【レポート】 狩野派と土佐派@根津美術館

2021年

こんにちは、masayaです。
「masaya’s ART PRESS」をご覧頂きありがとうございます。

今回は根津美術館で2021年2月25日㈭から2021年3月31日㈬まで開催の「狩野派と土佐派
幕府・宮廷の絵師たち」の感想レポートを書いていきたいと思います。

鑑賞日:2021年3月14日(日)

展覧会名:狩野派と土佐派 幕府・宮廷の絵師たち

鑑賞時間:30分
料金:オンライン日時指定予約:一般1300円/当日券(窓口販売):一般1400円
*詳細は美術館公式ホームページをご確認ください。
写真撮影:NG
グッズ購入額:0円

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展覧会の感想

今回は私masayaが個人的に大好きな美術館『根津美術館』で開催された展覧会について、簡単にまとめていきたいと思います。

狩野派と土佐派』というタイトルの展覧会ですが、「狩野派」と聞きますと、狩野永徳狩野探幽など、壮大でインパクトのある作品を思い浮かべる方が多いと思います。
また「土佐派」はというと、特定の絵師はすぐに出てきませんが、「優美で上品な大和絵」といった印象でしょうか。

この展覧会では「やれ永徳だ、やれ探幽だ」といったド派手でインパクトのある作品はありません。
ですがそれぞれの画派についての見識を深められて、今後の美術鑑賞に役立つ・勉強になる、そんな展覧会でした。

ちなみに展覧会の公式図録や関連グッズはありませんでした。

作品紹介

ここからは展覧会出展作品をいくつかご紹介したいと思います。


《四季花鳥図屏風》右隻
伝 狩野元信筆
日本・室町時代 16世紀 根津美術館蔵

こちらは展覧会ポスターにも使われている作品です。
描いたのは、狩野派二代目の絵師・狩野元信(かのうもとのぶ、1476-1559)です。

狩野元信は『四季花鳥図』の主題の作品を他にも描いており、最もよく知られているのが、京都の大仙院が所蔵する《四季花鳥図》でしょう(『狩野派と土佐派』の出展作品ではありません)。

僕の狩野元信のイメージはこの《四季花鳥図》ように割ときっちり、まじめに描く人というイメージがありました。

今回の展覧会の《四季花鳥図屏風》で面白いのは、やはりここの部分ではないでしょうか。
池に飛び込もうとしているカラスに対して、陸にいるカラスが羽を手のように使い、何か話しかけているようです。
(ちなみにこの写真は会場のポスターを撮影したもので、作品そのものではありませんのでご安心を)

「おい、気を付けろよ!」みたいな感じですかね。

こんな遊び心のある表現をする絵師だと思っていなかったので、この作品はすごく新鮮に感じられました。


《林檎鼠図》桃山時代 16 ~ 17世紀
「元信」印
根津美術館蔵

展示の中でもひときわ人が集まっていたのが、こちらの作品です。
ネズミが林檎を食べているという、どこか可愛らしい作品です。

作者について『「元信」印』との事ですが、その辺はどうなんでしょう…


(左隻)

(右隻)
《両帝図屏風》
狩野探幽筆
日本・江戸時代 寛文元年(1661) 根津美術館蔵

こちらは元信の時代から、100~150年後に活躍した狩野探幽(かのうたんゆう、1602-1274)の作品です。
右隻と左隻にそれぞれ描かれているのは、中国古代の伝説的な二人の皇帝です。

全体的に金色で、まさに豪華絢爛でした。
権力者の屋敷や城郭を飾るに相応しい出来栄えといえるでしょう。

日曜美術館 アートシーン

ここからは2021年3月21日にNHKで放送された「日曜美術館 アートシーン」の展覧会紹介の内容をまとめていきます。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館 アートシーン」より

狩野派土佐派は、日本の画壇を代表する2つの流派です。
両流派は室町時代から江戸時代にかけて、幕府や宮廷御用絵師として活躍しました。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館 アートシーン」より

狩野派は、15世紀に初代の狩野正信(かのうまさのぶ)から始まり、二代目の元信(もとのぶ)が大きく発展させました。
日本の美術史上で最大の絵師集団であり、漢画をメインにして発展してきました

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館 アートシーン」より

一方の土佐派は、”やまと絵”と呼ばれる日本古来からの画風で、また扱った主題も日本的な風景でした。

狩野派の作品

ではまず狩野派の作品から見てまいりましょう。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館 アートシーン」より

こちらの作品を描いた画僧・周文(しゅうぶん)は、室町時代に足利将軍に登用されました。
作品の読み方は「りゅうかすいかんず」です。

対角線上に遠山を望むその構図からは、中国山水画の影響が見られます。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館 アートシーン」より

その周文に学んだのが、狩野正信でした。
幕府の御用絵師となった正信。以降およそ400年続く狩野派の礎を築きました

観瀑図(かんばくず)は中国の重要な画題の一つで、滝とそれ眺める人を描いたものです。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館 アートシーン」より

こちらは江戸初期に活躍した狩野探幽の作品です。
江戸時代になると狩野派は全国に多数の門人を抱える大絵師集団となっていきます。

この作品では中国古代の伝説的な君主が描かれています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館 アートシーン」より

右隻に描かれているのは黄帝(こうてい)

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館 アートシーン」より

一方の左隻には舜(しゅん)と呼ばれる皇帝の姿が。

二人が治めた国は豊かであったと伝わっています。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館 アートシーン」より

雲に色違いの金を使用し、ここが現実とは異なる伝説の世界であることを表現しています。

土佐派の作品

一方の土佐派は室町時代に宮廷の庇護を受けて、以降やまと絵の画法を受け継いでいきました。

画像出展元:テレビ番組「日曜美術館 アートシーン」より

こちらの《源氏物語朝顔図》を描いた土佐光起(とさみつおき)は江戸時代に活躍しました。
源氏物語の一場面が、線描を駆使して、着物や室内の調度品まで細かく描かれています。

土佐派らしい優美で品のある作品です。

今回の記事はここまでになります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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