【ぶら美】松方コレクション展③【ロンドン1916-1918】

ぶらぶら美術・博物館

2019年7月23日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#315 国立西洋美術館「松方コレクション展」~ゴッホ、モネ、ルノワール…歴史に翻弄された奇跡の名画が大集結!~】の回をまとめました。
今回の記事はパート3になります。
前回のパート2はこちら☚からご覧いただけます。

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

スポンサーリンク

ロンドン1916-1918

今回の記事では、1916年から1918年にかけて松方幸次郎ロンドンを拠点に収集した作品を見てまいります。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

この「松方コレクション展」は、面白い展示方法で作品を展示していました。

壁いっぱいに作品が何段にもなって掛けられています。
この展示方法は19世紀から20世紀初頭にかけて、西洋の美術館ではメジャーな展示方法でした。

今ですと作品は横一列に並んでいますよね。

松方が生きた時代の美術館の雰囲気を体感できるおもしろい試みです。

《愛の杯》ロセッティ


《愛の杯》1867年
ダンテ・ガブリエル・ロセッティ
国立西洋美術館蔵

ラファエル前派の主要メンバーであるロセッティの作品です。

この女性の顔と言えば、ラファエル前派、ロセッティですね!

この女性はアレクサ・ワイルディングといい、ロセッティがモデルとして契約していました。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

松方幸次郎は特別ロセッティが好きというわけではなかったようですが、《オフィーリア》で知られるミレイを含め、ラファエル前派の作品を複数コレクションしていました。
自身の美術館を設立する上で、ラファエル前派は欠かせない存在だと考えたのだと思われます。

《牧草を刈る人々》レルミット


《牧草を刈る人々》1900年
レオン・オーギュスタン・レルミット
国立西洋美術館蔵

レオン・オーギュスタン・レルミット(Léon Augustin Lhermitte、1844-1925)は、世紀末フランスの自然主義を代表する画家です。
バルビゾン派の作風をベースに、印象派の明るい色彩と筆触分割を取り入れました。

穏やかに理想化された農村風景を数多く描き、1889年のパリ万博では大賞を受賞、1905年には美術アカデミーの正会員に選ばられるなど、国内外にその名声を博しました。

松方に限らず、明治期の日本人にバルビゾン派は人気があったといいます。
その理由は表現が写実的という点、さらに農村風景という主題は日本人にとって分かりやすかったという点が挙げられます。


バルビゾン派の代表格ミレーは農村風景を描きながらも、その中に”道徳”や”労働の尊さ”、”聖書の教え”などを表現しました。
バルビゾン派の影響を受けたレルミットにも、その影響が見られます。


中央で腰を下ろして、水をめぐんでもらっている男性はキリストともどことなく重なって見えます。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

縦3メートル近い大きさのこちらの作品。
この作品は1900年のパリ万博に出品されています。

今回の「松方コレクション展」にあわせて、修復作業を一年かけて行われましたが、その中で新たな発見があったといいます。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

サイズが大きすぎるため、展覧会等に送る際に後ろの木枠を切った痕跡があったのです。
それにあわせて、画布もパタンと2つ折りしたいたと考えられます。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

この作品は額縁もなかったとのことで、国立西洋美術館の方で19世紀末から20世紀初頭の額縁に見えるものを発注して、新たに展示したと言います。

言われないと全く分かりませんね。

《羊の毛刈り》セガンティーニ


《羊の毛刈り》1883-84年
ジョヴァンニ・セガンティーニ
国立西洋美術館蔵

松方ブラングィンの勧めもあって、イタリアへも絵画収集に足を運んでいます。
ミラノで購入したのがこちらの作品です。

ジョヴァンニ・セガンティーニ(Giovanni Segantini、1858-1899)はイタリアの画家です。

20代前半まではミラノで活躍していましたが、その後段々とアルプスの高い所に行くようになり、「アルプスの画家」と呼ばれるようになります。


《アルプスの真昼》1892年
ジョヴァンニ・セガンティーニ
大原美術館蔵
(*「松方コレクション展」の出展作品ではありません)

日本の大原美術館にはこちらの作品が収蔵されています。

澄んだ空気感が伝わってきますね!


こちらの《羊の毛刈り》はまだアルプスの高地には行っていない頃の作品で、この後の《アルプスの真昼》に繋がるような、明るい光や色彩表現を取り入れ始めている過渡期のものです。

どことなくバルビゾン派の作品を彷彿させる点から、セガンティーニは「イタリアのミレー」と呼ばれていました。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

この作品は松方のイギリスでの絵画購入のアドバイザーを務めていたブラングィンが推薦するような形で、購入したといわれています。

バルビゾン派と同様に、セガンティーニ明治時代の日本でよく知られた画家でした。
こういった農村風景は昔から日本人の好みだったのです。

今回の記事は以上になります。
パート4へと続きます。
こちら☚からご覧いただけます。

コメント

  1. […] 今回の記事はここまでです。 続くパート3では松方がイギリスで収集したラファエル前派やバルビゾン派の作品についてまとめていきます。 こちら☚からご覧いただけます […]

  2. […] 2019年7月23日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#315 国立西洋美術館「松方コレクション展」~ゴッホ、モネ、ルノワール…歴史に翻弄された奇跡の名画が大集結!~】の回をまとめました。 今回の記事はパート4になります。 前回のパート3はこちら☚からご覧いただけます。 […]

タイトルとURLをコピーしました