【アートステージ】カール・ラーション【美術番組まとめ】

アート・ステージ

2020年8月15日にTOKYO MXで放送された「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」の【カール・ラーション スウェーデンの国民的画家】の回をまとめました。

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

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イントロダクション

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

今回取り上げるのはスウェーデンの国民的画家カール・ラーション(1853~1919)です。
活躍したのは19世紀後半から20世紀にかけてで、フランスの印象派とほぼ同時代の人です(あのゴッホと同い年です)。

ラーションは家族をモチーフにした作品を数多く描きました。
そのどれもが温かく、優しさに満ちた世界になっています。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

画集『わたしの家』は、ラーションの代表作です。
ここには家族の日常を切り取った連作が収められています。

『白樺の木陰の朝食』

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

ここに描かれているのは、緑あふれる庭で、家族が朝食を取っている風景です。
まさに家族団らんの光景、温かい気持ちになる一枚です。


ペットの犬もテーブルの上を覗き込んでいます。
おとなしそうに椅子に座った姿が可愛らしいです。


一人、一番小さい女の子がこちらを見ています。
他の家族が行儀よく食事をしている中、この子だけはもう飽きてしまったようです。
スプーン片手に、左足を椅子に乗せて、こちらに顔を向けたその様子は、子どもらしさに溢れています。


まるでスナップ写真のような家族団らんの光景です。

この作品が収められている画集『わたしの家』は、その名の通り、ラーションが実際に暮らした家が舞台になっています。

画面右側に見える薄ピンク色のおしゃれな家がそうです。
ではその中は一体どうなっているのか?
次の作品で見てみましょう。

『キッチン』

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

こちらはキッチンの様子を描いた一枚です。

日本のキッチンとはだいぶイメージが違う、広々とした空間です。
窓に目をやると、レースのカーテンが揺れ、爽やかな風が吹き込んでいるのが分かります。


年季の入ったコンロ。
先ほどの絵の朝食はここで作られたのでしょう。

画面をよく見てみると、壁には時計やランプが掛けられています。
床にはお洒落なラグ。
そして手前に置かれた赤い椅子。

そのどれを見ても北欧らしいお洒落なインテリアです。
シンプルながらも洗練された家庭の風景です。

画家カール・ラーション

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

カール・ラーションは1853年、スウェーデンの首都のストックホルムに生まれました。
ラーションは小学生の頃、担任の先生から絵の才能を見出されます。

その先生の勧めもあり、スウェーデン王立美術学校へと進みます。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

若かりし頃のラーションは、生計を立てるために本や雑誌の挿絵を手掛けました。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

同じ北欧デンマークの作家、アンデルセンの童話集の挿絵も手掛けています。

第三回印象派展に出品された画家ピサロの作品

そして1877年、19歳の時に芸術の都パリに上京します。
第三回印象派展が開催された年で、美術界が大きく動いていた頃でした。

印象派の画家たちは、野外にキャンバスを置き、自然の光の中で制作しました。
ラーションもそれに倣って野外での制作を始めます。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

こうして描かれたラーションの作品は、水彩画に自然の光を取り入れた、独自のものになっていきます。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

作品は高く評価され、パリのサロン展にも入選を果たします。
母国スウェーデンでは、国立美術館に作品が購入されています。

ラーションは北欧に印象派の画風をもたらしたのです。

ジャポニスムとの出会い

そんなラーションですが、印象派よりも決定的な出会いがありました。
それがジャポニスム(日本趣味)です。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

当時のパリは日本ブームの真っ只中にありました。
印象派の画家が影響を受けたのは良く知られていますが、それ以外にも象徴主義ギュスターヴ・モローなど同時代の多くの画家その影響を受けています

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

ラーションもその一人でした。
彼は「日本は芸術家としての私の故郷である」という言葉を残すほど、強く日本美術に影響を受けています。

それではどういった点でラーションは日本美術の影響を受けているのでしょう?


例えば、最初にご紹介した『白樺の木陰の朝食』。
この作品のテーマは”家族の団らん”です。

しかしその家族よりも目立つ位置に、白樺の木が描かれています。
普通、西洋絵画ではテーマとなるものを手前に大きく描きます

葛飾北斎《富嶽三十六景 神奈川沖浪裏》

ラーションが取り入れたこのような画面構成は、北斎などの浮世絵からの影響も想像する事ができます。

確かに『神奈川沖浪裏』も主役の富士が一番奥に描かれていますね!

『ネーム・デー』

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

こちらの作品も画集『わたしの家』に収めれている作品です。
描かれているのは仮装した子どもたち。

この作品にはもう一つ、ラーションが日本美術を意識している点が含まれています。
それは”線”です。

ヨーロッパでは、アカデミックな絵画で輪郭線を描く事はNGでした。
色彩や陰影で表現することが決まりだったのです。

しかし浮世絵では、生き生きとした線が作品に生命力を与えています。
雨や風さえも線だけで表現できたのです。


ラーションはシンプルながらも鋭い線で、布の質感や人物の動きを見事に捉えています。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

イラストや絵本を思わせるラーションの作品。
親しみやすさのあるこれらの作品が100年以上も前のものとは思えないほど、古さを全く感じさせません。

ラーション以外のスウェーデンの画家

スウェーデンの画家は私たち日本人にはあまり馴染みがないかと思います。
ここでは今回ご紹介したカール・ラーション以外のスウェーデンの画家についてまとめていきます。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

アンデシュ・ソーン(Anders Zorn、1860~1920)は、ラーションと同世代の画家です。
ソーンラーションらと共に、1889年のパリ万博に参加しています。

肖像画家として有名だったソーンは、絵画以外にも彫刻、版画も手掛けていました。
また、エドゥアール・マネとも親交があったそうです。

画像出展元:テレビ番組「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」より

リッカルド・ベリ(Richard Bergh、1858~1919)もスウェーデンでは有名な画家で、晩年にはスウェーデン国立美術館の館長も務めました。

前のラーションやソーンと同じく、1889年のパリ万博に出展し、二人を抑えてベリがグランプリを獲得しています。

他にも動物画が有名なブルーノ・リリエフォッシュ、ゴーギャンの絵画から啓示を受けたカール・ヌードストロームなどがいます。

今回の記事はここまでになります

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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