【アートシーン】京都・智積院の名宝/美しきシモネッタ 他

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2022年12月18日にNHKで放送された「日曜美術館アートシーン」の展覧会紹介の内容をまとめました。

*画像出展元:テレビ番組「日曜美術館 アートシーン」より

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「京都・智積院の名宝」 @サントリー館美術館

桃山時代、豊臣秀吉長谷川等伯一門に描かせた障壁画の数々。
京都・智積院で数百年にわたり守り継がれてきました。

国宝の襖絵をはじめとする名品が初めて門外で同時に公開されています。

大きな幹から垂れ下がる豪快な枝ぶり。
長谷川等伯の国宝《楓図》です。

巨木に寄り添うように鶏頭(けいとう、ヒユ科の一年生植物)や萩(はぎ)などの草花が描かれています。

楓の葉はどれも同じ形で、パターン化されて描かれています。

萩の葉の形も同様です。

こうしたデザイン性のある表現で、背景の金地に色彩が映える工夫がされています。

等伯の息子、長谷川久蔵が描いた《桜図》。
こちらも国宝に指定されています。

金雲をまとい、枝を広げる桜の姿に《楓図》と似たの豪快さが見られる一方、散りゆく桜の儚さも表されているようです。

実物よりはるかに大きい桜の花。
胡粉を盛り上げることで立体感を強調しています。

しだれ柳の葉が垂れ下がることで、画面に奥行きを生み出しました。

久蔵はこの絵を仕上げたのち、26歳の若さで亡くなりました。

等伯の描写力を物語る《松に黄蜀葵図(まつにとろろあおいず)》。
風が強く吹きつけ、草花がうごめいてるかのようです。

これらの障壁画はさまざまな災難に見舞われてきました。
不自然なつなぎ目がその歴史を物語っています。

祥雲禅寺の襖絵の場合は、1682年に火災に遭っています。ですがその当時、智積院の僧侶たちは襖絵を助け出し、現在まで無事に伝える事ができたといわれています

智積院の目録によりますと、大小93枚の障壁画が”まくり”という襖から剥がされた状態で保管されていたということが分かっています

そして1727年になって、再び襖として仕立て直されるんですけれども松に黄蜀葵図(まつにとろろあおいず)に関しては、本来、横にあった画面を上に貼り継いだという経緯があります

智積院では、仏教美術の名宝も大切に保存されてきました。

国宝の《金剛経(こんごうきょう)》。
中国・南宋時代の書家、張即之(ちょうそくし)による写経です。

特徴は力強く太い線。
緩急をつけながらも、同じ緊張感がある見事な筆運び。
日本の書の手本とされてきました。

今日の智積院・宸殿(しんでん)を飾る襖絵。
京都出身の画家堂本印象が描きました。

2人の女性が野だてをしている画面に、受け継がれてきた伝統が感じられます。

金地に映える鮮やかな色彩。

着物の柄は楓でしょうか。

松の木はデザイン性のある表現がなされています。

数百年の時を超え、現代にも影響を与え続けています。

この展覧会は東京・港区のサントリー美術館で2023年1月22日まで開催されています。

ボッティチェリ特別展 《美しきシモネッタ》 @丸紅ギャラリー

ルネサンス初期を代表する巨匠が描いた、貴重な一枚の作品を展示する美術展です。

じつは日本にある唯一のサンドロ・ボッティチェリの作品、《美しきシモネッタ》。
所蔵する丸紅株式会社が1969年にイギリスから輸入しました。

モデルの女性は16歳で結婚しフィレンツェの社交界にデビューした女性、シモネッタ・ヴェスプッチ

絶世の美女と謳われ多くの男性を虜にしましたが、23歳の若さで亡くなりました。

ルネサンス期の美人とは、”大きな目”と”金色の髪”、そして”明るい肌”。
さらに”口はこころもち小さいこと”などといわれています。

ボッティチェリの代表作《プリマヴェーラ》にもシモネッタが描かれているといわれています。

それがこちらの三美神のなかの一人。
整った目鼻立ちが共通しており、首からさげたペンダントも色合いがよく似ています。

ボッティチェリシモネッタの面影を求め続けていたのかもしれません。

この展覧会は、東京・千代田区の丸紅ギャラリーで2023年1月31日まで開催されています。

特別展「ビアズリーの系譜 アールヌーヴォー、日本の近代画家たち」 @下関市立美術館

19世紀末、独自の様式で異彩を放ったイギリスの画家、オーブリー・ビアズリー
同時期の画家、さらには日本の画家たちにも影響を与えたその系譜をたどります。

ビアズリーの代表作、戯曲『サロメ』の挿絵です。
曲線の装飾やデフォルメされた登場人物。

黒を大きく使うことで、『サロメ』の妖しくも不気味な世界観を表現しました。

ビアズリーに早くから関心を寄せていた画家、トゥールーズ=ロートレック
こちらの《ディヴァン・ジャポネ》では、ダンサーをモデルに中央の女性はデフォルメして表されています。

青木繫が自身の代表作《海の幸》を描いた22歳ころの作品。

装飾的な女性像はビアズリーの画風との共通点が感じられます

山口県の下関市立美術館で2023年1月29日まで開催されています。

今回の記事はここまでになります。

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