2020年8月4日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#354 新オープン!SOMPO美術館「開館記念展」〜ゴッホ「ひまわり」と再会!東郷青児ゆかりの美術館 ベスト・コレクション〜】の回をまとめました。
今回の記事はパート3になります。
前回のパート2はこちら☚からご覧いただけます。
番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪
東郷青児と女性
美しい女性像を描いた作品で人気を博した東郷青児(1897~1978)。
そんな彼自身も艶福家と呼ばれるほどのモテモテの人生でしたが、フランス留学から帰国して間もなく女性関係でスキャンダルや事件を起こしています。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
東郷は1921(大正10)年にフランス留学する前の年に、永野明代という女性と結婚しています。
しかし1928年に帰国すると、翌1929年には奥さんがいるにも関わらず別の女性(中村修子)と同棲、結婚披露宴まで挙げています(1929年2月)。
なんとそれからさらにその一か月後に西崎盈子(みつこ)という別の女性と心中未遂事件を起こすのです(1929年3月)。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
さらにさらにその事件を取材に来た宇野千代とも関係を持つようになります。
この状況で⁈どんだけモテるんですか⁉
山田五郎さんは実際に宇野千代さん(1897-1996)から東郷青児との話を直接聞いたと言います。
五郎さんは食事中にその話を聞いてげんなりしたとか(笑)
結局、最終的に1939年に心中未遂事件を起こした西崎盈子と復縁し結婚。
その後は西崎盈子と添い遂げるのです。
やっぱり綺麗な女性の絵を描く人は、それだけ女性も知っているという事なのでしょうか?
《望郷》東郷青児
《望郷》1959年
東郷青児
SOMPO美術館蔵
こちらの《望郷》という作品。
「東郷青児と言えば、この作品!」と言っても過言ではない代表作です。
1959年、東郷青児が60代前半の頃に描いた作品です。
背景にはギリシア神殿を思わせる廃墟があります。
そしてその前には女性の姿が、郷愁を感じさせるような優美な表情・仕草で描かれています。
この作品はSOMPO美術館の所蔵作品の中でも一位二位を争う人気作品と言われていますが、発表された当初から既に絶大な支持を受けていました。
この作品は1959年に開催された第5回日本国際美術展に出品されましたが、そこで大衆賞(一般入場者から一番多く票を集めた作品に贈られる賞)を受賞しています。
人気があった証拠ですね!
まるでエアブラシで描いたかのような滑らかなタッチですが、れっきとした油絵です。
東郷はフランス留学時代にルーヴル美術館に通いつめ、古典美術を学びました。
それらの作品からこのような滑らかなタッチの着想を得たと言われています。
東郷の描く女性像は「青児美人」と呼ばれ、美術好きのみならず一般庶民にも親しまれました。
そして色々なお店の包装紙やパッケージデザインに東郷の作品が使われました。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
池袋にある洋菓子のお店「タカセ」では、クッキー缶のデザインに東郷の作品が使われています。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
日本初のモンブラン発祥のお店で知られる、自由が丘の「モンブラン」には包装紙や店舗の壁画に東郷の作品を見る事ができます。
《砂の影》東郷青児
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
優美な美人像などの絵画作品が主に知られる東郷青児ですが、晩年には彫刻作品も残してます。
こちらの《砂の影》という作品では、横たわる女性を抽象化して表しています。
SOMPO美術館にはこの《砂の影》以外にも東郷青児の彫刻作品が収蔵されており、いずれも人体を抽象化したような作品になっています。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
今回の開館記念展では《傾斜》というタイトルのこちら作品も見る事ができます。
晩年になってから彫刻作品に取り組んだ点からも、東郷自身モダンアートに対する関心があった事が伺えます。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
72歳の時には長年に渡る日仏の文化交流に対して、フランス政府から文芸勲章が授与されています。
75歳の頃にはサハラへ行き、現地の先住民族とテント生活をしています。
このSOMPO美術館の始まりである「東郷青児美術館」は東郷が79歳の時に開館しています。
そして80歳の時に旅先の熊本で急性心不全により他界します。
亡くなる直前まで精力的に活躍した巨匠でした。
いかがでしたでしょうか。
今回の記事はここまでになります。
続くパート4では、ルノワールやゴーギャン、ゴッホの西洋の画家の作品についてまとめていきます。
こちら☚からご覧いただけます。
コメント
[…] この作品が発表された1929年は、じつは東郷自身、女性関係でスキャンダルや事件を起こしているのです。 艶福家(えんぷくか)とも呼ばれた東郷は一体どのような事件を起こしたのか。 続きのパート3で詳しくまとめていきます。 こちら☚からご覧いただけます。 […]
[…] 今回の記事はパート4(ラスト)になります。 前回のパート3はこちら☚からご覧いただけます。 […]