2020年5月31日にNHKで放送された「日曜美術館」の【#アートシェア 今こそ、見て欲しいこの一作】の回をまとめました。
今回の記事はパート3になります。
前回のパート2はこちら☚からご覧いただけます。
番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪
国宝《洛中洛外図屏風(舟木本)》岩佐又兵衛
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
この作品は美術ライターの橋本麻里さんが挙げた一枚です。
「トーハク」の名で親しまれている、東京国立博物館に収蔵されています。
描かれているのは江戸時代初期の京都の街並みです。
戦国時代が終わり、争いのない泰平の世がやってきたこの時代。
そこには平和な世を楽しむ人々であふれています。
公家や武士の姿もありますが、庶民が主役となり京の町を熱気が包み込んでいます。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
画中には五条大橋が描かれています。
橋の上には花見帰りの人々が余韻も冷めやらぬような状態で、踊り狂いながら渡っています。
一見眉をひそめてしまうような状況ではありますが、その野放図さが寧ろ今のコロナ禍の状況で見ると、解放的で羨ましい気持ちさえ抱きます。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
人形浄瑠璃や遊女歌舞伎といった舞台も描かれています。
ここで描かれている人々は舞台につめかけて、演じられている芸能に熱狂しています。
これもどこか卑俗なエネルギーに満ちていますが、舞台やお芝居などを見る事のできない今の私たちからするとたいへん魅力的に見えます。
岩佐又兵衛について
《自画像》重要文化財
岩佐又兵衛
静岡・MOA美術館蔵
岩佐又兵衛(1578-1650)は桃山時代末期から江戸時代初期にかけて個性的な画風の作品を残しました。
その人生も壮絶で、父親の戦国武将・荒木村重が主君であった織田信長に謀反を起こすも失敗。
一族は滅亡するも、又兵衛は奇跡的に逃れます。
その後母親の姓である「岩佐」を名乗り、京都で絵師としての活動を始めます。
この時代の絵師としては珍しく、一つの流派には属さずに独自の画風を追求していき、古典から風俗まで幅広い作品を残しました。
橋本麻里さんのコメント
橋本さんは「やはり美術作品は美術館に行って、見たい」といいます。
展覧会のチケットを片手に、ワクワクしながら美術館に向かう楽しみ。
作品を見た後、ミュージアムショップに立ち寄り、東京であればその後上野公園をぶらぶら歩きながら、余韻に浸ります。
そしてどこかお店に入って一杯楽しむ、というこの工程すべてが「美術を楽しむという体験」だったんだなと改めて感じたといいます。
《起こす》島袋道浩
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
現代美術家の会田誠さんが挙げた作品は、島袋道浩氏の《起こす》という作品です。
2017年に宮城県の石巻を中心に開催された”リボーンアートフェスティバル”にて展示されました。
現代美術家の島袋道浩(しまぶく みちひろ)氏は人間の生き方や新しいコミュニケーションのあり方について探求してきました。
この《起こす》という作品では、浜辺に辿り着いた流木をひたすら起こした作品です。
《ヘーゼルナッツの花粉》ヴォルフガング・ライプ
今回のアートシェア特集のラストは森美術館・館長の片岡真実さんです。
国内外の現代アートの精通している片岡氏が選んだのは、一風変わったインスタレーション作品です。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
ヴォルフガング・ライプ(Wolfgang Laib、1950-)はドイツを代表する現代アーティストです。
彫刻家として知られるライプは、”生命について探求する作品”を作り続けています。
この作品は2013年にニューヨーク近代美術館開催された展覧会で公開されました。
ライプ氏によると、花粉は花の本質だといいます。
花の命はその花粉から始まります。
ライプ氏はこの《ヘーゼルナッツの花粉》を制作するにあたり、自宅近くの野山でコツコツと花粉を集めました。
その量はワンシーズンで瓶一つ分だけで、この作品を制作できるだけの量を集めるのに20年かかりました。
画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より
大きさは縦横6メートルの正方形です。
その圧倒的な存在感は、どこか荘厳ささえ感じられます。
片岡真実さんのコメント
片岡さんは今回のこの一連の数カ月で、”アートへの向き合い方”が変化したといいます。
今は実際にアート作品を見る事が出来ず、また外出もできないという状況です。
ですので、自分たちの想像力を使うしかなく、それしか広げられるところがありません。
アート鑑賞とは、「美術作品と自分たちのそれぞれの中にある想像力の対話」です。
そういう意味でいえば、今のこの期間は”鑑賞する私たちの中にある力を高めておく時”なのです。
いかがでしたでしょうか。
今回の記事は以上になります。
最後までご覧頂きありがとうございました。
コメント
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