【美術番組まとめ】ナチスに渡ったメーヘレンの描いた贋作

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2020年4月2日にNHK・BSプレミアムで放送された「ダークサイドミステリー」の【ナチスを騙した男 20世紀最大の贋作事件】の回をまとめました。

番組内容に沿って、それでけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。

こちらの記事はパート4で、パート3からの続きになります。
前回の記事はこちら☚からご覧頂けます。

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ナチスとフェルメール

第二次大戦中、ナチスドイツはメーヘレンの住むオランダを含むヨーロッパを侵略していました。
そして各地で美術品の略奪を行っていました。
戦後に連合国軍によって発見された略奪品の数は約25万点に及ぶと言います。

画像出展元:テレビ番組「ダークサイドミステリー」より

ナチスドイツ総統のヒトラー、そしてナンバー2のゲーリングも美術品をコレクションしていました。

ヒトラーは実際にフェルメールの作品を2作品持っていました。
絵画芸術》と《天文学者》です。


《絵画芸術》1666-1667年頃
ヨハネス・フェルメール
オーストリア、ウィーン美術史美術館蔵

《天文学者》1668年頃
ヨハネス・フェルメール
ルーヴル美術館蔵

一方ゲーリングゴッホルノワールルーベンスといった名だたる巨匠たちの名画を自宅に所有していました。その数はなんと2000点以上。
ゲーリング自身の鑑識眼も並々ならぬものだったといいます。

しかし、ゲーリングフェルメールの作品は持っていなかったのです。
それ故、ヒトラーに嫉妬していたといいます。

そんな中オランダからフェルメール新しい作品が見つかったというニュースがゲーリングの耳に入ります。
まだ見つかっていないフェルメール作品があるのではないか?」と考えたゲーリングは、お抱えの美術鑑定士に未発見のフェルメール作品の捜索を命じます。

メーヘレンの贋作がナチスナンバー2の元へ

丁度その頃、《キリストと姦婦》を描き上げたメーヘレンが知人の画商を訪ねます。
エマオの食事》の時同様に、他国の富豪から売却を依頼されたと話をでっち上げ、作品を画商に預けます。

その《キリストと姦婦》を見た画商はフェルメールの真作であると確信します。
その画商はナチスがフェルメール作品を捜している事を知っていました。
すぐさまナチス関係者に連絡します。

「未発見のフェルメールがある」という報せはゲーリングの耳にも届き、大喜びしたといいます。
こうしてメーヘレンの描いた《キリストと姦婦》はベルリンに届けられることになります。

画像出展元:テレビ番組「ダークサイドミステリー」より

しかしメーヘレンは売却先を知り、驚愕します。
ナチスに自分の贋作が行くことなど想定していなかったのです。
しかも価格は約15億円という破格の金額でした。

ナチスドイツはヨーロッパの多くを暴力と恐怖で支配していた国です。
そんな国に送られたフェルメールの絵が、自分の作ったニセモノだとバレた日には命などあろうことがありません。

やがて《キリストと姦婦》がベルリンに到着。
ゲーリングは作品を見て、こう言ったといいます。
すばらしい!ぜひとも購入したい!」と。

メーヘレンは鑑識眼に優れたゲーリングの目も見事欺いたのです。

画像出展元:テレビ番組「ダークサイドミステリー」より

ゲーリングは特に《キリストと姦婦》のキリストの顔が、《エマオの食事》で描かれているキリストの顔に非常に似ているのに感心し、本物と信じて疑わなかったといいます。
(どちらもメーヘレンが描いた贋作です)

ゲーリングは提示された15億円での購入を決めました。
しかし現金が足りなかったので、不足した分はオランダから略奪した絵画およそ200点が充てられました。

こうしてゲーリングは念願のフェルメール作品を入手したと思い込み、自宅の壁に誇らしげに飾ったといいます。

第二次世界大戦と西洋美術

ここでは第二次世界大戦と西洋美術の関係性についてまとめます。

ナチスドイツのヒトラー、そしてメーヘレンの贋作を買い取ったゲーリングも、美術品にはたいへん執着し、コレクションしていました。
そのほとんどがユダヤ系の人を騙して、二束三文で売らせたようなもの、そして降伏した国の美術館から略奪したものでした。

その中で総統であるヒトラーが先ず一番初めに作品を自分のものにしていました。
ナンバー2のゲーリングとしては、「ヒトラーに取られる前に自分の物にしたい」という対抗心があったのでしょう。

彼等はのちに売却するのが目的ではなく、単純に美術作品が好きだったのです。

一方違う理由で絵画を集めていたナチスの人間のいました。
戦争終結に近い頃にパリにいた主要将校たちです。

彼等はドイツの敗戦を予想すると同時に印象派の絵画を買い占めたという記録が残っています。
それはいずれドイツ紙幣がただの紙切れになるのを予想して、価値の変わらない美術作品に換金しようというのが狙いでした。

このような換金性の高いもの=美術品という風な扱われ方は、今日の絵画バブルの一つのルーツであるとも言われています。

パート4はここまでです。次のパート5でラストです。
ここまで贋作だとバレずに上手い事やってきたメーヘレン
彼はこの後どうなっていくのでしょうか。こちら☚からご覧頂けます。

コメント

  1. […] パート3は一旦ここまで! 続きはパート4をご覧ください。こちら☚からご覧頂けます。 […]

  2. […] こちらの記事はパート5で、パート4からの続きになります。 前回の記事はこちら☚からご覧頂けます。 […]

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