【ぶら美】松方コレクション展①【モネ】

ぶらぶら美術・博物館

2019年7月23日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#315 国立西洋美術館「松方コレクション展」~ゴッホ、モネ、ルノワール…歴史に翻弄された奇跡の名画が大集結!~】の回をまとめました。

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

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イントロダクション

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

今回は2019年に国立西洋美術館で開催された「国立西洋美術館開館60周年記念 松方コレクション展」についてまとめていきます。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

松方コレクションは、その名の通り、実業家の松方幸次郎が収集した美術作品のコレクションです。
松方の家庭は、父親は総理大臣を2回勤めた松方正義、そして兄の松方巌は十五銀行の頭取というまさに「華麗なる一族」です。

松方幸次郎自身も30歳の時に川崎造船所(現在の川崎重工)の社長に就任します。
仕事の関係でヨーロッパを頻繁に訪れた1910年代から20年代にかけて、美術作品を買い集めます。
その数なんと、1万点以上といわれています。

しかしその1万点超の作品は波乱の運命を辿ることになるのです。

日本へ輸送された約1000点

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

一万点の美術作品のうち、10分の1の約1000点の西洋美術はヨーロッパから日本に輸送されます。
しかしこれらの作品は、川崎造船の経営破綻により、その後売却を余儀なくされてしまいます。
結果、コレクションは国内外に散逸する事になるのです。

パリで保管された約400点

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

パリにはコレクション(こちらも西洋美術)が400点ほど保管されていました。
その内、375点は第二次世界大戦後に返還されます。

フランス側からは返還に際して、3つの条件が課されます。
1つは、返還したコレクションを展示するための美術館を建設すること。
2つめは、ロダンの《カレーの市民》という作品の鋳造費用を支払う事
3つめは、輸送費用を日本が負担する事でした。

日本側は、1つめの要求に応えるために美術館の設計をフランスで活躍していたル・コルビュジエに依頼することになるのです。
こうして返還された375点をベースに国立西洋美術館が開館をするのです。

ゴッホ《アルルの寝室》

しかしゴッホの《アルルの寝室》を含む400点の内の20点フランス政府に返還を拒否されています。
山田五郎さん曰く、その理由は「良いやつだから」。

ロンドンで保管された約900点

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

さらに悲劇的だったのがロンドンの倉庫に保管されていた約900点のコレクションです。
こちらは1939年に起こった火災によって、その全てが焼失してしまいます。

半数近くが《松方幸次郎の肖像》を描いたフランク・ブラングィンの作品でした。
*この作品についてはパート2の記事で詳しくまとめます。
結果としてこの画家の重要作品の多くが失われてしまいます。

「松方コレクション展」について

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

今回の「松方コレクション展」は、国立西洋美術館が所蔵する作品だけでなく、日本全国に散逸してしまった作品、そしてフランス政府から返還を拒否された作品も含めて、松方コレクションの全体像が分かる展覧会になっていました。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

そしてこの展覧会の目玉の作品が、ルーヴル美術館で2016年に発見されたモネの幻の《睡蓮です。
損傷が激しく、キャンバスの上半分が無くなってしまっている状態でした。

今回1年がかりで修復が行われ、「松方コレクション展」で世界初公開となりました。

日本へ輸送された浮世絵 約8000点

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

じつは松方幸次郎がヨーロッパで買い集めた作品は、西洋美術だけではありません
日本の浮世絵を約8000点も持っていたのです。

フランスの宝石商で、有名な浮世絵のコレクターだったアンリ・ヴェヴェールという人がいました。
彼は第一次世界大戦の最中、作品が戦争の被害に遭う事を恐れ、一括購入をしてくれる相手を探します。
そこで手を挙げたのが松方でした。

こちらは無事に日本に輸送され、東京国立博物館(当時の帝室博物館)に収められました。
2019年の松方コレクション展の開催期間中には、コラボ企画という事で、東京国立博物館でも松方コレクションの浮世絵の展示が行われていました。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

《睡蓮》モネ


《睡蓮》1916年
クロード・モネ
国立西洋美術館蔵

それではここからは展示作品について見てまいります。

2016年に発見された「幻の《睡蓮》」の他にもう一枚《睡蓮》を持っていましたが、こちらがその作品です。

モネは『睡蓮』を200点近く描いていますが、その中でも「この睡蓮は良い睡蓮」だと山田五郎さんは言います。

国立西洋美術館に収蔵されているこちらの《睡蓮》は松方幸次郎がジヴェルニーにあるモネの邸宅を訪れて、直接交渉の末、購入に至りました。
松方は記録に残っているだけで、1921年に2回、モネのアトリエへ足を運んでいます。

モネはお気に入りの作品は売却せず、自宅に保管していました。
いわば”出来が良いので売りたくなかった作品”を松方は購入する事ができたのです。
モネとの直接交渉の末購入した作品の数は15点以上と言われています。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

1921年というと、モネオランジュリー美術館『睡蓮』の大装飾画に取り組んでいました。
この西洋美術館の《睡蓮》は、その制作過程において制作されたものだと考えられています。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館より

その根拠は大装飾画とこの《睡蓮》の高さが一致している事が挙げられます。

松方とモネの関係は?

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

松方幸次郎の姪で黒木竹子という女性がいます。
その黒木竹子と夫の黒木三次の夫妻がモネと親交があった事から、松方モネと繋がる事ができたのです。

今回のパート1はここまでです。
パート2へと続きます。
こちら☚からご覧いただけます。

コメント

  1. […] 2019年7月23日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#315 国立西洋美術館「松方コレクション展」~ゴッホ、モネ、ルノワール…歴史に翻弄された奇跡の名画が大集結!~】の回をまとめました。 今回の記事はパート2になります。 前回のパート1はこちら☚からご覧いただけます。 […]

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