【美術番組まとめ】カナレットの作品【ロンドン展⑨】

ぶらぶら美術・博物館

2020年3月31日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#342 世界初!奇跡の大規模展「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」前編〜ルネサンスって何?!英国が誇る国宝級名作で西洋美術が丸わかり!〜】の回をまとめました。

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
今回はパート9です。前回のパート8はこちら☚からご覧頂けます。

二週に渡って放送されたぶらぶら美術・博物館」のロンドン・ナショナル・ギャラリー展の特集回、前編は今回がラストです!

もちろん後編もアップしますよ!

*開幕が延期となっております。詳細は展覧会公式HPをご確認ください。

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グランド・ツアー

展覧会の第4章(Chapter Ⅳ)は「グランド・ツアー」です。
グランド・ツアー」とは18世紀のイギリスで流行した、いわば”当時の富裕層の卒業旅行”のようなものです。
イギリスの上級階級の子息たちが、ヨーロッパの文化・文明の本流ともいえるイタリアに行き、古代彫刻やルネサンス時代の芸術に触れ、そこから文化や教養やマナーなどを身に着ける事を目的にしました。

ここ日本では、明治時代に華族の子息たちがヨーロッパに行くという、同じような事をしています。

これからご紹介する作品は、その”グランド・ツアー”のイタリア土産として好まれた絵画です。

《ヴェネツィア:大運河のレガッタ》カナレット


《ヴェネツィア:大運河のレガッタ》1735年頃
カナレット(本名:ジョバンニ・アントニオ・カナル)
ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵

ヴェネツィアの運河の風景を描いた作品です。

カナレット(本名:ジョバンニ・アントニオ・カナル)は、このようなヴェネツィアの風景画(景観画)を数多く描きました。
彼の作品はとりわけイギリス人の旅行客を相手に大当たりしました。

まさに「ヴェネツィア土産」というべき作品です。
現代の私たちも観光地に行けば、そこでポストカードや絵葉書を購入するでしょう。
それと同じような感覚です。

ただグランド・ツアーに行くのはお金持ちなので、ポストカードや絵葉書とサイズは違いますが・・・

学芸員の方によると、「おそらくは丸めて持ち帰ったのでしょう」と。

イギリス人が好んで彼の作品を購入したので、彼の故郷のイタリアにはほとんど作品が残っていません
そして遂にはカナレットも1746年から1755年の間にイギリスから呼ばれて滞在するようになり、イギリスの風景を描いた作品も残しています。


描かれているのは、ヴェネツィアの重要な年中行事である”レガッタ・レース”の場面です。
レガッタとは小型船の事で、遠景に見えるリアルト橋を目指してレースが行われます。
このレースの起源は14世紀まで遡ります。
カーニバルの期間中である2月2日に開催されていました。


見物客のほとんどは、白のマスクと黒のケープを身に着けています。
これは当時のカーニバル特有の衣装です。

カナレットの景観画はものすごく正確に描かれているので、現代でも彼の絵が参考になる資料(昔の状態がどうだったか)だと言われています。

ロンドン・ナショナル・ギャラリーにはもう一点、カナレットの作で本作とよく似た構図の景観画があります。


《ヴェネツィア:大運河のレガッタ》1740年頃
カナレット
ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵

(*本作は、”ロンドン・ナショナル・ギャラリー展”には出展されていません)

《イートン・カレッジ》カナレット

今回の「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」ではもう一点、カナレットの作品が来ています。


《イートン・カレッジ》1754年頃
カナレット(本名:ジョヴァンニ・アントニオ・カナル)
ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵

その生涯のほとんどをヴェネツィアで過ごしたカナレットですが、1746年から1755年の9年間はイギリスに滞在していました(途中8か月だけヴェネツィアに戻っていましたが)。

イギリスでカナレットは、48作の景観画を描きました。
その中の一つである本作は、”イートン・カレッジ”と呼ばれる有名な私立学校の景観を描いています。

イギリス滞在中のカナレットは、かつてのヴェネツィア時代のイギリス人顧客と再度コンタクトを取ることで、割りの良い注文も獲得し、裕福な生活を送っていたといいます。

この《イートン・カレッジ》が注文によって描かれたものかどうかの記録は残されていませんが、もしかすると、イートン・カレッジ卒業の富裕層が購入するのを見越してカナレットが描いたものかもしれません。

いかがでしたでしょうか。今回はここまでです。
最後までご覧頂きありがとうございました。

「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」のその他の記事はこちら☚からご覧頂けます。

コメント

  1. […] いかがでしたでしょうか。今回のパート8はここまでです。 最後までご覧頂きありがとうございました♪ パート9も是非ご覧ください。こちら☚からどうぞ(*^^*) […]

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