【アートシーン】ブーダン展/河鍋暁斎展

その他美術番組

2026年5月10日・17日にNHKで放送された「日曜美術館アートシーン」の展覧会紹介の内容をまとめました。

*画像出展元:テレビ番組「日曜美術館 アートシーン」より

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開館50周年記念 ウジェーヌ・ブーダン展―瞬間の美学、光の探求 (SOMPO美術館)

印象派の先駆者」として知られるウジェーヌ・ブーダンの魅力に迫る展覧会です。

若き日のモネをアトリエの外へ導き、戸外で描くことの大切さを教えたのがブーダンでした。

中央で寝そべっているのがモネで、右隣が妻のカミーユです。

人物を緑の中に柔らかく溶け込ませ、穏やかな空気を画面に満たしています。

ヴェネツィアにあるサン・マルコ地区の眺め。
自然の風景とは異なる、華やかな都市の景観です。

広がる雲はブーダンらしい、透明感のある光で表されています。

水辺に集う牛の群れ。
この作品では光を反射する毛並みの艶まで捉えています。

印象派の誕生に大きな影響を与えたウジェーヌ・ブーダン

この展覧会は東京・新宿区のSOMPO美術館で2026年6月21日まで。

その後、記載の美術館4館を巡回します。

ゴールドマン コレクション 河鍋暁斎の世界 (サントリー美術館)

19世紀後半。
明治時代の日本では近代化の名のもとに、あらゆる分野で変革の波が押し寄せていました。

美術界で評価されたのは洋画や正統派の日本画

そうした中で庶民の間では風刺の効いた”戯画”に人気が集まっていました
これは書画会といって、絵師や書家が客の求めに応じて作品を描く催しの様子。

手を広げて客とやり取りしている人物は、河鍋暁斎その人。
書画会では特に人気があり、「暁斎に絵を描いて欲しい!」という客が絶えなかったといいます

暁斎は幼い頃に浮世絵師・歌川国芳に絵の手ほどきを受け、その後は狩野派の絵師のもとで正当な日本画の修業を積みました。

明治初期の暁斎の作品。
三味線を爪弾いているのは洋装にシルクハットの骸骨ですが、その後方には日本刀が置かれています。

「西洋風を気取ってみても人間の本質は変わらない」と、文明開化の流れを皮肉ったもの。
こうしたユーモアと風刺性が庶民の共感を呼び、同時に来日外国人の間でも評価されて、やがて海外にもその名が知られるようになりました。

そんな暁斎の世界最高峰といわれるコレクションの名品がイギリスから来日しています。

暁斎多彩な画風や技法を巧みに使い分けます

こちらは月夜に猫の妖怪・猫又が手拭いをかぶって石灯籠の上で踊る姿。
国芳に絵を習ったというのもうなずけるユーモラスな作品です。

一方こちらは頭上の蝶を狙っている猫をリアルに捉えた作品。
その表情や白い毛並みまで繊細に描かれています。

暁斎が得意としたものに、大きく分けて”本画”と、それから”席画”というものがあります。”本画”というのは、いわゆる入念に準備したものになりまして、”席画”は即興的に描いたものになります」(サントリー美術館 副学芸部長・池田芙美氏)

  • 本画~作家が入念に準備した完成作
  • 席画~宴席や会合で即興的に描く絵

「《蝶と菊に猫》に関しましては本画に属するものになりまして、猫も蝶もいずれも長寿を意味するものなんですが、非常に古典的な画題になっております」

「一方で《猫又図》に関しましては席画に属するものになりますが、猫の周りを見てみますと、モヤモヤと墨の動きのようなものが描かれていまして、猫のこの動き自体も表現しているということが分かります。両方とも非常に対比的ですが、いずれも面白い作品になっているかと思います」

どんなものでも描けた暁斎
得意としたジャンルの一つが妖怪画です。

これは室町時代の『百鬼夜行絵巻(ひゃっきやぎょうえまき)』を暁斎がアレンジした屏風絵。
「百鬼夜行」とはさまざまな妖怪が夜中に練り歩く行進のこと。

鬼や動物の妖怪に交じって木魚や瓢箪も。

妖怪の生命力を感じさせる淡い朱色のアクセント。
暁斎の筆は空想の世界さえ生き生きと描写します。

リアルな動物の姿も数多く手掛けました。
こちらは本画の伝統的な画題である”水呑みの虎”

暗闇で光る瞳、隆々とした筋肉。
毛の流れは細い線で細かく描いています。

よく見ると、水面に映る虎の目にも薄く金泥が施された手の込みよう。

特に評価が高かったのが、今にも鳴き声が聞こえてきそうな鴉(からす)の絵。

暁斎はまず観察し、鳥が別の体勢をとったら記憶によって描けるだけ描き、また観察に戻ったという逸話が残されています。

そして「これぞ暁斎」というアイデアの詰まった代表作も。

室町時代に実在した伝説の遊女・地獄太夫一休和尚の出会いを描いた作品です。

「《地獄太夫と一休》という作品は暁斎の本画の代表作といえるかと思います。地獄太夫の細やかな表情ですとか、髪の毛の表現、打ち掛けの描写など狩野派で学んだ修業の成果というのがよく表れているかと思います」

「一方でこの一休の動きを見てみますと非常にユーモラスな動きをしておりまして、これはいわゆる”狂画””戯画”に属するような表現かと思います。暁斎はこの本画と狂画というものを見事に融合させているかと思います」

優美な着物の描写、地獄太夫のなまめかしさ、そしてユーモア。
唯一無二の暁斎の世界です。

暁斎の魅力にあふれる展覧会。
東京・港区のサントリー美術館で2026年6月21日まで開催です。

その後、神戸市立博物館静岡県立美術館に巡回します。

今回の記事は以上になります。

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