2020年6月7日にNHKで放送された「日曜美術館」の【アートシーン】の回をまとめました。
今回は5月31日の「日曜美術館」のテーマ『#アートシェア』の作品と、展覧会「ルオーと日本展」についてまとめていきます。
番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪
《怒れるメディア》ドラクロワ
《怒れるメディア》1836-38年
ウジェーヌ・ドラクロワ
フランス、リール市立美術館
『怖い絵』シリーズの著書でおなじみ、ドイツ文学者中野京子さんが選んだ一枚です。
この絵は一見すると、「女性と子供が誰かに追われてどこかに逃げ込んでいる」いう風に見えます。
しかし実際は違います。
この作品も”怖い”場面を描いているのです。
子どもを抱える女性がタイトルにもあるメディアです。
彼女はギリシア神話に登場する王女です。
侵略者であるイアソンとメディアは恋に落ちます。
メディアは祖国を捨て結婚、二人の子どもを授かります。
ところがイアソンはメディアと離婚し、グラウケーという別の女性と結婚してしまいます。
裏切られたメディアは怒りに駆られ、イアソンとの間に生まれた我が子を殺そうとしているのです。
これは人の怒りが母性などの他の感情を支配してしまう、その瞬間を描いた作品なのです。
中野氏はこの作品を選んだ理由について、「コロナ禍でフェイクニュースが流れる今だからこそ、真実を知るためには知識が必要であるという事を、心にとめておきたい」と述べています。
《天空に浮かぶ信濃川の航跡》のためのプランドローイング
続いてはアートディレクターの北川フラムさんが選ぶ一枚です。
北川氏は「瀬戸内国際芸術祭」や「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」等を手掛けてきました。
ちなみにフラムというお名前は本名だそうです。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
この作品は越後妻有の「大地の芸術祭」で公開された作品です。
磯部行久(いそべ ゆきひさ)さんが信濃川をテーマに作成しました。
磯部行久さんは環境をテーマに作品を制作してきたアーティストです。
この作品では500年毎の水面の高さをラインで示し、土地の歴史を表現しています。
「仏の海」シリーズ
続いては茶人の千宗屋さんの選んだ作品です。
紹介する作品は京都市京セラ美術館で公開されています。
本来であれば2020年3月にリニューアルオープンの予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で開館が延期になっていました。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
この作品は現代美術作家の杉本博司氏が手掛けました。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
京都にある三十三間堂に安置されている千体の仏像。
その御像を平安時代と同じ自然光の下で撮影した作品です。
極楽という”観念”の世界を、千手観音であふれる海として再現した作品です。
この展覧会は6月13日現在、京都府在住の方のみ予約制での公開が始まりました。
6月19日以降は京都府以外にお住まいの方も予約制で見る事ができます。
詳細につきましては、美術館の公式ホームページからご確認下さい(リンク)
展覧会「ルオーと日本展」
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、開催が延期となっていた「ルオーと日本展」。
緊急事態宣言の解除に伴い、6月5日に展覧会が始まりました。
フランスの画家ジョルジュ・ルオーと日本との関係を読み解く展覧会です。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
ジョルジュ・ルオー(Georges Rouault、1871-1958)はパリに生まれました。
画家を志したルオーは1890年に国立美術学校に入学します。
そこで生涯に渡って師と仰ぐギュスターヴ・モローに出会います。
サロメを描いた《出現》で知られるあのモローですね。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
モローは日本美術に関心を寄せており、このような歌舞伎役者の作品も描いています。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
教え子であるルオーもその影響を受けます。
この作品では馬に乗る武士の姿が描かれています。
太く力強い線で、武士の勇ましさを表しています。
またそのタッチも早く、一瞬の動きを捉えています。
日本のモチーフというのもあるかもしれませんが、どこか日本画のようにも感じられます。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
『ピエロ』はルオーの代表的な画題の一つです。
この作品の独特なタッチは、”塗っては削る”という作業を繰り返すことで表現されました。
この作品ではピエロの化粧の下に隠された辛さや苦労が見て取れます。
ルオーはそのピエロの生きざまに人生そのものを重ねました。
洋画家 梅原龍三郎
画像出展元:wikipedia「梅原龍三郎」より
ルオーの作品は日本の洋画家である梅原龍三郎(1888-1986)によって日本に紹介されました。
当時日本でルオーの作品が公開され、松本竣介や難波田龍起、三岸幸太郎などに影響を与えていきます。
今回の展覧会ではルオーに影響を受けた彼ら日本人画家の作品も展示されています。
「ルオーと日本展」は東京・港区のパナソニック汐留美術館で6月23日まで開催されています。
詳細は展覧会公式ホームページをご確認下さい(リンク:ルオーと日本展)