【ぶらぶら美術・博物館】画家が見たこども展①【美術番組まとめ】

ぶらぶら美術・博物館

2020年7月21日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#353 三菱一号館美術館「画家が見たこども展」〜かわいいだけじゃない!不思議な世界 ゴッホ、ボナール、ヴァロットンら100点集結!〜】の回をまとめました。

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

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「画家が見たこども展」

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

今回ご紹介する展覧会は三菱一号館美術館で9月22日㈫まで開催予定の「画家が見たこども展」です。
タイトルの通り”こどもが描かれた絵画”を集めた展覧会で、フランスで活動したナビ派」の画家たちの作品が中心となっています。

展示作品数は世界中から集めてきた約100点
その中には個人蔵で、普段美術館では見る事のできない貴重な作品もお目見えしています。

また、この展覧会は現在三菱一号館美術館館長を務める高橋明也さん勇退前、最後の展覧会となっています。
高橋館長は1984年から2年間、フランスのオルセー美術館で勤務していた経験もありフランスにはたいへんなコネクションがあるといいます。
今回はオルセー美術館から貸し出された作品も展示されています。

「ナビ派」とは?

ポール・セリュジエ

1888年に画家のポール・セリュジエがブルターニュ地方のポン=タヴァンという所でポール・ゴーガンから指導を受けます。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

そしてパリのアカデミー・ジュリアン出身の画家たちによってナビ派が結成されます。

ナビ派」の”ナビ”とは、ヘブライ語で「預言者」という意味です。

当時集まった画家たちが「何かちょっと変わった事をやろう!」という事になり、名前も少しオタッキー(意味深)なものにしようとしたのです。

そのナビ派の画家たちが多く描いたのが、子どもと動物でした。

西洋絵画における”こども”という存在

西洋絵画ではじつは長い事”一般のこども”は相手にされていませんでした
西洋絵画で描かれる子どもといえば、幼子イエス、あるいは王侯貴族の子どもだけだったのです。

そのどちらも特別な存在なので、可愛らしく描くというよりも威厳さであったり気品のある感じが求められたのです。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

こちらはルネサンスの時代に描かれた幼子イエスですが、子どもらしい可愛さは確かにありません。
こどもの”無邪気さ”などは絵のテーマにはなり得なかったのです。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

さらに昔の西洋では、子どもを”不完全な大人””半人前の存在”と考えられており、動物と同じとまで思われていました。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

動物に目をやると、昔はネコも扱いが悪かったと高橋館長はいいます。
絵の題材として描かれる事はおろか、ペットとして大事にされるなどという事もなかったのです。

《子どもたちの昼食》ピエール・ボナール

ナビ派」は新しい芸術を目指したグループだったので、それまで描かれてこなかったこどもや動物は格好のテーマだったのです。
その無邪気な姿や日常を描くのは、当時としては斬新で最先端だったのです。

まずは「ナビ派」が誕生する少し前の時代の、こどもを描いた作品を見てみましょう。

《ブレのベルナールとロジェ》ブーテ・ド・モンヴェル


《ブレのベルナールとロジェ》1883年
モーリス・ブーテ・ド・モンヴェル
オルセー美術館蔵

こちらは過渡期の作品で、古典的な描き方がまだ残っているのが分かります。

山田五郎さんも存じ上げていなかった、モーリス・ブーテ・ド・モンヴェル(Maurice Boutet de Monvel、1850-1913)。
19世紀半ば以降に活躍した絵本作家です。

モデルになっているのは画家の二人の息子です。
そのどちらも後にそれぞれ芸術の道へと進んでいます。

描かれたのは1883年です。
ナビ派が誕生したのは1888年なので、その5年前に描かれたものです。

ブーテ・ド・モンヴェルはアカデミックな訓練を経て、きっちりした描き方をしています。
しかし描かれている子どもは無表情で、可愛くは描かれていません。

西洋では「可愛い」という事が必ずしも良い事ではなかったのです。
「可愛い」というのは”弱い”という事とされていたのです。

この作品のように”こどもが主役の絵画”が描かれるようにはなりますが、私たちが思い浮かべる”こどもの可愛さ”の要素はまだ見られません。

《マルセル・ルーランの肖像》ゴッホ


《マルセル・ルーランの肖像》1888年
フィンセント・ファン・ゴッホ
アムステルダム、ファン・ゴッホ美術館蔵

あのゴッホも赤ちゃんの絵を描いています。

ゴッホの赤ちゃんの絵ってイメージないですね!

この赤ちゃんはゴッホのこどもではありません
ゴッホにこどもはいないですしね)

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

タイトルにもある「マルセル・ルーラン」
ルーラン”といえば、アルルで唯一ゴッホと親しかったルーラン夫妻です。

この郵便配達の人の肖像は良く知られていますね。


このルーラン夫妻のこどもが、描かれている赤ん坊のマルセル・ルーランなのです。
ちなみに女の子ですが、正直な所あまりそうは見えません(笑)

ゴッホは弟のテオにこの絵と手紙を送っています。
手紙には「テオにこどもが生まれたら、その子を描きたい」と書かれていました。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

この手紙からもゴッホ自身、こどもを描く事に興味があったと考えられます。
実際にこの作品以外にも、ゴッホはこの赤ん坊の絵を描いています。


《ルーラン夫人と赤ん坊》1888年
フィンセント・ファン・ゴッホ
ニューヨーク、メトロポリタン美術館蔵
*「画家が見たこども展」の出展作品ではありません。

しかし”可愛く描く”という発想はなく、両親の肖像画と同じようなスタンスで赤ん坊も描いているのです。


赤ん坊ですが、目が強く印象的に描かれています。
ゴッホは手紙の中で「ゆりかごの中の赤ちゃんを見ていると、”宇宙の中の無限”を見ているような感じがする」と綴っています。
この目にはゴッホのその印象が表されているのかもしれません。

今回の記事は以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。

続くパート2ではいよいよナビ派の画家が描いたこどもたちの作品を見てまいります。
こちら☚からご覧いただけます。

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