【ぶらぶら美術・博物館】「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」展④

ぶらぶら美術・博物館

2020年2月4日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#336 「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」展】の回をまとめました。

番組内容に沿ってそれだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。

見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい。
前回のパート3はこちらからご覧いただけます☟☟
【ぶらぶら美術・博物館】「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」展Ⅲ

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アントニン・レーモンド

アントニン・レーモンド(Antonin Raymond)

続いては、アメリカ人建築家のアントニン・レーモンド(1888-1976)についてご紹介します。
1888年にチェコで生まれたレーモンドは、建築家フランク・ロイド・ライトに学び、1919年に帝国ホテルの建設の際に来日しました。

1922年には独立して、「レーモンド設計事務所」を立ち上げます。
後に日本で活躍する様々な建築家や家具デザイナーに影響を与えました。
ちなみに、レーモンド設計事務所は今でも代々木で営業をしています。

妻のノエミ・レーモンドも家具のデザインなどをしていました。

銀座の教文館ビル群馬音楽センターなど、いわゆるコンクリート建築を手掛ける事が多かったのですが、ブルーノ・タウト同様に日本に合った日本的な家屋を設計し、木造の素晴らしい建築を残しています

今では当たり前ともいえる
生活に洋風を和風をミックスする
インテリアに気を配る」といった発想はこのレーモンドが原点と言われています。

《旧井上房一郎邸》アントニン・レーモンド

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

アントニン・レーモンドが手掛けた個人の建築で代表的なのが、パート3で取り上げた井上房一郎邸になります。

ブルーノ・タウトを高崎に招いた人ですね。

現在群馬県高崎市にあるこちらの建築ですが、実は元々西麻布にあったレーモンドの自邸と全く同じ作りをしています。
井上房一郎レーモンドの自邸を見て、「全く同じものを建てたい」とリクエストし、高崎の大工さんの技術を結集して実現しました。

現在、こちらの《旧井上房一郎邸》は高崎市美術館の敷地内に保存されており、一般公開されています。

ちなみにオリジナルのレーモンドの自邸は残念ながら現存しておりません。

ジョージ・ナカシマ

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

続いてご紹介するのは、レーモンド設計事務所にも在籍していた家具デザイナーのジョージ・ナカシマです。
特に「椅子」の作品が有名な家具デザイナーです。

1905年にアメリカで生まれた、日系移民です。
非常に優秀な人物で、ハーバード大学の大学院に進み、その後すぐにMIT(マサチューセッツ工科大学)へ移籍するほどでした。
1933年、28歳の時には世界一周の旅に出て、沢山の建築も見て回りました。

その後自分のルーツでもある日本にやってきて、前川國男氏らと共にレーモンド設計事務所で活躍しました。

1940年にアメリカに帰りますが、太平洋戦争がはじまった事で、日系人強制収容所に抑留されてしまいます。
ですがそこで日系二世の大工さんと出会い、木工技術や日本伝統の大工技法について教わる機会を得ます。

ジョージ・ナカシマは、材料の調達から、実際の制作作業、更にはお客さんの手に渡るまですべてに関わりたいという思いから、家具製作に傾倒していきました。
建築ですと、長いプロセスの中の一部分しか携われることができず、それが満足できなかったのです。

その思いから、1944年にペンシルベニア州で家族と共に一貫生産の木工家具ブランドを立ち上げました。

ジョージ・ナカシマの作品の特徴は、木目の美しさを非常に大切にしている点です。
切られた事で一度死んでしまった木に「二度目の命を与えるナカシマは、ウッドワーカー木の匠と称されました。
木の特性をよく観察し、美しい家具を作りました

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

こちらはそのジョージ・ナカシマが手掛けた椅子の代表作、《コノイドチェア》です。

一見変わった椅子ですね。
よく見ると脚が2本しかありません。

これ座って大丈夫なの?倒れたり折れたりしない?

と思われた皆さま、ご安心を。

ちゃんと計算された上で作られていますので大丈夫です。
実際に破損率は極めて低かったと言われています。

じつはここに、収容所にいた頃に出会った日本の大工から学んだ「匠の技」が使われているのだそうです。

例えば、背の部分と座面の継ぎ目は、ほぞ組と呼ばれる組まれ方をしています。
圧縮した木材を組み、そのあと木が膨張することで絶対に外れないようにしているのです。

また脚の部分は実は畳の上でも使えるようにするために、この形になっています。
これは「畳ずり」と呼ばれる作りで、擦っても畳に傷が付かないようになっています。

パート4はここまでです。
次のパート5でラストです!
最後は、イサム・ノグチについてまとめていきます。
【ぶらぶら美術・博物館】「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」展Ⅴ

コメント

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  2. […] 見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい。 前回のパート4はこちらからご覧いただけます☟☟ 【ぶらぶら美術・博物館】「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」展④ […]

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