2020年2月23日にNHKで放送された「日曜美術館」の【ゴッホ 草木への祈り】の回をまとめました。
番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪
イントロダクション
《ひまわり》1888年
フィンセント・ファン・ゴッホ
ロンドン、ナショナル・ギャラリー蔵
鮮烈なまでの原色、渦のようにうごめく曲線、立体的ともいえるまでの厚塗り。
”炎の画家”と呼ばれたゴッホの作品見られる特徴です。
2019年から2020年にかけて東京と兵庫で「ゴッホ展」が開催されました。
*残念ながら兵庫展はコロナウイルス感染症拡大防止のため、会期途中で閉幕してしまいました。
わずか10年という短い期間の中で作風が変化していったゴッホの画業を見ていきます。
クローン文化財
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
スタジオには、クローン文化財と呼ばれる複製画が飾られていました。
クローン文化財とは、東京藝術大学が文化財の保存と公開を目的に、最新の技術や専門的な知見で絵画を複製したものです。
ゴッホのこちらの自画像では、厚塗りの部分であったり、渦を巻いている所まで触って体感する事ができます。
初期のゴッホ
《ジャガイモを食べる人々》1885年
フィンセント・ファン・ゴッホ
オランダ、ファン・ゴッホ美術館
この作品はゴッホが32歳の時に初めて描いた油絵の大作です。
描かれているのは薄暗い明りの下で食事を取る人々です。
太く荒々しいタッチで描かれています。
その表現や画面の明るさなどから、彼らの生活の苦しさが伝わってきます。
テーブルに置かれているのは、茹でただけのジャガイモです。
それを取る手もごつごつとしています。
それにより自らのその手で畑を耕し、農作業をしたことが伝わります。
フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh、1853-1890)は、オランダ南部のフロート・ズンデルトという小さな村で、代々続く牧師の家に生まれました。
16歳から23歳までは叔父が経営に携わる画廊で働きます。
画廊を辞めた後は父親と同じく牧師を目指しますが、彼の気難しい性格が災いして周囲との衝突を繰り返します。
1879年、26歳の時にはベルギー南部の炭鉱地ボリナージュ地区の伝道師として採用されます。
ボリナージュ地区は採掘量の少ない貧しい地域でした。
『貧しい彼らをなんとか救いたい』そう考えたゴッホは、自分の衣服から所持金まで身の回りのもの全て分け与えるほど献身的に働きます。
しかしその行動が”常軌を逸した行動”と取られ、伝道師の仕事を解雇されてしまうのです。
目指していた牧師への道はここで完全に断たれてしまいます。
ここでゴッホは画家を目指すことを決意するのです。
1880年、27歳の時の事でした。
ゴッホは独学で絵を学び始めます。
彼が一番影響を受けたのがフランス・バルビゾン派の画家のジャン=フランソワ・ミレーでした。
ゴッホはミレーの影響を受け、「農民の中にこそ尊いものがある、自分もミレーのように高貴なものを描きたい」と考えるようになります。
そこでゴッホは何度もミレーの絵の模写に取り組みます。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
ゴッホが最もこだわったのが、農民たちの”手”でした。
日々の酷使される”手”を、高貴な労働の象徴としたのです。
このデッサンでは様々な角度から手を描いており、ゴッホのこだわりが感じられます。
そうした鍛錬を5年かけて行い、最初に取り上げた《ジャガイモを食べる人々》を完成させるのです。
ゴッホはきっと、このような貧しい生活をしている人々を牧師として救いたかったのでしょう。
けれどもそれが自分にはそれができないと分かり、代わりに絵画で救おうとしたのです。
ゴッホはこの作品を自信作だと自負し、売り物のなるほどだと思いました。
その出来栄えについて弟テオにも、手紙で高まる気持ちを書き綴っています。
リトグラフ版《ジャガイモを食べる人々》1885年
フィンセント・ファン・ゴッホ
ハーグ美術館蔵
こちらの版画はその出来栄えを家族や友人に伝えるために、ゴッホが制作したものです。
しかし友人の画家のファン・ラッパルトから作品を厳しく批評されます。
「なぜ物事を上辺だけでとらえるのか?」
「どうして動きを勉強しない?」
「よくも君はミレーの名前を出せたものだよ」
この手紙に対してゴッホは反論の手紙を何通も送っています。
『神の言葉を種まく人になりたい』
ゴッホの言葉です。
『神の言葉を種まく人になりたい』
これは聖職者を目指していた時も、画家になってからも変わらない思いでした。
聖職者を目指していた時は、「教会」というものを通して神の言葉を伝えようとしましたが、画家になってからはキャンバスを通して、神の言葉を伝えようとしたのです。
聖職者でも画家でも、ゴッホの伝えようとするものはおなじだったのです。
今回の記事は一旦ここまでです!
続くパート2では、画家として歩み始めたゴッホが、フランスでどのように過ごしていったのかをまとめていきます。
続きはこちら☚からどうぞ!
コメント
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