(前ブログ「masayaのブログ美術館」からのリライト記事になります)
2019年10月12日にTOKYO MXで放送された「アート・ステージ~画家たちの美の饗宴~」の【ゴッホ「炎の画家」誕生以前のオランダ時代】の回をまとめました。
番組内容に沿って、それでけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
私たちが良く知る、パリに行って以降のゴッホや、アルルでゴーギャンと共同生活を送る以前の、
「オランダ時代」のゴッホにフォーカスした内容になっています。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい。
オランダ時代のゴッホについて
《ひまわり》1888年
ファン・ゴッホ
ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵
*「ゴッホ展」には出品されておりません。
燃えるような色彩、うねるようなタッチ。
炎の画家と呼ばれたゴッホは、ここ日本でも大変人気のある画家です。
しかし、我々が良く知るゴッホの作品は、32歳以降に暮らしたフランスで描いた作品がほとんどです。
27歳から絵を描き始めた当初、故郷オランダに暮らしていた頃の作品はあまり知られていません。
今回はオランダ時代のゴッホの作品についてご紹介していきます。
《ジャガイモを食べる人々》
《ジャガイモを食べる人々》1885年
ファン・ゴッホ
ファン・ゴッホ美術館蔵
*「ゴッホ展」には出品されておりません。
ゴッホ、オランダ時代の代表作《ジャガイモを食べる人々》です。
この作品は32歳の時に描かれました。
我々がイメージするゴッホの作品とは違う、暗い画面の作品です。
「農民」はオランダ時代のゴッホが最も大切にしたテーマです。
農民が自分の手を汚して働くその姿勢に、ゴッホは尊敬の気持ちを込めました。
画面にはランプの灯る暗い室内が描かれています。
そこに描かれているのは、疲れ果てた人々です。
質素な食事をする農民たちの手は、ゴツゴツと節くれ立っています。
ゴッホは農民たちがその手で土を掘った、という事が伝わるように描いています。
作品に農民の実直な魂を表現したいと考えたゴッホは、一冬をかけた入念な準備の下、この作品に取り組みました。
ゴッホはこの作品を自身作として発表します。
しかし周囲からの反応は「内容が暗い」などの批判ばかりでした。
ゴッホの唯一の理解者であった弟のテオでさえ、この作品には理解を示さなかったと言います。
けれども、ゴッホはその後も「若き日の最も成功した一枚だ」と自負し続けたと言います。
画像出展:「ゴッホ展」公式図録より
今回の「ゴッホ展」では、《ジャガイモを食べる人々》のリトグラフ版が展示されています。
(リトグラフとは、版画のようなものです)
油彩画と左右が反転しているのは、版画だからです。
このリトグラフは、ゴッホが完成した油彩画を家族や友人に見てもらうために制作しました。
若き日のゴッホ
気難しい性格であったゴッホは、社会になじめない青年時代を送りました。
大人になってから書いた手紙にも、
「僕の若い時代は陰鬱で冷たく、不毛だった」
と記しているほどです。
ゴッホの画家としてのキャリアは遅く、27歳になってからの事でした。
しかし、絵画とのかかわりはそれよりも以前からありました。
ゴッホが16歳の時に、親戚のつてで画商の仕事を始めます。
グーピル商会という画廊で働き始めました。
そこでのゴッホの仕事ぶりは大変高く評価され、20歳の時にはロンドン支店に栄転したほどでした。
しかしそのロンドンで、ゴッホにとって悲劇的な出来事が起こります。
ゴッホの失恋
それは下宿先の娘との失恋でした。
この失恋は異国の地で暮らすゴッホにとって、痛烈なものでした。
画商の仕事にも身が入らなくなった挙句、彼はついに6年間務めた画廊を解雇されてしまうのです。
恋も職も失い路頭に迷ったゴッホは、次に父親と同じ牧師を目指します。
しかし行き過ぎた布教活動が問題となり、伝道師の資格をはく奪されてしまいます。
ここでもゴッホは仕事が上手くいきません。
画家としてのスタート
何をやっても上手くいかないゴッホは、失意の中で気を紛らわすために絵を描き始めるのです。
そして徐々に絵画に希望を見出すようになっていきました。
この時27歳、ようやく天職と巡り合います。
《落穂拾い》1857年
ミレー
オルセー美術館蔵
*「ゴッホ展」には出品されておりません。
ゴッホが当時手本としたのが、フランス・バルビゾン派の画家、ミレーでした。
《落穂拾い》に代表される、貧しくもつつましく生きる人々を描いたその表現に、ゴッホは共感します。
パート1は一旦ここまでとします。
パート2では、ハーグ派と出会ってからのゴッホについてまとめていきます(^^♪
【アートステージ】フィンセント・ファン・ゴッホ②【美術番組まとめ】
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