【アートシーン】歌枕 あなたの知らない心の風景

その他美術番組

2022年7月17日にNHKで放送された「日曜美術館アートシーン」の展覧会紹介の内容をまとめました。

*画像出展元:テレビ番組「日曜美術館 アートシーン」より

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歌枕 あなたの知らない心の風景
(サントリー美術館)

室町時代に描かれた桜。
渓流の流れる山深い場所は奈良の吉野(よしの)です。

古くから桜の和歌が詠まれてきました。
歌人(うたびと)の一人は西行(さいぎょう)です。

平安時代の終わり、出家後初めての旅で吉野山を訪れた西行は孤独と向き合う心情を桜の和歌に残しました。

吉野は桜がイメ―ジされる「歌枕」となったのです。

長い時を経て、日本人の心の風景となった歌枕。
その思いを辿ります。

「歌枕は絵画や工芸のデザインとしても生活を彩ってきましたが、和歌が身近な存在ではない今、歌枕に共感を寄せることは難しいかもしれません。
そこで本展ではさまざまな美術作品を通して、”歌枕に込められた思い”を皆様に感じて頂きたいと思っております」

紀貫之の書と伝わる古筆に和歌がしたためられています。

「ちはやぶる 神代(かみよ)もきかず 龍田川(たつたがわ)
からくれないに 水くくるとは」

百人一首で有名なこの歌は、龍田川に紅葉が落ちて紅色に染まってしまったという驚きを詠んでいます。

龍田川という歌枕は”紅葉”がイメージされています。

右隻には歌枕の吉野の桜、左隻には同じく龍田川の紅葉が描かれた江戸時代の屛風絵。

季節の違う美しい風景を合わせたこの構成は、桜を雲に、紅葉を錦に見立てて「雲錦模様(うんきんもよう)」と呼ばれました。

その雲錦模様を一つの器に表しました。
江戸後期の京焼の名工、仁阿弥道八(にんなみどうはち)が得意とした意匠です。

移り変わる季節に思いを寄せて見る事ができます。

この硯箱には蒔絵で、百人一首でおなじみの京都・小倉山(おぐらやま)が描かれています。

「小倉山 峰(みね)のもみじ葉(ば) 心あらば」
と歌われた紅葉の名所です。

黒漆の背景は月のない暗い夜を表しているのでしょうか。

小倉という名前は「小暗し(おぐらし)」と重なり、ほの暗い情景を詠むときの歌枕になりました。

尾形乾山作の蓋つきの陶器。
丸みのある独特な形です。

白泥(はくでい)と染付(そめつけ)、金彩で描かれているのはススキ。
ここからある歌枕が連想されます。

それは関東の武蔵野。
万葉集の頃から原野の風景として、歌に詠まれてきました。

江戸時代になると、秋草の茂る武蔵野図としても描かれています。
丸い円は草の間から昇り、また沈む満月。

武蔵野は原野のススキと月がイメージされる歌枕です。

シンプルで大胆な意匠の皿。
初期伊万里の名品ですが、銘がありませんでした。
この更に歌枕の「武蔵野」と名付けたのは、昭和の写真家・土門拳です。

上下に二分した模様から、月とすすき野原を連想したのです。

この展覧会は東京・港区のサントリー美術館で8月28日まで。

今回の記事はここまでになります。

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