【美の巨人たち】ミレー『種をまく人』①【美術番組まとめ】

美の巨人たち

2017年11月18日にテレビ東京にて放送された「美の巨人たち」の【同じなのに違う!ミレー『種をまく人』の謎、2枚のあとさき】の回をまとめました。

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。

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イントロダクション

画像出展元:テレビ番組「美の巨人たち」より

落ち穂拾い》《晩鐘》。
これらの作品を描いたのは19世紀フランスの画家、ジャン=フランソワ・ミレーです。

この2枚の作品と並ぶ知名度を誇る、世界的名画が今回の主役です。


《種をまく人》1850年
ジャン=フランソワ・ミレー
山梨県立美術館蔵

それが《種をまく人》です。

今回はこの作品にまつわる、3つの「なぜ?」についてまとめていきます。

画像出展元:テレビ番組「美の巨人たち」より

1つめの「なぜ?」はこの作品が発表された時のこと。

じつはこの作品は当時のパリ社会を二分するほどの大論争を巻き起こす事になったのです。
一体”なぜ”それほどまでの波乱を巻き起こしたのか。

画像出展元:テレビ番組「美の巨人たち」より

2つめの「なぜ?」は、じつはこの絵が2枚存在することです。

タッチが微妙に異なる2つの《種をまく人》。
ミレーはほぼ同じ作品を”なぜ”2枚描いたのか?

画像出展元:テレビ番組「美の巨人たち」より

最後の「なぜ?」は、背景の農地が斜面になっている事

じつは斜面だと、大きな矛盾が生じるというのです。
それは”なぜ”なのか。

世界的名画が日本に!

じつはこの世界的な名画、なんと日本の美術館にあるのです。

画像出展元:テレビ番組「美の巨人たち」より

その美術館が山梨県立美術館
世界に誇るミレー・コレクション(約70点)を所蔵する美術館です。

画像出展元:テレビ番組「美の巨人たち」より

その中でも特別な一枚が、今回の《種をまく人》なのです。

描かれているのは夕暮れ時。
男が左手に種の入った袋を持ち、右手でその種を蒔いています。

深々と帽子を被り、また夕陽の逆光のせいもあり、表情は伺えません。


大股で力強く踏みしめる足には、防寒用の藁(わら)が巻かれています。
ここから冬が近い時期であることがわかります。
帽子を深く被っているのも、寒さをしのぐためでしょう。


背後にはもう一人の農夫が牛にクワを引かせ、土をかぶせています。


種をまく人》は1850年のサロン(政府主催の展覧会)に出品され、見事入選を果たします
ミレーの出世作ともいえる作品なのです。

しかし、この作品が当時のパリ社会を二分するほどの大論争を引き起こすのです。

農夫をめぐる大論争とは…

ミレーが生きた時代は絵画に描かれるものは、宗教画神話画歴史上の出来事王侯貴族の人たちというのが、お決まりでした。


《皇帝ナポレオン一世と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠》1807年
ジャック=ルイ・ダヴィッド
ルーヴル美術館蔵

例えばこの作品、皇帝ナポレオンの戴冠式の様子を描いたものです。
こういった作品が主流だったのです。


ですので、一農民を主役に据えた絵画、しかもその農民だけを大きく描いた《種をまく人》は、当時の人にはたいへん衝撃的だったのです。

この作品が描かれる2年前の1848年、フランスでは二月革命が起こります。
これにより労働者階級が台頭し、社会における民衆の存在感が大きくなっていました。
そういった時代背景の中で発表した《種をまく人》は、非常に社会的な意味をはらんだ作品となったのです。

画像出展元:テレビ番組「美の巨人たち」より

この絵を見た上流階級の人々は、恐れおののきました。
ミレーは金持ち階級を呪っているに違いない
中にはそんな風に考える者もいました。

画像出展元:テレビ番組「美の巨人たち」より

一方、労働者階級の人たちからは「あの絵は私たちを象徴する素晴らしい絵画だ」として賞賛を持って受け入れられたのです。
民衆の力の高まりが、《種をまく人》をその象徴のであるかのように仕立て上げたのです。

画像出展元:テレビ番組「美の巨人たち」より

しかし、当のミレー本人には、富裕層を刺激するつもりも、力をつけた民衆を象徴するつもりもありませんでした。

13年間の極貧時代

ミレーは1837年、22歳の時に画家を志してパリに出てきます。
エコール・デ・ボザール(国立美術学校)に入学し、歴史画家にポール・ドラローシュに師事します。
またルーヴル美術館にも熱心に通い、絵の勉強に励みます。

26歳の時に肖像画がサロンで初入選しますが、生活は貧しいものでした。
この頃ミレーは生活の為にヌードの作品を多く描いており、「ミレーは女の裸しか描かない」と揶揄されるほどでした。

そんな時、パリでコレラが流行します
ミレーの一家には幼い子供がいた事もあり、近郊の村に一時避難する事に決めます。

じつはこれが彼の画家人生の大きな転機となったのです。

今回の記事はここまでになります。
パート2へと続きます。
【美の巨人たち】ミレー『種をまく人』②【美術番組まとめ】

コメント

  1. […] 今回の記事はパート2になります。 前回のパート1はこちら☚からご覧ください。 […]

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