2020年4月28日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#346 東京国立博物館 特別展 「法隆寺 金堂壁画と百済観音」】の回をまとめました。
こちらの記事はパート4になります。
前回のパート3はこちら☚からご覧いただけます。
番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪
ラストのパート4では、国宝《観音菩薩立像(百済観音)》と現代の技術でよみがえった法隆寺の壁画と仏像をご紹介します。
国宝《観音菩薩立像(百済観音)》
国宝《観音菩薩立像(百済観音)》
飛鳥時代・7世紀
奈良・法隆寺像画像出展元:ホームページ「東京国立博物館」より
こちらが今回の展覧会の目玉とも言える、国宝《観音菩薩立像》です。
まさに「別格」という言葉が相応しい、素晴らしく美しい仏様です。
八頭身のスリムで独特なスタイルをしています。
すーっと伸びるような御姿がたいへん印象的です。
お顔は《釈迦三尊像》にも見られるアルカイック・スマイル(神秘的な微笑)をしています。
建立されたのは7世紀、飛鳥時代だとされています。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
現在は法隆寺の中の大宝蔵院(だいほうぞういん)の百済観音堂に安置されていますが、以前は金堂の中に安置されていたのが、上の明治時代に撮られた写真から分かっています。
しかしその伝来や由来は今でもはっきりと分からない事が多いのが実情です。
一説には様々なお寺を転々としていたという説もあり、謎が多いのもこの仏様の魅力の一つと言えます。
江戸時代には、この仏様は『虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)』の名称で法隆寺に安置された事が記録に残されています。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
しかし明治に入り、宝冠が法隆寺の土蔵から発見されます。
その宝冠の真ん中に仏様が彫られている事から、「虚空蔵菩薩」ではなく『観音菩薩』である事が分かりました。
(宝阿弥陀如来の御姿が彫られている宝冠は、観音菩薩のトレードマークなのです)
『百済観音』の名称の由来は?
江戸時代の資料の中に「百済より渡来した」という記述があるのが、その由来です。
しかし実際は、この御像はクスノキで作られており、それが日本の仏像の特徴なので日本で作られた仏様になります。
しかしその記述があるために、『百済観音』という通称が大正時代以降広まっていったのです。
なぜこのような独特な御姿なのか?
本当に独特な御姿で、比べるものも非常に少なく、そういった点からも謎めいた仏様なのです。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
左手の水瓶(すいびょう)を持つ手がたいへん優雅です。
親指と中指で、すーっとつまむような美しい手つきになっています。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
横からの御姿もたいへん美しいです。
この時代の仏様は正面からの御姿にこだわっているのに対し、こちらの『百済観音』は横はもとより後ろから見られることも想定され、作られているようなそんな御姿になっています。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
光背を支える支柱は竹のように見えますが、実は竹を模して作られたものです。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
竹を模した支柱の一番下には、上の画像のように山のような模様が彫られています。
これは一説には、私たちが普段見ている山がこのサイズであるとか。
それに比べて、いかにこの観音菩薩の御姿が大きいかというのを表しているいいます。
めちゃくちゃ大きい事になりますね!
びっくり!( ゚Д゚)
つまり観音様のというのはすらーっと大きく、私たちの及ばない大きな存在であり、救いの力を持っているというのを表しているのです。
金堂壁画の複製陶板
ここからは最後、第2会場の展示をご紹介します。
第2会場では「現代の技術」が使われた金堂壁画などが展示されています。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
こちらは陶板で作られた”焼損後の壁画”の複製になります。
実際に柱や壁画がどのように焼けてしまったかというのが、こちらの複製から知る事ができます。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
こちらは法隆寺の全面協力の下に、奈良県が高精細写真で撮影し進めた事業です。
「焼損した後の壁画も、文化財的な価値が残っている」という観点の元、この複製が作成されました。
元々の焼損壁画は動かす事ができませんので、このような複製で「今現在どういう状態なのか」というのを広く知ってもらうという意図が込められています。
釈迦三尊像(スーパークローン文化財)
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
教科書で見た事ある仏様ですね!
法隆寺の本尊で国宝の《釈迦三尊像》です。
え?本物⁈
というか、このお像が見られるなら展覧会のタイトルとかに入ってるでしょう⁈
実はこちらは東京藝術大学が現在進めている「スーパークローン文化財」によって作られたものです。
本物と同じく実際にブロンズで鋳造されています。
文化庁からの許可の下、《釈迦三尊像》を計測・解析し、3Dプリンタで原型を取って鋳造されました。
よく見ると本物の釈迦三尊像とは違う点があります。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
それは光背の火炎のような装飾です。
こちらは本物の《釈迦三尊像》にはありません。
決して余計なものを足した、という訳ではなく。
じつは本物の《釈迦三尊像》にも何かが付いていた痕跡があったのです。
そこで綿密な調査を行い、作られた当時はこのような光背だったのではないかと想定復元されたのです。
画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より
その際に元になったのが、東京国立博物館所蔵のこちらの6世紀の光背です。
それを《釈迦三尊像》向けにアレンジをして付け足されました。
ただ今あるものを復元するだけでなく、失われた部分なども復元できるのが「スーパークローン技術」なのです。
いかがでしたでしょうか。
ぶらぶら美術・博物館の『法隆寺 金堂壁画と百済観音』特集は今回でラストになります(*^-^*)
最後までご覧頂きありがとうございました!
コメント
[…] 最後は展覧会の目玉、国宝の《百済観音》について詳しく見ていきます。 こちら☚からご覧いただけます。 […]