【ぶらぶら美術・博物館】「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」展③

ぶらぶら美術・博物館

2020年2月4日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#336 「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」展】の回をまとめました。

番組内容に沿ってそれだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。

見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい。
前回のパート2はこちらからご覧いただけます☟☟
【ぶらぶら美術・博物館】「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」展②

パート3では引き続き、剣持勇の設計した椅子の名作からご紹介していきます。

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《丸椅子》剣持勇

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

こちらも剣持勇の代表的な椅子の作品です。

日本らしい素材を使って丁寧に編み上げた椅子で、「ラタンチェア」と呼ばれます。
赤坂にあったホテルのラウンジ用に製造されました。

こちらは新潟県長岡市にある「ワイ・エム・ケー長岡」という会社が製造しています。
制作時間は一脚作るのに、なんと10時間!
また途中で手を止めてしまうと形が歪んでしまうため、10時間ぶっ通しで作業をしなければならないそうです。

この椅子は日本の家具として初めて、1964年にニューヨーク近代美術館(MoMA)の永久コレクションにもなり、世界的にも評価を受けた作品です。

ちなみに現在も購入可能で、お値段は一脚およそ20万円だそうです。

《柏戸椅子》剣持勇

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

こちらも剣持勇のデザインした椅子です。
建築家の丹下健三が設計した「熱海ガーデンホテル」のロビー用に製造されました。
読み方は「かしわどいす」です。

山形県にある天童木工という会社が製造しており、山形が生んだ大横綱「柏戸」の横綱昇進を祝って贈呈された事から「柏戸イス」の愛称で呼ばれています。

中は一応空洞になっていますが、それでも重さは78キロあるそうです。

ちなみにお値段は一脚、70万2千円(税込み)で受注生産となっています。

タウトと高崎の竹細工

ここで剣持勇の師匠、ブルーノ・タウトに話を戻します。

来日して一年経った1934年、実業家の井上 房一郎(いのうえ ふさいちろう)に招かれ、群馬県の高崎市で伝統工芸の製品化に取り組みます。

タウトが注目したのが、高崎の竹細工でした。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

こちらは竹で作られた裁縫箱になります。

タウトが日本の職人と共同で、日本の材料を使って新しく考案した編み方で作られたものになります。

なんともお洒落ですね

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

こちらは本立てで、幅を伸ばしたり縮めたりができる画期的なものでした。

そして折りたたんだ状態は本の形になるという、こちらもなんともお洒落な作りをしています。
一流のかんな職人が手掛けているので、木の動き自体もとてもスムーズだそうです。

ぜひ実際に畳んだり広げたりしてみたいですね。

タウトは元々建築家なので、空間に合わせて物を考えるというスタンスでした。

このようなお洒落な家具を数多く作り、銀座にあった井上房一郎の家具工芸品店「ミラテス」で販売をしていました。
店構えから看板、商品を包む包装紙まで、1930年代とは思えないどれも大変モダンなデザインでした。

タウト井上房一郎は約400種類の製品を作りました。
高額な商品が多かったようですが、当時の富裕層に評判だったようです。

タウトの手がけた建築

ところで、タウトって元々建築家じゃなかったの?

ここまで出てきたのは全て家具や工芸品ですが、タウトは建築を手掛けなかったのでしょうか?
タウトは世界的に有名な建築家なのに、日本に建築がないのはなぜでしょう。

それは「建築の仕事が来なかった」からです。

世界的に有名なのに?

理由の一つは社会主義の思想を持っていたからと言われています。
ですが、決定的な理由は彼の建築が「日本っぽすぎるから」というものでした。

実はTOTO初代社長のの大倉和親(おおくら かずちか)の自邸の設計の依頼が舞い込みますが、
こちらも「日本っぽすぎる」という理由で没になっています。

この頃のタウト完全に日本に染まっていますが、注文する方からすると
世界的な建築家に頼むのに、なんで日本っぽいんだ」という事になっていたのです。

しかし、日本で唯一現存するタウトが手掛けた建築があります。
熱海にある「旧日向邸」です。
こちらは重要文化財に指定されています。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

こちらは貿易商を営んでいた日向利兵衛(ひゅうがりへい)の別荘でした。
タウトに建築を依頼したきっかけは、日向利兵衛が家具工芸品店「ミラテス」に足を運んだのがきっかけでした。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

階段の手すりの部分には、が使われています。
確かに「和」な部分はありますが、日本人が設計してもこうはならない要素が含まれている建築である事が分かります。

パート3はここまでです。
パート4のつづきはこちらから☟☟
【ぶらぶら美術・博物館】「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」展④

コメント

  1. […] パート2はいったんここまでで。 パート3でも剣持デザインの椅子の作品についてご紹介していきます。 【ぶらぶら美術・博物館】「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」展Ⅲ […]

  2. […] 見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい。 前回のパート3はこちらからご覧いただけます☟☟ 【ぶらぶら美術・博物館】「モダンデザインが結ぶ暮らしの夢」展Ⅲ […]

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