【日曜美術館】第72回正倉院展④【美術番組まとめ】

日曜美術館

2020年11月1日にNHKで放送された「日曜美術館」の【至宝からひもとく天平の祈り〜第72回 正倉院展〜】の回をまとめました。

今回の記事はパート4になります。
前回のパート3はこちら☚からご覧頂けます。

番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

スポンサーリンク

《馬鞍》第6号 中倉12

画像出展元:「宮内庁ホームページ」より

読み方は「うまのくら」です。
その名の通り、人が馬に乗る時に馬の背に置く乗馬用の道具です。

木や皮、鉄など様々な素材から構成されており、奈良時代の馬具の姿を現在に伝える貴重な宝物です。

この宝物の特徴は唐風な部分と日本風な部分が入り交じった点です。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

人が座る部分の皮には、花をくわえた鳥や唐花(からはな)など、中国・唐らしいモチーフが表されています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

その一方、人が乗馬時に足を乗せる鐙(あぶみ)はつま先全体を覆う形をしており、これは日本特有の形状です。

これは当時の人が自分達の乗りやすい、そして作りやすいものに整備していった結果だと考えられます。
パッと見は非常に唐風の趣を感じられますが、よく見るとそうではないというのがこの宝物の見どころと言えます。

《粉地彩絵箱》中倉157

画像出展元:「宮内庁ホームページ」より

読み方は「ふんじさいえのはこ」。
こちらは仏様への献納品を入れるための箱です。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

大切な献納品が地面に触れないように、箱の下には脚(床脚しょうきゃく)が付けられています。

デザインも青い葉には赤い花、緑の葉には紫の花といったコントラストを重視したものになっています。これは非常に奈良時代らしい彩色です。

彩色に使われた絵具の科学調査の結果から、日本製の品であると考えられています。

《紫檀槽琵琶》南倉101

画像出展元:「宮内庁ホームページ」より

読み方は「したんのそうのびわ」です。
こちらの琵琶は法要の際に使われたと考えられています。

四弦の琵琶は古代ペルシャに起源を持つと言われています。
笛や打楽器などと楽団を構成し、音楽を奏でたと考えられています。

正倉院には四弦の琵琶は北倉に1点、南倉に《紫檀槽琵琶》を含めた4点の計5点が伝わっています。

画像出展元:「宮内庁ホームページ」より

他の琵琶の裏面には、木画や螺鈿などの装飾がされていますが、こちらの《紫檀槽琵琶》はそのような装飾はなく、比較的簡素な作りとなっています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

琵琶本体の部分に描かれているのは、一羽のハヤブサが水鳥に襲い掛かり、これに気づいた水鳥が慌ててその場から飛び去ろうとする、一瞬の緊張感のある場面です。

《孔雀文刺繍幡》南倉180

画像出展元:「宮内庁ホームページ」より

読み方は「くじゃくもんししゅうのばん」です。
正倉院宝物に残る刺繍の中でも、屈指の美しさを誇ると言われています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

描かれている孔雀、花樹、草花は細かく角度を変えて刺された絹の糸で表わされています。
光の加減によって様々な表情を見せます。

「幡(ばん)」とは法要の時に掲げられる、旗のようなものの事をいいます。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

どちらの面から見ても美しく見えるように、こちらの宝物には”両面刺繍”が施されています。
しかしこの技法は高度な技術が要求されるもので、以降日本ではほとんど見られなくなりました。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

孔雀文刺繍幡》に描かれていたモチーフの一つである百合の花、この再現に取り組んだのが刺繍家の樹田紅陽さんです。

表面から針を入れ、裏を見る事無く作業を進めます。
両面縫いというのは表の図を同じように追っていけば、裏面も同じように仕上がります。
しかし、裏の糸の見え方を表から見ているのと同じように見せるのが難しいといいます。

そして作業を更に難しくしているのが使用する”糸”だといいます。
光り輝く表面を作るためには、よりをかけていない糸を使う必要があります。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

裏側も糸が乱れる事無く、綺麗な絵柄を表現するには相当の集中力を要するのです。

樹田さんは作業を進めるのは、「リズム感が大事」だといいます。
線の流れや勢い、そしてニュアンスを大事にしながらも、気持ちをのせて作業を進めるためにリズムが大事なのです。

また樹田さんは縫い進めるうちに”祈り”や”願い”といった気持ちが出てきたといいます。
単に”ものを作る、針を刺す”という事ではなく、そこには「仏への祈り」が込められていたのです。

いかがでしたでしょうか。
今回の「第72回正倉院展」の特集記事は以上になります。

最後までご覧頂きありがとうございました。

「日曜美術館」のこの回以外の記事もアップしています!
こちら☚から一覧をご覧いただけますので、是非ご覧ください(*^-^*)

コメント

  1. […] 今回の記事はここまでです。 次のパート4で「第72回正倉院展」の特集はラストです。 こちら☚からご覧いただけます。 […]

タイトルとURLをコピーしました