2021年11月7日にNHKで放送された「日曜美術館」の【よみがえる 天平の息づかい〜第73回 正倉院展〜】の回をまとめました。
今回の記事はパート2になります。
前回のパート1はこちら☚からご覧ください。
番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪
《杜家立成》北倉3
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
《杜家立成(とかりっせい)》は、中国・唐時代に官僚として活躍した杜一族(杜正玄・正蔵・正倫)に伝わる書簡文例集を、光明皇后が書写したものです。
「雪の降る日に友人をお酒に誘いたい時」や「本を貸して欲しい」と人に頼むときなど、目的に合わせた文例が書かれています。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
《杜家立成》を書いた聖武天皇の妻の光明皇后です。
皇后自ら、酒席への誘い方を書くなんて意外な感じがしますね!
当時の宮中では「美しい文字をを書く」ことが重要な教養となっていました。
この字体は中国で”書の神様”と呼ばれた王羲之(おうぎし、303-361)の字を模したものだといわれています。
しかし、光明皇后ならではの特徴も見られます。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
こちらの「欲」という文字。
太い(濃い)線と細い線が、一つの字の中に入り混じっています。
これは当時使われていた筆に秘密があるといいます。
《筆》中倉37
今回の第73回正倉院展では、正倉院に伝わる四管の筆が出陳されています。
8世紀に作られたこれらの筆は、現存する日本最古の筆になります。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
こちらの筆は長さが19.6センチ、太さが2.3センチ。
筆の柄の部分にはまだら模様の竹が見えます。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
筆の端にはエレガントな象牙の飾りが施されています。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
筆のキャップもとてもお洒落なデザインです。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
字の太さ自在に操る秘密は筆先にありました。
今日私たちが見る一般的な筆先に比べて、短くずんぐりとした印象です。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
「この形にはどんな意味があるのか?」
正倉院では5年前から筆の調査を行ってきました。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
調査を担当したチームのお一人、文房具研究家の日野楠雄さん。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
日野さんは筆のレントゲン写真から内部構造を分析。
太い筆先の大部分は紙でできているのが分かりました。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
色の薄い灰色の部分が筆の毛になります。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
このような構造は「有芯筆(ゆうしんひつ)」と呼ばれます。
実際に字を書く時に紙に接するのは、先端の赤い部分だけになります。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
有芯筆と対になるのが「無芯筆(むしんひつ)」と呼ばれる筆で、全て毛でつくられています。
現在私たちが目にする一般的な筆は無芯筆で、こちらは筆全体が紙に接します。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
滋賀県の高島市。
ここに日本で唯一、有芯筆の筆を作っている職人がいらっしゃいます。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
筆師の藤野雲平さん。
今回、正倉院の筆の再現に挑みました。
普段藤野さんがつくる有芯筆は紙の層が1つだけですが、正倉院のものは3つの層からできています。
「製法的には同じだと思いましたけど、今はここまで太いものはなかなか作ることはない」と藤野さんは言います。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
こちらがレントゲン写真をもとに、職人の手により忠実に再現された正倉院の筆です。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
その書き心地を書家であり、寺院の写経手本を手掛ける荒井利之さんが試しました。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
「反動をつけて書く事ができるので、非常に自分のリズムに合わせて書ける筆だと思います」(荒井氏)
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
「『書』という字の縦棒のところ。細い線、細い線で書いていって、最後に腹をきかせた線でズドンとひいてくるような線」(荒井氏)
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
この極太の筆は、書き手の気持ちが文字に強く込められていく筆だったのです。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
序盤はきっちり書かれていた光明皇后の文字は、終盤に向かうにつれて変化が見られます。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
きっちりした字体から伸びやかな字体になっているのが分かります。
もしかすると筆を使っていくうちに楽しくなって、のびのび書きたくなられたのかもしれません。
今回の記事はここまでになります。
パート3へと続きます。
【日曜美術館】第73回正倉院展③【美術番組まとめ】
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