2020年2月8日にTOKYO MXで放送された「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」の【恋人たちのいる名画】の回をまとめました。
番組内容に沿って、それでけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
本日2月14日はバレンタインデーという事で恋人たちが描かれた名画をご紹介していきます。
昔から恋愛や恋人たちは芸術の重要なテーマでした。
今回はフランス絵画の中から二組のカップルの名画をご紹介していきます。
《ぶらんこ》フラゴナール
《ぶらんこ》1767-1768年頃
ジャン・オノレ・フラゴナール
ロンドン、ウォレス美術館蔵
18世紀、フランス・ロココ期の画家フラゴナールの作品です。
ディズニー映画「アナと雪の女王」にもこの作品とよく似た作品が登場していたのでご存じの方も多いのではないでしょうか。
緑豊かな庭園で、ぶらんこに乗る女性。
穏やかな木漏れ日が彼女に降り注ぎます。
無邪気にぶらんこに乗る女性は、靴を放り出しています。
その放り投げた先にいるのは天使の彫刻です。
天使は口元に指を当てており、ここからこの場面が秘密の瞬間であることを暗示しています。
じつはここで描かれている恋模様は、「不倫の恋」なのです。
画面左下から女性を仰ぎ見る男性が、この絵の依頼主とされている貴族です。
名をサン=ジュリアン男爵といい、当時かなりのプレイボーイであったそうです。
彼はぶらんこに乗る恋人と、それを見上げる自分の姿を画家に描かせたのです。
この作品にはもう一人登場人物がいます。
女性の後ろでぶらんこを引く男性です。
光の当たらない場所に描かれたこの男性は、なんとこの女性の夫だと言われています。
あろうことか、夫と妻とその妻と不倫相手の男が一枚の画面に描かれているのです。
しかし「不倫の恋」を描いているにもかかわらず、暗さや後ろめたさはまるで感じられません。
華やかな宮廷を舞台に、まるでゲームかのごとく恋愛やその駆け引きを楽しんいるようです。
まさにロココといった、この時代を反映した作品です。
日本に来ることはない?!
画像出展:wikipediaより
この《ぶらんこ》はイギリスのロンドンにあるウォレス美術館(ウォレス・コレクション)に収蔵されています。
15世紀から19世紀にかけての美術作品がコレクションの中心となっており、ティツィアーノやレンブラント、ルーベンスなど巨匠たちの作品も見る事ができます。
第四代ハートフォード侯爵リチャード・シーモア=コンウェイという人のプライベートコレクションが元となっており、それらが息子のリチャード・ウォレスに相続されたので、「ウォレス・コレクション」という名称になっています。
このウォレス美術館は一般公開されており、入場無料となっております。
がしかし!こちらのコレクションは門外不出となっており、外部の展示会に貸し出される事はありません。
なので、この《ぶらんこ》が日本で見れる事はよほどの事がない限り、ありません!
是非ロンドンに行く機会があれば、現地で堪能してみて下さい。
ジャン・オノレ・フラゴナール
《ぶらんこ》を描いたジャン・オノレ・フラゴナール(1732-1806)は、18世紀ロココ期のフランスの画家です。
1732年、南フランスのカンヌにほど近いグラースという都市で生まれました。
家族と共にパリに出たのが1738年、6歳の時で以後ジャン・シメオン・シャルダンとフランソワ・ブーシェに師事しました。
そしてフランス絶対王政絶頂期のロココ時代を代表する画家となっていきます。
《盗まれた接吻》1788年?
ジャン・オノレ・フラゴナール
エルミタージュ美術館蔵
こちらの《盗まれた接吻》もフラゴナールの作品です。
2017年の「大エルミタージュ美術館展」でご覧になった方も多いのではないでしょうか。
このように甘美で優雅な雰囲気を持つ作品を残しました。
フラゴナールが57歳の時、フランス革命が起こり、絶対王政は倒されます。
絶対王政の象徴とも言えるロココの画風を、市民は軽薄なものだと見なし、嫌いました。
ロココ美術はこれを機にどんどん下火になっていき、やがて端正な新古典主義が台頭していくるのです。
パート1はここまでです。
パート2では《ぶらんこ》のおよそ50年後、新古典主義の画家アングルによって描かれた恋人たちの名画をご紹介します。
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[…] 本日2月14日はヴァレンタインデーという事で、パート1に引き続き、恋人たちが描かれた名画をご紹介していきます。 パート1はこちらから☟☟ 【アートステージ】恋人たちのいる名画①【美術番組まとめ】 […]