【日曜美術館】フランスの古城で新発見 幕末の美①【美術番組まとめ】

日曜美術館

2021年10月17日にNHKで放送された「日曜美術館」の【将軍からの贈り物 フランスの古城で新発見 幕末の美】の回をまとめました。

番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

スポンサーリンク

イントロダクション

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

今回の舞台はフランスにあるフォンテーヌブロー宮殿
中世・12世紀以来、歴代君主に愛された古城です。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

ここには数多くの美術品が残されています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

そんなフォンテーヌブロー宮殿で一昨年、黄金の屏風蒔絵が施された漆器など日本の美術品が新たに見つかりました。
それは幕末の徳川将軍がフランスの皇帝に贈ったものでした。

この宮殿で160年の間、一目に触れる事なく保管されていたのです。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

幕末の日本はそれまでの鎖国が終わり、西洋との交流が始まります。
ヨーロッパの君主に一体何を贈ればいいのか
初めての外交に際して、幕府は贈答品に深い意味を込めて贈っていたのです。

160年振りに発見された日本の美術品

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

パリから南東におよそ60キロ。
セーヌ=エ=マルヌ県のフォンテーヌブローにこの宮殿はあります。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

今回幕末の贈答品が見つかったのは、2021年6月に開催された美術の祭典がきっかけでした。
毎年行われるこのイベントではテーマが設けられ、2021年は「日本の美」でした。

作品展示からシンポジウムまで、200以上のプログラムが3日間の会期中に行われました。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

その準備の過程で、徳川幕府からの贈答品が宮殿から発見されたのです。
その数全部で27点(1点の屏風、10幅の掛軸、漆器を含む16点の芸術工芸品)。

想定外の発見により、急遽日本とフランスの専門家がこれらの品を調査。その上で特別展が開催される運びとなりました。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

こちらは六曲一隻の屏風、《佐野の渡図屏風(さののわたりずびょうぶ)》。
作者は狩野春貞房信(かのう しゅんてい やすのぶ)。

描かれているのは馬に乗って雪の旅路を行く貴族の姿です。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

調査行ったフランス人の研究者の一人、エステル・ボエール氏。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

佐野の渡図屏風》は藤原定家の和歌に基づいた作品です。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

登場人物を画面の左側に配し、右側にスペースを取ることで、旅先で迎える夕暮れ時の寂しさを表現しています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

また雪の部分は胡粉を使うことで、その白さをより際立たさています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

こういった豪華な金屏風はフランス人に好まれると言います。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

通常、屏風の裏には唐紙が貼られますが、この《佐野の渡図屏風》では裏側もすべて金箔で覆われています

このような「総金箔貼り」は公式な贈答品の証しでした。
では、どのような経緯でこの屏風はフランスにもたらされたのでしょう。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

時は幕末の1858年。
ペリーが来航して5年後のこの年、幕府は米・蘭・露・英・仏の欧州5か国と修好通商条約を締結します。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

時のフランス皇帝であるナポレオン三世は、自身のブロンズ像を幕府に贈ったといいます。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

その返礼の品として、14代将軍徳川家茂(とくがわ いえもち)が「金箔屏風」を贈ったと記録が残されています。
徳川幕府が皇帝に3つの屏風を贈ったとされ、《佐野の渡図屏風》はそのうちの1つであると推定されています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

屏風は日仏国交の始まりとなる記念の品だったのです。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

今回発見された贈答品の中には、屏風の他に豪華な掛け軸が10幅ありました
四季のそれぞれを描いた8幅の彩色画と、山水の景色を描いた2幅の水墨画です。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

これら掛軸を持参したのが、文久遣欧使節団
1862年に江戸幕府が初めてヨーロッパに派遣した使節団です。

彼らの目的は、約束していた開港や開市の延期の交渉でした。
約1年かけて欧州6か国を訪れています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

使節団が最初に訪問した国がフランスでした。
ここでナポレオン三世に謁見。掛軸を含む13箱の贈答品を進呈したと記録が残っています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

水墨の山水図を見てみましょう。
こちらは画面下部。手前には2本の大きな松、そして橋と東屋が描かれています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

画面上部に目をやると、遠くの切り立った山が見えます。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

エステル・ボエール氏は「描き方に特別な工夫がある」といいます。
『水墨画の時は鮮やかにしろ』と絵師に指示がありました。(その指示を受けて)金泥をかなり塗りました

淡白な水墨画に金泥を引く事で、より華やかさを演出しています

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

絵の周りの表装。
じつはこの部分の生地が、使節団が持ち込んだものと特定する根拠になりました。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

幕府の文書に表装で使う生地が事細かく記録されていたのです。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

その記述と、今回発見された掛軸の表装のものが完全に一致。
この事から幕府は念入りに贈答品の準備をしていたことも分かりました。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

その準備の甲斐もあって、使節団は行く先々で手厚い歓迎を受けます。
そして使命であった開市開港の五年延期を取り付けました。

今回の記事はここまでになります
パート2へと続きます。
【日曜美術館】フランスの古城で新発見 幕末の美②【美術番組まとめ】

コメント

  1. […] 今回の記事はパート2になります。 前回のパート1はこちら☚からご覧ください。 […]

タイトルとURLをコピーしました