2019年4月27日にテレビ東京にて放送された「新美の巨人たち」の【弘法大師・空海「立体曼荼羅」】の回をまとめました。
番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
京都・東寺
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
日本一高い五重の塔がある事でも有名な、京都の東寺。
世界遺産にも指定されています。
創建されたのは今から約1200年前の796年。
その後823年に弘法大師・空海に下賜され、真言宗の総本山となります。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
国宝の金堂。ここに東寺のご本尊があります。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
その裏にある講堂に、空海がプロデュースした『立体曼荼羅』があります。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
東寺の境内の中心に位置しているのが、ご本尊がある金堂ではなく、この講堂なのです。
この事からも講堂が東寺の中でも、非常に重要な場所である事が分かります。
立体曼荼羅
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
こちらが講堂にある『立体曼荼羅』。
須弥壇(しゅみだん)の上に、木彫の仏像21体が並びます。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
『曼荼羅』とは密教宇宙の根本仏である大日如来を中心に、密教の思想を目に見える形で表現したものです。
修行者たちはこの曼荼羅と一体となり、悟りの境地を目指すのです。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人」より
この二次元の曼荼羅の世界を、世界で初めて三次元にしたのが空海なのです。
五智如来
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
『立体曼荼羅』の中央には、密教の重要な5つの智慧を司る五智如来が鎮座します。
中央に見えるのが大日如如来坐像。
向かって右奥から、阿閦(あしゅく)如来如来坐像。
右手前に宝生(ほうしょう)如来坐像。
左手前に阿弥陀(あみだ)如来坐像。
左奥に不空成就(ふくうじょうじゅ)如来坐像となっています。
じつはこれらの御像のオリジナルは、室町時代の土一揆によって焼失しており、大日如如来坐像は焼失後間もなく、他の四仏は江戸時代になって再興された御像になります。
こちらの五智如来像は、全て重要文化財に指定されています。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
大日如来は密教の根本となる仏、全知全能の神となる存在です。
じつは全ての仏様は、こちらの大日如来が姿を変えて現れた分身なのです。大日如来が地球に現れた姿がお釈迦様という事になるのです。
五大菩薩
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
五智如来のお隣、向かって右側には五大菩薩。
衆生救済を実践し、人々を仏の教えに導く存在です。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
五大菩薩は以下のように配されています。
まず中心には、金剛波羅蜜(こんごうはらみつ)菩薩像。
向かって右奥から金剛薩埵(こんごうさった)菩薩像。
右手前に金剛宝(こんごうほう)菩薩像。
左手前には金剛法(こんごうほう)菩薩像。
最後左奥に金剛業(こんごうごう)菩薩像。
となっています。
中尊の金剛波羅蜜菩薩像は、五智如来像と同じく、文明18年(1486)の土一揆で焼失しており、現在の御像は後補のものになります。
五大明王
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
五大菩薩の反対側、向かって左側には五大明王。
五大明王は空海によって初めてもらたらされました。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
中心には日本最古の不動明王像。
燃え上がるような炎の光背を背に、大きく目を見開いています。
右手には倶利伽羅(ぐりから)剣、煩悩を断ち切ります。
左手には羂索(けんさく)、煩悩を縛り上げ、苦しむ人々を引き上げます。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
不動明王を中心に向かって右奥が金剛夜叉明王(こんごうやしゃみょうおう)。
右手前に降三世明王(ごうざんぜみょうおう)。
隣の左手前に軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)。
そして上の画像の大威徳明王(だいいとくみょうおう)は左奥にいらっしゃいます。
『五大明王』は一度も焼失などはなく、全て創建当時の姿で今日まで伝わっています。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
明王は慈悲だけでは救えない者を、力づくで救済する、いわば”戦う仏たち”です。
それ故にどの明王も手には剣や槍といった武器を持っているという特徴があります。
四天王像
須弥壇の角の四隅には、甲冑で身を固めた仏の守護神・四天王がいます
元々はインドの古代の神話が起源ですが、仏教に取り入れられてからは、仏教世界の四方を守護する護法神となりました。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
向かって右奥にいらっしゃるのが、《多聞天立像(たもんてんりゅうぞう)》です。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
右前には《持国天立像(じこくてんりゅうぞう)》が今にも切りかかってくるような勢いで立ちはだかります。
逆の左側は手前に『増長天(ぞうちょうてん)』、左奥には『広目天(こうもくてん)』が控えます。
梵天・帝釈天
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
優美な姿で象にまたがるエキゾチックな帝釈天。講堂の西側(増長天と広目天の間)に配置されています。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
反対の東側(持国天と多聞天の間)には《梵天坐像》、ガチョウの台座に乗っています。
梵天はインド古来の神である最高神・ブラーフマンにその起源があります。
梵天も帝釈天も、四天王と並ぶ護りの神様です。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
空海は当時最高の腕を持つ仏師たちを集めて、自らデザインした仏たちを作らせました。
多く仏像はヒノキの一木造りで作られています。
細かい部分の造形は、麻の繊維におがくずと漆を混ぜた、木屎漆(こくそうるし)を塗り重ねることで表現しています。
宗教学者の正木晃氏は次のように話します。
「(立体曼荼羅は)技術的にも経済的にも大変なもので、そう多くは作られなかった。唯一のしかも最高の作例が、東寺講堂の立体曼荼羅だと考えられます」
今回のパート1はここまでになります。
パート2へと続きます。
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コメント
[…] 今回の記事はパート2になります。 前回のパート1はこちら☚からご覧ください。 […]