【日曜美術館】美人画の神髄〜歌麿の技の錦絵〜①【美術番組まとめ】

日曜美術館

2021年4月25日にNHKで放送された「日曜美術館」の【美人画の神髄〜歌麿の技の錦絵〜】の回をまとめました。

番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

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イントロダクション

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

喜多川歌麿(1753年頃~1806)は、江戸時代に活躍した浮世絵師です。
多くの美人画を描き、そこに女性たちの心の内面までをも表現しました。

江戸の女性たちの美を余すところなく描いた歌麿
この『当時三美人』という作品では、その名の通り、当時人気の美女であった3人を、今でいうブロマイドのように描き、大ヒットとなりました。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

歌麿は”青楼(せいろう)の画家”とも呼ばれます。
「青楼」は吉原のことです。

こちらの作品で描かれているのは真夜中。
寝巻姿の遊女がお手洗いに行く姿を描いています。
歌麿は遊女たちの素顔までをも描いたのです。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

白い打ち掛けの下に、華やかな着物をまとった女性が振り返っています。
着物には輪郭線が描かれていません。

歌麿は時に、それまでの浮世絵の伝統とは異なるアプローチをしました。
この作品では浮世絵版画にとって大切な、輪郭線をなくしています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

歌麿は次のような言葉を残しています。
近頃、木っ端(取るに足りない、つまらないの意)絵師たちが、下手な絵で異国にまで恥をさらしている。私が美人画の神髄を見せてやろう」。

歌麿の大首絵

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

歌麿が一躍人気絵師となった理由、それは浮世絵の美人画ではじめて「大首絵」描いたことです。
「大首絵」とは、上半身をクローズアップした構図の絵のことです。
全身像に比べて、より表情が見える女性の大首絵に、歌麿は微妙な表情の変化を表現しました。

婦女人相十品 文読む女

女性が顔を近づけ、熱心に手紙を読んでいます。
恋文でしょうか?

眉は剃られ、少し開いた口からはお歯黒が見えます。
この特徴から、この女性が、結婚した女性であることが分かるのです。

手元を見ると、かなり力を込めて、手紙をぎゅっと握っています。
よほど大事なことが書かれているのでしょうか?

婦人相学十躰 面白キ相

読み方は「ふじんそうがくじゅったい」です。

女性が何やら口元を突き出して、鏡でそれを見ています。
何をしているかというと、お歯黒の付き具合をチェックしているのです。

普段人前では見せない、女性のリアルな姿を歌麿は盗み見て、絵にしているのです。

婦人相学十躰 浮気之相

湯上りで熱いのか、女性は服がはだけた姿のまま、肩にかけた手ぬぐいで手を拭いています。

浮気之相(うわきのそう)」というタイトルが付けられたこの作品。
じつは江戸時代の”浮気”の意味は現代とは違い、”陽気で派手好きな恋多き女性”という意味だったそう。

とすると、女性の視線の先には意中の男性でもいるのでしょうか?

歌撰恋之部 物思恋

作品の読み方は「かせんこいのぶ ものおもうこい」。

こちらの女性も眉を剃っている事から、既婚の女性であることが分かります。

気怠そうに頬杖をついて、ぼんやりと物思いにふけっているようです。
果たして何を思っているのか?誰かのことを思いやっているのでしょうか?

日本画家 宮崎優さんが語る歌麿の魅力

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

日本画を独学で学び、美人画に打ち込んできた宮崎優さん。
自身の作品が版画化されたのをきっかけに、改めて歌麿の魅力に魅せられているといいます。

歌麿は細部のこだわりがあったからこそ、一枚一枚の女性の魅力を、最大限に引き出すことが出来たのではないか、というふうに感じました」(宮崎氏)


この時代の結婚している女性は、眉毛を剃った姿で描かれます。
じつは眉毛は表情を表現する上で重要なパーツで、眉毛一つで目元が決まるといっても過言ではありません。

しかし歌麿は「目」の表現だけで、この女性が物思いにふけっているというのを見事に表しています。


目元をよく見ると、目尻が微妙に丸く描かれています
このように描く事で、きつい印象をなくしているのです。

これがもし切れ長になると、不機嫌な印象になっていたかもしれません。


口元を見ると、口角も微妙に下がっています
仮に口角が上がっていたり、口が開いていたならば、また全然違う表情になっていたでしょう。

宮崎さんは、「この目とこの口のバランスで、この表情が絶妙なバランスの上に成り立っている」と言います。

歌麿と蔦屋重三郎

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館」より

歌麿が美人大首絵を描くのに、大きく関わった人物がいます。
版元の蔦屋重三郎(つたやじゅうざぶろう、1750~1797)です。

名プロデューサーともいえる蔦屋との二人三脚で、歌麿は浮世絵界に頭角を表していきます。
その新たな企画として、美人で評判の町娘を描き、売り出します。

今回の記事はここまでです。
続くパート2では、その町娘の姿を描いた『寛政三美人』について詳しくまとめていきます。
こちら☚からご覧ください。

コメント

  1. […] 今回の記事はパート2になります。 前回のパート1はこちら☚からご覧いただけます。 […]

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