2023年4月9日にNHKにて放送された「日曜美術館」の【まなざしのヒント ルーヴル美術館展】の回をまとめました。
番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
今回の記事では【ロココ絵画】についてまとめていきます。
《水浴の楽しみ》
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
続いて紹介するのは18世紀のフランスで描かれた《水浴の楽しみ》という作品です。
やわらかな日差しが差し込む郊外で、貴族たちがピクニックを楽しんでいます。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
画面右側には、一人の男性とその周りに色鮮やかなドレスをまとった女性たちの姿が。
右の二人は摘んできた花を髪に飾って楽しんでいるようです。
画面左側には水浴びを楽しむ女性たちがいます。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
一つ前の記事で紹介した《部屋履き》では、人間の愛を”暗示的”に表現していましたが、《水浴の楽しみ》が描かれた18世紀になると”人間の愛を解放して描く”という動きが起こってきます。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
この作品のような甘く優雅な雰囲気をもった美術を「ロココ絵画(ロココ様式)」といいます。
貴族が日々の暮らしに喜びを追い求め、甘美な快楽に耽った時代。
その不自由のない暮らしを恋愛場面も含めて描いていこう、という時代。
ロココの頃は「解放された時代」だったのです。
ロココ美術以前の17世紀は「バロック」と呼ばれる様式が流行しましたが、バロックはどちらかというと”重苦しい”雰囲気がありました。
一方、それがロココの時代になると「生きていることが楽しい、喜びを感じる」、そういったものが前面に出され”軽やかで楽しい”雰囲気となっていくのです。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
漫画家・池田理代子氏は、女性の来ているドレスの表現に見られる”色彩の軽やかさ”がロココの特徴だと言います。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
ロココ時代の画家は絹の光沢を上手に表現することが求められたといわれています。
ロココ期の時代背景
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
じつはロココ時代は、池田理代子氏によると「女性は結婚するまで恋愛ができなかった、結婚して初めて恋愛の自由が得られた」と言います。
そういったことから当時の貴族男性は愛人をたくさん作りましたが、女性もまた愛人をつくっていったのです。
屋外の楽しみを描く意図は?
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
この《水浴の楽しみ》という作品は画面の半分を空と景色が占めていますが、これもロココ様式の特徴だといいます。
ロココより前の時代、ルイ14世や15世の時代の水遊びというと、ベルサイユ宮殿の運河に豪華な舟を浮かべるくらいのものでした。
それがロココの時代になり人々の開放的な気持ちと相まって、この作品のような屋外での場面が描かれるようになったのです。
さらに解説の三浦篤氏はこの「戸外を描く、自然を描く」というロココの特徴は、後の19世紀印象派に近いと言います。
印象派というのはある意味で”ロココを引き継いだ部分”があるのです。
「まさに”生きる喜び”、ルノワールとか典型的ですけれども、そういった歴史の流れもあるのかなって思いますね」(三浦篤氏)
《かんぬき》
《かんぬき》1777-1778年頃
ジャン=オノレ・フラゴナール
パリ、ルーヴル美術館蔵
続いても同じくロココ時代に描かれた作品で《かんぬき》と題された一枚です。
作者はロココ時代を象徴する画家フラゴナールです。
タイトルの”かんぬき”とは、男性が手を伸ばした先にある鍵のようなもののことです。
寝室のかんぬきを巡る男女の様子が描かれています。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
暗い寝室の中で、2人男女の元にまるでスポットライトのように光が当たっています。
男性は下着姿のような格好で、女性はドレスをまとっています。
男性が女性を抱き寄せながらドアにカギをかけ、出れないようにしています。
一方女性の方はそれに抵抗しているのか、うっとりしているのか曖昧な表情で描かれています。
そんな曖昧さが面白い作品です。
また、ある研究者はベッドに置かれた2つの枕が「女性の乳房」を表しているといいます。
それを踏まえてみると、ベッドの部分が女性が仰向けに横たわっているようにも見えるのです。
もしかすると、描かれている男女のこの後の展開を暗示しているのかもしれません。
今回の記事はここまでになります。
最後までお読みいただきありがとうございました!