2020年3月22日にwowowで放送された「CONTACT ART~原田マハと名画を訪ねて~」の【#4 ドービニー/山梨県立美術館】の回をまとめました。
番組内容に沿って、+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪
山梨県立美術館
今日の作品《オワーズ河の夏の朝》を所蔵する山梨県立美術館のコンセプトは「自然豊かな山梨県の風土に合う農民や大地・自然」となっています。
前回ご紹介したミレーのようにバルビゾン派と呼ばれる風景や農民を写実的に描いた画家たちの作品が多く収蔵されています。
1978年の開館以降、そのコンセプトがぶれることなく、今日まで素敵な作品を見せてくれる美術館です。
《オワーズ河の夏の朝》ドービニー
《オワーズ河の夏の朝》1869年
シャルル=フランソワ・ドービニー
山梨県立美術館蔵
夏の朝の爽やかで、すがすがしい情景が描かれています。
オワーズ河というのはフランスセーヌ河の支流です。
画面右下には川辺で洗濯をする女性の姿も見えます。
画面いっぱいに広がる空。穏やかな河の上に小舟が浮かんでいます。
この小舟は蒸気船です。
このようなのどかな田舎町にも近代化の波が押し寄せているのと共に、同時代のものを描くという印象派の姿勢も先取りしています。
一見なんて事のない夏の朝の風景ですが、ここから一日が始まるという爽やかさを画面から感じます。
画家:シャルル=フランソワ・ドービニー
シャルル=フランソワ・ドービニー(Charles-Francois Daubigny、1817-1878)はバルビゾン派のフランスの画家です。
1817年にパリに生まれます。
画家であった父から絵画の指導を受け、21歳の時にポール・ドラローシュのアトリエに入ります。
(*ポール・ドラローシュは2017年の「怖い絵展」のメインビジュアルにもなった《レディ・ジェーン・グレイの処刑》の描いた画家です)
その同じ年にはサロン(官展)にも初入選しています。
そもそもバルビゾン派とは?
1830年頃、パリで活躍していた数人の画家が郊外にあるフォンテーヌブローの森のはずれの村、”バルビゾン”に住むようになります。
彼等は自然に基づく風景画を主に描き、やがて「バルビゾン派」と呼ばれる一つの画派になっていきます。
彼らは主に戸外でスケッチをし、アトリエで作品を完成させるという手法を取っていましたが、これがのちの印象派の画家(彼等は全工程戸外でしあげました)に受け継がれます。
そういった点からも印象派へ続く源流になったといえます。
ドービニーはバルビゾン派の中でも「バルビゾンの七星」と呼ばれる中心的存在の一人でした。
画像出展元:テレビ番組「CONTACT ART #4」より
ドービニーは”ボタン号”という名前の小舟を所有していました。
この小舟を彼はアトリエとして使用し、小舟に乗りながら作品を作りました。
ですので、ドービニーの作品は水面がすごく近く、「この絵はどこから描いているんだろう」と思わせるものが多いです。
このスタイルも後の印象派の画家に影響を与えます。
特にモネはアトリエ船という考えが好きで、《セーヌ川の朝》の連作をアトリエ船に乗って描きました。
《セーヌ川の朝》1898年
クロード・モネ
国立西洋美術館蔵
ドービニーもモネもアトリエ船に乗り、移りゆく自然を捉え描いたのです。
やがてドービニーは「水の画家」としての名声を獲得するのです。
ゴッホとの関わり
実はドービニーはあのゴッホとも関わりが深い画家です。
ドービニーが亡くなったのは、1878年です。
この頃はゴッホはまだ聖職者を目指しており、画家にはなっていない時代です。
けれども、ドービニーの死を知ったゴッホは弟テオへの手紙の中で悲嘆の気持ちを記しています。
ゴッホは晩年となる1890年5月、精神を病み、その療養のためオーヴェル=シュル=オワーズへと向かいます。
ゴッホが滞在していたラヴー旅館の近くに、彼が敬愛するドービニーの邸宅がありました。
《ドービニーの庭》1890年
フィンセント・ファン・ゴッホ
スイス、バーゼル美術館蔵
ゴッホは亡くなる直前に《ドービニーの庭》というタイトルで、彼の邸宅を描いています。
そしてゴッホはこの地で37年の生涯を閉じるのです。
この《ドービニーの庭》が彼の最後の作品かどうかは分かりません。
けれども最晩年の作品である事は間違いないでしょう。
富士見の窓
画像出展元:テレビ番組「CONTACT ART #4」より
山梨県立美術館には「富士見の窓」と呼ばれる、文字通り富士山を一望できる窓があります。
素敵なところですね~
山梨県立美術館を訪れた際には、作品同様ここも要チェックですね☆彡
今回はここまでです。
最後までご覧頂きありがとうございました。
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