【第16回名画鑑定大会】開運!なんでも鑑定団【美術情報まとめ】

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2021年3月23日にテレビ東京で放送された「開運!なんでも鑑定団」の【第16回名画鑑定大会】のお宝についてまとめました。

番組内容に沿ってそれでけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。

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第16回名画鑑定大会

画像出展元:テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」より

今回の鑑定士は「思文閣」代表取締役田中大氏「栄善堂画廊」代表取締役山村浩一氏の2名。

ゲストコメンテーターは京本政樹氏。

M・シャガールのリトグラフ14点

画像出展元:テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」より

描かれているのは旧約聖書に登場するイスラエルの12部族。
ユダヤ教では人物画を描けないという事で、動物や鳥などで表わした作品です。

画像出展元:テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」より

依頼人が8年前に神田の古書店で、このリトグラフが収められている版画集『エルサレムウィンドウズ』を購入したが、14点すべてが切り取られていた。
そこでインターネットでバラ売りされているものを1枚1枚探し、3年間かけて40万円ほどで買い集めた。

画像出展元:テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」より

「よくこれだけ全シリーズ集められたと思います」と山村浩一氏

もともとこの作品には原画があり、エルサレムの西部にハダッサ医療センターという病院があり、その中にユダヤ教の教会がありました。

画像出展元:テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」より

1962年シャガールがこの教会のために12枚のステンドグラスを完成させました。
そのステンドグラスの完成を機に、12枚にプラスして『燭台』と『扉絵』という2枚のオリジナル版画を合わせて出版しました。

画像出展元:テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」より

M・シャガール(1887~1985)はもともとロシアの生まれで、フランスに帰化をしているユダヤ人です。
この作品は作家にとってもすごく重要な位置づけの作品です。

これだけ並ぶのは壮観で、なかなかまとまって見られることは少ないので、是非大切にして欲しい。

岸駒の虎図

画像出展元:テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」より

作者は江戸時代後期に活躍した虎の名手、岸駒(がんく)と判明。
依頼人は金沢の美術館に代表作が展示されていると知り見に行ったが、迫力はぜんぜん負けていないといいます。

画像出展元:テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」より

本物で間違いない。
落款を見ると、「越前介 岸駒」というふうに入っています。
越前介は60歳から名乗ってますので、60歳以降の作品ということになります。

画像出展元:テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」より

岸駒は50歳の時に虎の頭と手足を入手します。
それまでの虎図、円山応挙のものがよく知られていますが、ちょっと漫画チックに見えるくらい、もっと目が大きいです。

画像出展元:テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」より

岸駒が描く虎は目が小さくなっており、眼光の鋭さが際立っています。
これには中に”金”が入れられています。

尾形光琳の掛軸

画像出展元:テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」より

残念ながら尾形光琳の作品ではありません。
尾形光琳は菊図を描いています。

画像出展元:テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」より

岡田美術館の『菊図屏風』というのが有名ですが、琳派は非常に装飾的だと言われます。
その理由は、花の一つ一つの大きさや形が同じだからです。
そういったものを画面にリズミカルに配置していく。

画像出展元:テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」より

ところが依頼品を見ると、菊に写実が入っている。
これは少し上向きの菊になっていますが、こういう描き方は琳派ではしません
本来はすべてこっち向いていないとダメなのです。

「もうパッと見た時から違うなと思いました」と田中大氏

レオナール・フジタの版画

画像出展元:テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」より

依頼人が35年ほど前に出張でパリに行った際に、ぶらりと立ち寄った画廊で一目惚れし、70万円で購入。
帰国後に額縁を変えようと画廊に持ち込んだところ、店主から「500万円位で買えるなら買いますよ」と言われたそう。
しかし購入しても間もなかったので、断ったのだとか。

画像出展元:テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」より

レオナール・フジタの版画作品、本物です」と山村浩一氏。

画像出展元:テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」より

1926年、フランスの版画職人ダニエル・ジャコメによって制作された複製版画。
当時ジャコメのもとにはフジタだけでなく、ピカソシャガールといった名だたる作家たちが集まって、自らの版画の制作を依頼・共作していました。

画像出展元:テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」より

ジャコメが最も得意としていたのは、”ポショワール版画”と呼ばれる、アルミの板に穴を細かく開けて彩色をし、何十層にも重ねていく技法で、肉筆画と間違えられるくらい発色のよいものでした。

ジャコメ作品は日本の国内の市場ではほとんど流通しておらず、山村氏も実物を見たのは初めてだそう。

竹内栖鳳の掛軸

画像出展元:テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」より

お宝は、「動物を描けばその匂いまで描く」といわれる竹内栖鳳(たけうちせいほう)の掛け軸。

画像出展元:テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」より

リューマチを患っていた栖鳳は、湯治のために湯河原の老舗旅館の天野屋に度々通っていた。
その頃、天野屋の番頭を務めていた依頼人の祖父が、京都の栖鳳の自宅を訪ねた際に、この掛軸を土産に手渡したそう。

画像出展元:テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」より

竹内栖鳳は「東の大観、西の栖鳳」と呼ばれていました。

画像出展元:テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」より

横山大観は非常にテーマの大きいものを描いているのに対し、栖鳳は今回のお宝のような身近な題材を作品にしました。

画像出展元:テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」より

省筆(しょうひつ)」と呼ばれるように、栖鳳は無駄な線は一切描きません。
藁と戯れている子犬が、飼い主の帰宅に気づき、上目遣いに見ているという光景。
よく見てみると、尻尾を振っているのがわかります。

枯れたような渇筆を自在に操って、見事にその一瞬を捉えているというのが栖鳳の神髄です。

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