2021年1月30日にTOKYO MXで放送された「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」の【ジョルジョーネとデューラー ヴェネツィアゆかりの二人の天才】の回をまとめました。
番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪
イントロダクション
今回取り上げるのは、ヴェネツィア・ルネサンスの天才ジョルジョーネと、北方ルネサンスの天才デューラーです。
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
水の都として知られるヴェネツィア。ここは古くから国際的な貿易都市として栄えました。
また、中世には共和国として独立していました。
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
この港町には自由で因習にとらわれない気風があふれ、フィレンツェとは異なるもう一つのルネサンスが花開きました。
ヴェネツィア派の巨匠といえば、ベッリーニ、ティツィアーノ、ヴェロネーゼ、そしてティントレットなどが知られています。
画家ジョルジョーネ
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
そんな中でも、”夭折(ようせつ)の天才”といわれる、ジョルジョーネは別格と言えます。
彼は巨匠ティツィアーノの兄弟子でもありました。
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
彼が描いた裸婦像《眠るヴィーナス》は後世に大きな影響を与えました。
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
また《嵐(テンペスタ)》は、美術史上、最も謎多き作品と言われています。
背景に見える繊細な風景描写は、ジョルジョーネの持ち味の一つです。
早くに亡くなったため、作品数は決して多くはありませんが、時代も国も超えて影響を及ぼしています。
ジョルジョーネ《ユーディット》
《ユーディット》1504年頃
ジョルジョーネ
エルミタージュ美術館蔵
自然風景の中に、優美な女性がたたずんでいます。
こちらの《ユーディット》は、旧約聖書の物語に取材した作品です。
ユーディットは街を救うために敵の将軍ホロフェルネスを誘惑します。
そして将軍が酔いつぶれた隙に、その首を切り落したのです。
ジョルジョーネのこの作品では、切り落とされた首はユーディットに踏みつけられています。
踏みつけられている男の顔は、作者ジョルジョーネの自画像だとも言われています。
『ユーディット』は西洋絵画では、頻繁に取り上げられるテーマです。
画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より
こちらはバロック絵画の巨匠、カラヴァッジョの作品です。
ユーディットが絵画に登場する際には、首を抵抗なく切り落としたり、その生首を平然と手に持ったりと、”残酷な女性”として描かれるのが多いのです。
しかしジョルジョーネの《ユーディット》からは、そのような印象は感じられません。
どちらかかいえば、優雅で物静かな雰囲気が漂います。
さらにどこか官能的な雰囲気すら感じられます。
しかし、足では切り落とした生首を踏みつけています。
この作品ではジョルジョーネによって、女性の”優雅さ”と”残酷さ”の二面性が表わされているのです。
旧約聖書の世界をここまで妖艶に描くことができたのは、自由な気風のヴェネツィアならではだったのかもしれません。
>>北方ルネサンスの巨匠、アルブレヒト・デューラー