2020年6月27日にテレビ東京にて放送された「新美の巨人たち」の【あっと驚く世界の名建築!ノイシュヴァンシュタイン城×シーランチ】の回をまとめました。
番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
イントロダクション
今回は2つの名建築を取り上げます。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
1つはアメリカ・カリフォルニアの北のはずれ、太平洋の荒波が打ち付ける断崖の上にあります。
こちらの黒い建物。
土地の名前そのまま『シーランチ』と呼ばれています。
週末に使われる別荘として建てられたコンドミニアムです。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
窓からは絶景を望めます。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
もう一つはドイツ南部にあるお城。
まるで“シンデレラ城”のような姿です。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
内部はまさに豪華絢爛。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
一つは孤独な王が自分の為だけに造り上げた城。
もう一つは3人の男たちが手掛けた建築です。
一見すると全く異なってみえる二つの建築ですが、そこには「不滅の美を残そう」という共通する思いがありました。
まずはノイシュバンシュタイン城からまとめていきます。
ノイシュバンシュタイン城
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
ノイシュバンシュタイン城は、中世の町々を結ぶロマンティック街道の終点、ドイツ南部の町シュヴァンガウにあります。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
標高1,008メートルの頂に華麗な姿でそびえ立っています。
中世の城のように見えますが、じつは建てられたのはおよそ130年前。
日本ではすでに明治に入った頃の建築です。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
地上5階建て、一番高い塔の高さは80メートルになります。
絢爛たる黄金の回廊
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
内部には絢爛たる美の世界が広がり、あるもの全てがまぶしくきらめいています。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
この城で最も重要なのが、4階の玉座の間です。
黄金に飾られたその姿はビザンティン風の教会を思わせます。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
玉座が置かれるべき場所の上には、聖人に列せられた中世の王が見守っています。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
しかし肝心の玉座が見当たりません。
なぜでしょうか?
ルートヴィヒ2世とワーグナー
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
この城を築いたのは、バイエルン王ルートヴィヒ2世(1845-1886)です。
1845年にバイエルンの王位継承者として誕生、1864年に18歳で即位します。
王は湯水のごとく財を注いで、この城を造りあげました。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
外装や内装、さらに内部の壁画や調度品まで、ありとあらゆる所まで王みずから指示を出しました。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
城内には王が実際に使用していた電話機が残っています。
お城の中に電話があるなんて!
なんだか不思議な感じですね。
ノイシュバンシュタイン城はあのエッフェル塔と同じ時代の建物です。
なので電話機があっても不思議ではありません。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
ルートヴィヒ2世はどうしてこのような豪華な城を造ったのでしょう?
それにはドイツの作曲家リヒャルト・ワーグナー(1813-1883)と深い関係があります。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
王の居間に飾られた一枚の絵。これはワーグナーのオペラの一場面を描いています。
伝説の騎士ローエングリンが白鳥の船に乗って登場する姿です。
ルートヴィヒ2世は15歳の時にワーグナーと出会い、全身を貫くほどの感動に打ち震えたといいます。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
「ワーグナーはルートヴィヒ2世の人生の中で最も重要な人物だ」とルートヴィヒ2世研究家のジャン・ルイ・シュリム氏は言います。
王は中世ドイツの伝説をオペラにするワーグナーを崇拝しており、その世界観を城を造る事で再現しようと考えたのです。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
即位から5年後、ルートヴィヒ2世は城の建設を開始します。
130年前の驚きの最新設備
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
王による一大プロジェクトという事で、建設材料は国中から集められました。
また断崖の頂という難しいロケーションへ資材を運搬するために、最新鋭の蒸気クレーンが導入されました。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
また、使われた技術も当時としては最先端のものでした。
構造には鉄筋とコンクリートが使われています。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
厨房にはなんと自動回転式の焼き肉用グリルから、温水・冷水が両方流れる全自動給湯器まで、当時のハイテク設備が備わっています。
悲劇の王の見果てぬ夢
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
宮殿の5階には、盛大な音楽会を開くために作られた「歌人の間」があります。
ルートヴィヒ2世はここに尊敬するワーグナーを招聘(しょうへい)しようと考えていました。
しかし財政難を理由に側近たちから反対されたため、ワーグナーを呼ぶことは叶いませんでした。
結果、「歌人の間」は一度も使われることはありませんでした。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
1870年、強大なプロイセン王国がバイエルンにドイツ統一を迫ると、平和主義者の王は無抵抗でドイツ皇帝の臣下となります。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
やがて王は城の中に引きこもり、隠れて暮らすようになります。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
城の4階には『洞窟』があります。
ここはワーグナーのオペラ『タンホイザー』をイメージした部屋です。
王はこの城で孤独に生きていました。
次のような言葉が残されています。
「私は自分にとっても他人にとっても、永遠の謎でありたい」
自分を愛するためだけに
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
1886年、ルートヴィヒ2世は「精神を病んでいる」という診断を理由に、政府から拘束・軟禁されてしまいます。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
同年の6月13日、湖に浮かんでいた彼が発見されます。
40歳でした。
自殺か、他殺か。
その死は今も謎に包まれたままです。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
王の死により、ノイシュバンシュタイン城の建設は中断されます。
こういった理由で玉座は今でも空のままなのです。
画像出展元:テレビ番組「新美の巨人たち」より
ノイシュバンシュタイン城は一人の王の孤独な夢であり、永遠の謎を秘めた城なのです。
今回の記事はここまでになります。
番組後半で取り上げられた『シーランチ』の記事はこちらから☟☟
【新美の巨人たち】シーランチ【美術番組まとめ】
コメント
[…] 今回の記事では、番組後半で取り上げられた『シーランチ』についてまとめていきます。 前半の『ノイシュバンシュタイン城』の記事はこちら☚からご覧ください。 […]