり、それらのネガが近年フランスの建築文化財メディアワーク・写真部門から見つかりました。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
およそ360点の作品が1作品ずつ撮影されたガラス乾板が発見され、そこには損傷前の《睡蓮、柳の反映》も記録されていました。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
この時代すでにフィルムのカメラがありましたが、あえてガラス乾板で撮影されています。
その理由は、フィルムの伸び縮みがなく保存に適しているからです。
「やっぱりガラス乾板で撮っている意味があるな~」と山田五郎さんも感心されていました。
AIによる復元
ガラス乾板のおかげで作品の全体像が判明しました。
また、残されている部分からも色彩も予測する事ができます。
それらの情報を元にAIを使って、更にモネの他の作品200点以上を学習させ「推定復元」という形での全体像が公開されました。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
それがAIが推定復元した《睡蓮、柳の反映》の全体像になります。
こうやって見ますと、また印象が変わりますね~
学芸員の方のお話では、このAIの推定復元をベースに、研究者と議論をして更に展開していくとの事です。
いかがでしたでしょうか。
「松方コレクション展」の記事は以上になります。
こちらの展覧会は既に終了していますが、国立西洋美術館所蔵の作品については常設展で展示されている事がありますので、「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」などの特別展に行かれた際には立ち寄る事をおすすめします。
もちろん、常設展だけ見にいくのも十分楽しいですけどね♪
最後までご覧頂きありがとうございました。
コメント
[…] 今回の記事は以上になります。 次のパート8で「松方コレクション展」の記事はラストです。 最後は展覧会の目玉作品だった、幻のモネ《睡蓮、柳の反映》についてまとめていきます。 こちら☚からご覧いただけます。 […]