2019年11月19日にBS日テレで放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#327 国立西洋美術館「ハプスブルク展」】の回をまとめました。
番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい。
前回のパート1はこちらからご覧頂けます☟☟
【ぶら美】ハプスブルク展《Ⅰ.フェルディナント2世のコレクション》
《神聖ローマ皇帝ルドルフ2世(1552-1612)の肖像》
《神聖ローマ皇帝ルドルフ2世(1552-1612)の肖像》1592年頃
ヨーゼフ・ハイツ(父)
ウィーン美術史美術館蔵
2018年に東京・渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで行われた「ルドルフ2世の驚異の世界展」の、あのルドルフ2世です。
あのアルチンボルドもルドルフ2世の宮廷画家でした。
《スプーン・フォーク》
画像出展元:「ハプスブルク展」公式図録より
こちらはルドルフ2世がコレクションした水晶でできたスプーンとフォークです。
水晶だけでなく、金とルビーもあしらわれた豪華な品です。
ルビーはそれぞれフォークに55個、スプーンには77個使われており、鑑賞用であったと考えられています。
元々この品はルドルフ2世の所有物ではありませんでした。
1542年にリスボン宮廷(リスボンはポルトガルの首都)を訪れていたセイロン人(現在のスリランカ)の使者が、神聖ローマ皇帝カール5世の妹で、ポルトガル王妃のカタリナ・デ・アウステリアに献上したものだと考えられています。
異国の特別なものとして重宝されたこの品は、その後カタリナの甥の息子にあたるルドルフ2世へと受け継がれました。
《ヨハネス・クレーベルガー(1486-1546)の肖像》デューラー
《ヨハネス・クレーベルガー(1486-1546)の肖像》1526年
アルブレヒト・デューラー
ウィーン美術史美術館蔵
ルドルフ2世はアルチンボルドだけでなく、アルブレヒト・デューラーも数多くコレクションしていました。
こちらはそのデューラーの作品で、彼が亡くなる二年前のものです。
デューラーはドイツ史上最大の画家とも言われる巨匠です。
デューラーが生きた時代は、ルドルフ2世が生まれるよりも前の時代でした。
- デューラー:1471年~1528年
- ルドルフ2世:1552年~1612年
しかしデューラーの死後も、デューラーリバイバルという再ブームのような現象が起こっており人気が高まっていました。
《ヨハネス・クレーベルガーの肖像》に話を戻します。
この作品をよく見ていただけると、肖像の周囲を囲う円に奥行きがあったり、首のしたあたりが立体的に表現されているのが分かります。
モデルとなっているヨハネス・クレーベルガーは商人でした。
ニュルンベルクの中流階級の家に生まれた彼は、ベルリンやリヨンなどで商売を成功させて財を築きました。
しかし成功して故郷に帰ると、「成金」というレッテルを貼られてしまいます。
またかつての雇用主の未亡人に結婚を執拗に迫ったりしたために、周囲から嫌われてしまいます。
この絵が描かれたのは、そういった悪評を跳ねのけるためでした。
いわば「自分は立派な人間なんだ」とアピールをしたかったのです。
ではなぜちょっと立体的だったり、裸のような格好をしているのでしょうか?
実はこれは古代の皇帝のコインを意識しているのです。
円の周囲に文字があったりするのも、そういった理由です。
また同時期にクレーベルガーはメダルも2点発注しており、これに関してもデューラーが下絵を提供した可能性があります。
つまりは「そういうメダルになるくらい自分はすごいやつなんだぞ!」という事を言いたかったのです!
自己主張が激しめの人ですね(笑)
画面の左上に♌☚こんなマークのようなものがあります。
これは「しし座」を表すマークです。
なぜわざわざ自分の星座を描かせたかというと、当時の占星術では「しし座の人間は将来大成する」とされていました。
ここでもクレーベルガーの「自分もしし座だぞ!」というアピールが出ているのです。
どんどんアピールしてくるなぁ、この人!
パート2はここまでです。
パート3では、今回の「ハプスブルク展」のメインビジュアルにもなっているベラスケスの作品についてご紹介していきます。☟☟
【ぶら美】ハプスブルク展《Ⅲ.スペイン絵画の巨匠ベラスケス》
コメント
[…] パート1は一旦ここまでで、パート2ではそのルドルフ2世のコレクションについてまとめていきます。 【ぶら美】ハプスブルク展《Ⅱ.ルドルフ2世のコレクション》 […]
[…] 見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい。 前回のパート1・2はこちらからご覧頂けます☟☟ 【ぶら美】ハプスブルク展《Ⅰ.フェルディナント2世のコレクション》 【ぶら美】ハプスブルク展《Ⅱ.ルドルフ2世のコレクション》 […]