【日曜美術館】シーレ展【美術番組まとめ】

日曜美術館

2023年3月5日にNHKにて放送された「日曜美術館」の【孤高の“まなざし”エゴン・シーレ】の回をまとめました。

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。

*紹介する作品の中には展覧会の出展作品ではないものがあります。

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イントロダクション

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

上野の東京都美術館では、2023年4月9日までオーストリアの画家エゴン・シーレの展覧会が開催されています。

日本でシーレの展覧会が行われるのは30年振りです。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

シーレは生涯で約200点の自画像を残しました。
こちらもその中の一枚、”叙情詩人”と題された21歳の頃の自画像です。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

頭が真横になっている姿は、瞑想しているのか、夢を見ているのか。
その表情は虚ろです。
手のポーズも何か意味ありげのように見えます。

黒い上着を羽織り、胸から下は肉体があらわになっています。

シーレの幼少期

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

エゴン・シーレは1890年、ウィーン郊外のトゥルンという町で中流階級の家に生まれます。
父親のアドルフは駅長の仕事をしていました。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

幼い頃から絵が上手く”神童”と呼ばれたシーレ
汽車を描いたスケッチが残っていますが、とても10歳の子供の絵には見えません。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

画家を志したシーレは、16歳の時に美術教育の最高峰であるウィーン美術アカデミーに合格します。
16歳という年齢はその年の受験者の中で最年少でした。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

アカデミーの教育は古典的な方法に則り、人体のデッサンなどが日々行われていました。

また絵の主題も”歴史画”や権力者・王侯貴族を描いた”肖像画”が重んじられており、それを絵画の本流として頑なに守り続けていました。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

そんな旧態依然とした美術界に一石を投じたのがグスタフ・クリムトでした。
官能的な女性美と「黄金様式」と呼ばれたきらびやかな画風で、時代の寵児となります。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

クリムトは仲間たちと「ウィーン分離派」を結成します。
”総合芸術”を謳ったウィーン分離派には、画家だけではなく様々な芸術家が集まりました。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

アカデミーでクリムトと出会ったシーレは、自身の絵を見せて、『僕には才能がありますか?』と尋ねました。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

その質問に対してクリムトは『才能がある?あるどころか、ありすぎる』と返しました。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

その後、シーレクリムトのような装飾的な作品を製作していきます。

19歳になるとシーレは美術アカデミーに見切りをつけ、自主退学。
そこから彼は「人間とは何か?」を探求し始めるのです。

シーレと性

シーレの作品にはヌードを描いたもの、あるいはよりセクシャルな内容を含んだものが多くあります。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

シーレがそういった作品を描いたのには、父親の死が大きく関係しています

14歳の時に父親が梅毒で亡くなります。
非常に重い症状が出ており、錯乱状態の後、壮絶な最期を迎えたといわれています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

そんな父親の死を目の当たりにし、性的な行為に罪悪感を感じるようになります。

思春期を迎えて性に対する目覚めとともに、死への恐れを抱くのです。
自分の中で起こる相反する感情にシーレは向き合っていきます。

《自分を見つめる人Ⅱ(死と男)》

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

叙情詩人》と同じく21歳の頃に描かれた自画像です。

画面中央にいるのがシーレ自身です。
その後ろには背後霊のような白い人物が立っています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

シーレ自身は目を閉じ、瞑想しているかのようです。
一方後ろの人物には瞳はなく、骸骨のように描かれています。

”自画像”として描いた作品に現れた2つの存在。
これは何を意味するのでしょうか。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

シーレ研究の第一人者である水沢勉氏はこれについて「シーレの世界観の象徴」だと言います。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

シーレの中には”生”と”死”が一つになっている感覚があり、その結果、”生”の象徴ともいえる花を描いた時でさえ、それが枯れていたりするのです。

”死”が感じられない”生”はないし、”死”の中にも”生”は感じられるし、要するに混じり合った世界。死と生は一体だという感覚。それはとりわけシーレという画家の特性の一つです」(水沢勉氏)

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