【ロンドン展⑩】ムリーリョの作品【ぶらぶら美術・博物館】

ぶらぶら美術・博物館

2020年4月7日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#343 世界初!奇跡の大規模展「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」後編〜古典から印象派の誕生へ、ゴッホ「ひまわり」日本初公開!〜】の回をまとめました。

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。

二週に渡って放送されたぶらぶら美術・博物館」のロンドン・ナショナル・ギャラリー展の特集回、後編をまとめていきます!
(前編からの続きとして、この記事はパート10としています)

*開幕日及び会期が変更となっております(2020年6月4日現在)
詳細は展覧会公式HPをご確認ください。
ロンドン・ナショナル・ギャラリー展公式HP:リンク

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第5章 スペイン絵画の発見

ベラスケスゴヤなどで知られるスペイン絵画ですが、じつはこのスペイン絵画を世界に広めたのはイギリスだといわれています。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

スペインとフランスとの国境にはピレネー山脈という山脈があります。
かつては「ピレネー山脈の向こう側はアフリカで、ヨーロッパじゃない」という風な言われ方もされていました。
またスペインはカトリックの国でしたので、イギリスをはじめとするプロテスタントの国々とは関係が疎遠になっていました。

そんなスペインですが、絵画は17世紀が”黄金時代”と言われています。
しかしその当時はスペイン国外ではあまり知られていませんでした。

ところが1808年にナポレオン率いるフランス軍がスペインに侵攻します(スペイン独立戦争:1808-14年)。
イギリスはスペインと同盟を結び戦争に介入、フランス軍に勝利します。

これを機にスペイン・イギリス間の人や物品の往来が活発化し、イギリス人はその素晴らしい文化や芸術を発見します。
それにより一昔前のベラスケスなどの過去の偉大な画家たちにも気づくのです。

現在ではベラスケスゴヤなどは西洋美術史を語る上では外せない存在になっていますが、彼らをそういった存在に変えたのがイギリスなのです。

《窓枠に身を乗り出した農民の少年》ムリーリョ


《窓枠に身を乗り出した農民の少年》1675-80年頃
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ
ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵

青い上着から肩を出した少年が、窓枠から身を乗り出して画面右方向に微笑みかけています。

バルトロメ・エステバン・ムリーリョ(Bartolomé Esteban Perez Murillo、1617-1682)はバロック期のスペインの画家です。
1617年にスペイン南部のセビーリャで生まれます。

ムリーリョはその存命中からイギリスでとても人気のある画家でした。
19世紀末までは、スペイン絵画=ムリーリョといわれるほどだったといいます。

そんなムリーリョですが、スペイン国内でのイメージとイギリスをはじめとする国外でのイメージが異なるといいます。


《無原罪の御宿り》1660-65年
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ
プラド美術館蔵
*「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」の出展作品ではありません

スペインでのムリーリョのイメージは、この作品のように”天使が沢山いる宗教画家”のイメージです。


一方スペイン国外では、この《窓枠に身を乗り出した農民の少年》のような「子どもの絵を描く画家」のイメージが強いのです。
実際のところムリーリョの作品の約9割は宗教画ですので、子どもの絵は割合的には少ないです。

この作品のようにムリーリョの描く子供はたいへん可愛らしいという特徴があります。
この少年も裕福な家庭というよりは、貧しい家庭のわんぱく坊主といった感じですが、ことさらその貧しさは強調されておらず、子供の純粋さ無垢さが表現されています。

このような風俗画は、例えカトリックやプロテスタントの違いがあろうとも関係なく受け入れられたのです。

山田五郎氏曰く、「大体の西洋画家の描く子供は可愛くないが、ムリーリョは数少ない子供を可愛らしく描ける西洋画家だった」とのこと。

ちなみにスペインで、「ムリーリョは子供の絵を描くイメージ」というと、「え、ムリーリョそんな作品描いている?」という反応になるといいます。

対となる作品《ショールを持ち上げる少女》ムリーリョ

この《窓枠に身を乗り出した農民の少年》は、単に窓の外を見て笑っている作品だと考えられていましたが、近年の研究では、ほぼ同じ大きさで描かれた《ショールを持ち上げる少女》と対となっている作品だと考えられています。


《ショールを持ち上げる少女》1670年代
バルトロメ・エステバン・ムリーリョ
個人蔵
*「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」の展示作品ではありません

こちらの少女は少年よりも少し年上に見えます。
顔を覆っていたショールをめくり上げ、流し目を送っています。

それではこの2枚を並べて見てみましょう。

個人的には「う~ん、対になっているかなぁ?」という印象がなくもないですが…😅

初恋のカップルが背伸びをして大人の真似をしているのか、あるいは何らかの文学作品をベースにしているのか、この対作の意味はまだ分かってはいません。

個人的には男の子方があどけない表情をしていて、女の子の方が大人びた(ある種”ませている”)所が面白いなと思いますね。

今回の記事はここまでになります。
続くパート11ではスペイン絵画の巨匠ベラスケスの作品について見てまいります。
こちら☚からご覧いただけます。

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