画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
こちらの《ラス・メニーナス》はベラスケスが晩年、57歳の時に描いた作品で、まさに集大成ともいえる傑作です。
王女マルガリータの周りには、女官と低身長症の付き人、そしてベラスケス本人も描かれています。
画中の人物も《モンタニェースの肖像》と同じく、こちら側を見ています。
それでは一体、何を見ているのかいうと…
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
それは画中の鏡を見ると分かります。
鏡に反射して写っているフェリペ4世夫妻が、彼らの視線の先にいるのです。
そしてベラスケスもそのフェリペ4世夫妻を描いている、という構図になるのです。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
ところがベラスケスが描いている、このサイズのフェリペ4世夫妻の肖像作品はありません。
更に奇妙なことに、ベラスケスが画中で描いている絵の大きさは《ラス・メニーナス》(3メートル18センチ)のサイズと非常に近いのです。
つまり《ラス・メニーナス》の中のベラスケスは、《ラス・メニーナス》を描いているとも考えられる、色々な想像ができる一枚なのです。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
画面の奥には外へ出ようとする侍従も描かれており、更に奥に空間がある事を暗示しています。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
画中のベラスケスの胸元には、赤い十字が描かれています、
これはサンティアゴ騎士団のマークです。
かつてイスラムに支配されていたスペインが、レコンキスタ(国土回復運動)で土地を取り戻して行った際に活躍したのが、サンティアゴ騎士団です。
スペインでは非常に名誉のある、位の高い騎士団なのです。
本来サンティアゴ騎士団には貴族でなければ入る事ができません。
ベラスケスは貴族ではなかったので、これは異例中の異例であり、フェリペ4世のバックアップがあっての事でした。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
当然そのように出世するベラスケスを快く思わない人たちも出てきます。
「なんで王様に気に入られているだけで!」みたいな人たちが
出てくるわけですね。
ベラスケスは絶対に失敗しないように、言動や行動を注意していた事でしょう。
コンベルソ出身という出自でありながら、出世して、サンティアゴ騎士団にまでなった彼の”人生”が、ベラスケスの作品からは感じられると中野京子先生は言います。
そういった背景を踏まえてベラスケスの作品を見ると、どんな絵であれ、状況であれ、見るべきものはその人の内面であり、魂である、そんな思いが込められていると感じられるのです。
単に順調に出世した人との絵とはまた違う、という事ですね。
いかがでしたでしょうか。
今回の記事は以上になります。
続くパート4では、ベラスケスとルーベンスの作品について見てまいります。
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