【ぶら美】松方コレクション展②【松方幸次郎と共楽美術館】

ぶらぶら美術・博物館

2019年7月23日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#315 国立西洋美術館「松方コレクション展」~ゴッホ、モネ、ルノワール…歴史に翻弄された奇跡の名画が大集結!~】の回をまとめました。
今回の記事はパート2になります。
前回のパート1はこちら☚からご覧いただけます。

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

今回の記事では、松方コレクションの創設者の松方幸次郎の肖像画、そして彼が建設を夢見た「共楽美術館」の構想概要についてまとめていきます。

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《松方幸次郎の肖像》ブラングィン


《松方幸次郎の肖像》1916年
フランク・ブラングィン
国立西洋美術館蔵

イメージ通り、「ザ・お金持ち」「大富豪!」って感じですね!

松方が50代前半の頃の肖像です。
素早いタッチでモデルの姿を生き生きと描写しています。
画家ブラングィンの作品としては、数少ない肖像作品です。

この作品が描かれた1916年は、第一次世界大戦(1914~1918)の真っ只中でした。
松方が社長を務める川崎造船は、戦争による船舶の需要の増加を先読みして大量建造、その読みが当たり会社は大儲けします。

1916年の3月に松方自ら、鋼材の輸入と船の売り込みのためにアメリカを経由してロンドンを訪れます。
そしてそのロンドン滞在中に松方は美術品の収集をはじめていくのです。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

作者のフランク・ブラングィン(Frank Brangwyn、1867-1956)はイギリスの芸術家です。
タブローや壁画、版画、室内装飾までその仕事は多岐に渡りました。

イギリスに留学をしていたあの夏目漱石の小説「それから」にも彼の名が登場するほどです。
当時イギリスのみならず国際的に活躍していました。

松方ブラングィンとは、外交官をしていた兄の松方正作を介して知り合ったといわれています。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

ブラングィン船乗りの経験もあり、こちらの《救助船》という作品のように船や海、また造船所や港湾労働者を題材とした作品を多数残しました。
松方川崎造船の社長という事で、「船」や「海」という共通点が二人を強く結びつけたのだと考えられます。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

松方コレクションにはブラングィンの作品が約580点(油彩画約80点、素描約100点、版画作品約400点)ありましたが、その多くが1939年のロンドンの倉庫火災で焼失してしまいます。

松方ブラングィン作品購入のアドバイザーとして、彼の助言を元に作品を収集していきます。

松方幸次郎が美術品収集をはじめた理由

松方幸次郎が西洋美術を買い集めた、そもそもののきっかけはよく分かってはいません。
しかし、段々と「日本に西洋美術の美術館を作る」という目的を持って、収集をしていったといいます。

この時代、日本には未だ西洋の美術作品を展示するような美術館はありませんでした
西洋画を勉強する人たちが、本物を現地まで行かずとも見られるようにと、松方は考えたのです。

そしてそのための美術館の設計もブラングィンに依頼しています。
それが次の作品になります。

《共楽美術館構想俯瞰図、東京》ブラングィン


《共楽美術館構想俯瞰図、東京》
フランク・ブラングィン
国立西洋美術館蔵

松方は「共楽美術館(きょうらくびじゅつかん)」という名称で、自身のコレクションを展示する美術館を建設しようと考えていました。
共楽」という言葉には文字通り、”共に楽しむ”という意味が込められていました。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

中庭があり、天上には採光のための天窓が取り付けられているヨーロッパ風のデザインになっています。

この美術館は当初、神戸に設立する予定でしたが、構想が進んでいく段階で東京の麻布に変更になります。
建設についての話し合いも行われ、あの黒田清輝石橋和訓バーナード・リーチらと美術館設立の構想について意見を交わしています。

そんな「共楽美術館」ですが、実際に建設される事はありませんでした
その理由は1923年に起こった関東大震、そして1927年の世界恐慌でした。

不況の煽りを受けて、松方社長を務めていた川崎造船所は経営破綻をしてしまいます。
兄の松方巌が頭取を務めていた十五銀行も経営破綻してしまいす。

美術館建設どころではないですね。。。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

その結果、パート1の記事でもご紹介したように、日本へ輸送された約1000点の西洋美術は国内外に散逸してしまうのです。

今回の記事はここまでです。
続くパート3では松方がイギリスで収集したラファエル前派バルビゾン派の作品についてまとめていきます。
こちら☚からご覧いただけます

コメント

  1. […] 今回のパート1はここまでです。 パート2へと続きます。 こちら☚からご覧いただけます。 […]

  2. […] 2019年7月23日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#315 国立西洋美術館「松方コレクション展」~ゴッホ、モネ、ルノワール…歴史に翻弄された奇跡の名画が大集結!~】の回をまとめました。 今回の記事はパート3になります。 前回のパート2はこちら☚からご覧いただけます。 […]

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