2021年11月22日にNHKにて放送された「アイドルと旅する仏像の世界」の【 (7)「イメチェンで再始動」(ゲスト:松田好花さん(日向坂46))】の回をまとめました。
番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪
室生寺と本尊『如意輪観音菩薩坐像』
画像出展元:テレビ番組「アイドルと旅する仏像の世界」より
奈良県にある室生寺(むろうじ)は、奈良時代に天武天皇の勅願によって建てられた、真言宗のお寺です。
画像出展元:テレビ番組「アイドルと旅する仏像の世界」より
真言宗のお寺といえば高野山金剛峰寺が有名ですが、金剛峰寺は女人禁制のお寺でした。
一方で室生寺は女性の参詣も可能だった事から、”女人高野”と呼ばれ、親しまれてきました。
そして室生寺の仏像もまた、非常に親しみやすい特徴があるといいます。
画像出展元:テレビ番組「アイドルと旅する仏像の世界」より
こちらは室生寺のご本尊が安置されている、本堂の灌頂堂(かんじょうどう)です。
「灌頂」とは頭の頂に水を注ぎ、仏の弟子としてある位に昇ったことを証する儀式のことをいいます。
画像出展元:テレビ番組「アイドルと旅する仏像の世界」より
こちらがご本尊の『如意輪観音菩薩坐像』。国の重要文化財に指定されています。
平安時代の作で、榧(かや)の一木造りで造られています。
とても穏やかな表情の仏様です。
画像出展元:テレビ番組「アイドルと旅する仏像の世界」より
左の手の指先にあるのは「如意輪(にょいりん)」。
人間の煩悩を打ち砕きます。
画像出展元:テレビ番組「アイドルと旅する仏像の世界」より
右手にはどんな願いも叶えてくれるという「宝珠」を乗せています。
画像出展元:テレビ番組「アイドルと旅する仏像の世界」より
本堂のすぐそばには五重塔があります。
法隆寺に次いで古い塔で、また室生寺最古の建造物として国宝に指定されています。
高さは16.1メートルと一般的な五重塔と比べ小さく、屋外にある五重塔としては国内最小です。
画像出展元:テレビ番組「アイドルと旅する仏像の世界」より
平成10年には台風7号の影響で境内の巨木が倒れ、それにより五重塔は損傷してしまいますが、現在は復興しており優美な姿を見せています。
国宝『釈迦如来立像』
画像出展元:テレビ番組「アイドルと旅する仏像の世界」より
続いて本日の主役の仏像を見ていきます。
そのお像は室生寺の金堂に安置されています。
画像出展元:テレビ番組「アイドルと旅する仏像の世界」より
国宝『釈迦如来立像』。
ご本尊の『如意輪観音菩薩坐像』と同じ、平安時代初期の榧(かや)の一木造りのお像です。
均斉の取れた堂々としたお姿が特徴です。
こちらのお像、じつは元々は釈迦如来ではなく、薬師如来として造られたといわれています。
画像出展元:テレビ番組「アイドルと旅する仏像の世界」より
釈迦如来と薬師如来はとてもよく似た特徴を持っています。
画像出展元:テレビ番組「アイドルと旅する仏像の世界」より
薬師如来は通常、どんな病気も治してくれるという薬壺(やっこ/くすりつぼ)を手にし、両脇に月光菩薩と日光菩薩を従えています。
薬師如来は日本の初期の仏教では一番人気の仏様でした。
画像出展元:テレビ番組「アイドルと旅する仏像の世界」より
一方、釈迦如来はというと、手には何も持っておらず、両脇の菩薩様(普賢菩薩・文殊菩薩)も薬師如来とは異なっています。
釈迦如来はお釈迦様が悟りを開き、如来になった万能の仏様といわれています。
画像出展元:テレビ番組「アイドルと旅する仏像の世界」より
室生寺が所蔵するこちらの『釈迦如来立像』は手には何も持っていませんが、かつては薬師如来だったのです。
古い時代に造られた薬師如来には、このように手に薬壺を持っていない作例も多かったといいます。
元々は薬師如来として造られたこちらのお像は、長い歴史の中でお寺の信仰形態や宗派の変化等により薬師如来から釈迦如来と変化し、今日でもそれを引き継いで『釈迦如来立像』とされているのです。
画像出展元:テレビ番組「アイドルと旅する仏像の世界」より
まさにこの回の番組テーマである「イメチェンで再始動」にぴったりの仏様ということになります。
画像出展元:テレビ番組「アイドルと旅する仏像の世界」より
こちらの『釈迦如来立像』は光背が非常に大きいのも特徴です。
その高さは3メートル近くにもなります。
この光背にも、かつて薬師如来であった名残りが見られるといいます。
画像出展元:テレビ番組「アイドルと旅する仏像の世界」より
光背に描かれた小さな仏様。
こちらは「化仏(けぶつ)」と呼ばれる仏様で、ここに描かれているのが薬師如来なのです。
画像出展元:テレビ番組「アイドルと旅する仏像の世界」より
薬師如来は全部で7体描かれています。
じつは薬師如来は7体いると言われており、「七仏薬師(しちぶつやくし)」という言い方をする事に由来しています。
この光背の中には七仏薬師が表されているのです。
画像出展元:テレビ番組「アイドルと旅する仏像の世界」より
衣の線は太い襞(ひだ)と細い襞を使い分ける表現が見られますが、この様式は室生寺様(むろうじよう)と呼ばれます。
画像出展元:テレビ番組「アイドルと旅する仏像の世界」より
ふくよかなお顔をしていますが、こちらは平安初期の仏像の特徴を表しています。
今回の記事はここまでになります。
続くパート2では『釈迦如来立像』の前に鎮座する『十二神将立像』からまとめていきます。
【美術番組まとめ】アイドルと旅する仏像の世界⑺室生寺【パート2】
コメント
[…] 今回の記事はパート2になります。 前回のパート1はこちら☚からご覧いただけます。 […]