2021年10月5日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#386 世界中のストリート・アートを完全再現!「バンクシーって誰?」展~天才?反逆者?全てが謎!アート界の異端児の、その正体に迫る~】の回をまとめました。
今回の記事はパート4になります。
前回のパート3はこちら☚からご覧ください。
番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪
『Barely Legal』
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
こちらはバンクシーが2006年にロサンゼルスで開催した展覧会「Barely Legal(ギリギリ合法)」、その会場を再現した展示になっています。
展覧会ではペインティングされた本物のゾウが会場を歩いていました。
(『バンクシーって誰?展』のこちらのゾウはもちろん作り物です)
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
ゾウに使われた塗料は”体には害のない、安全なもの”ということですが、動物愛護団体からの苦情はあったといいます。
どうして展覧会の会場にゾウを歩かせようとバンクシーは考えたのでしょう?
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
英語で「Elephant in the room」という表現があります。
これは”大きな問題に誰も触れようとしない”という意味で、日本語でいう所の「見て見ぬふり」にあたります。
バンクシーはその慣用句を実際に再現したのです。
「見て見ぬふり」とは一体何を見て見ぬふりしているのかというと、「貧困問題」だといいます。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
「Barely Legal(ギリギリ合法)」はわずか3日間の会期でしたが、来場者数は約3万人を記録。待ち時間も2時間ほどあったといいます。
名だたるセレブも会場に足を運び、ブラッドピットとアンジェリーナジョリー夫妻が作品を大量に購入(約3000万円)した事でも話題となりました。
ちなみに今はもう当時と比べて価格が高騰しており、金額は10倍は超えるといわれています。
結果的にこの2006年の展覧会がバンクシーのブレイクポイントの一つになりました。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
ちなみにバンクシーはこの「Barely Legal」の前にパリス・ヒルトンの偽のデビューCDを”勝手”に制作。それをCD店に”勝手”に置いた事でも話題になりました。
今でいう炎上商法的な感じですね!
《Monkey Parliament》
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
こちらの作品は2009年にバンクシーの地元のブリストルで行われた展覧会のために描かれた油彩画作品、それのポスター版です。
舞台となっているのは、”民主主義のモデル”と呼ばれたイギリス議会。
そこにいるべき人間の議員が、皆サルになっている=議会が機能不全に陥っている・議論が成立していない、という皮肉が込められた一枚です。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
ちなみにこのポスター版の元となった油彩画作品は、2019年にオークションにかけられ、約13億円で落札されました。
2018年から2019年にかけての時期が、バンクシーの知名度が世界的に知られるようになった時期でした。
(後で取り上げます”シュレッダー事件”も2018年の出来事です)
《Congestion Charge》
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
続いても油彩画の作品です。
《Congestion Charge》と題されたこちらの作品。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
しかしバンクシーが描いたのは”左下の署名”と”看板”だけ。
じつは蚤の市で売られていた無名の画家の油彩画をバンクシーが購入、それに描き足しただけなのです。
それだけの作品なのですが、現在の評価額は3億円にまで上がっているといいます。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
いわばマルセル・デュシャンが『モナ・リザ』に髭を描き足して、作品としたのと同じ手法です。
このように既存の作品に手を加える手法を「デトーナメント(流用・転用)」をいいます。
これはシュルレアリスムの画家がよく用いた手法です。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
この作品のポイントはこちらの看板です。
タイトルにもなっている「コンジェスチョン・チャージ(渋滞税)」の看板で、これはロンドンで渋滞緩和のために設けられたもので、この看板から先に車が進入する際に税金が徴収されます。
これがイギリスではかなり評判の悪いものだといいます。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
「政府はこんな田舎にまでコンジェスチョン・チャージを徴収しているのか!」
そんな皮肉が込められた作品です。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
じつはこの作品を持ち主は、イギリスを代表するファッションデザイナーのポール・スミス氏なのです。
バンクシーが今のように有名になる前から彼のファンで、作品も収集していたといいます。
《Congestion Charge》はこの『バンクシーって誰?展』で初蔵出しされた、展覧会の目玉ともいえる一枚です。
今回の記事はここまでになります。
パート5へと続きます。
【ぶらぶら美術・博物館】「バンクシーって誰?」展⑤【美術番組まとめ】
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[…] 今回の記事はパート5になります。 前回のパート4はこちら☚からご覧ください。 […]