【ぶらぶら美術・博物館】④福田美術館 パート3【今後の展覧会の目玉作品】

ぶらぶら美術・博物館

「ぶら美」の福田美術館の特集の回を自分用のメモとしてまとめました。
パート3では「福美コレクション展」の作品から上村松園伊藤若冲の作品を、
そして今後の展覧会で見る事ができる両名の作品をご紹介したいと思います。

放送を見逃した方や、もう一度内容を確認したい方は是非ご覧ください。
前回のパート2はこちらから☟☟
【ぶらぶら美術・博物館】③福田美術館 パート2【応挙、蕪村、北斎、探幽】

スポンサーリンク

「福美コレクション展」展示作品

《人形遣之図》上村松園、20世紀前半

 

画像出展:福田美術館ホームページより

続いては、円山応挙(1733~1795)や与謝蕪村(1716~1795)よりも後の時代の京都で活躍した絵師です。
その絵師の名は上村松園(1875~1949)です。
男性だと思われている方もいらっしゃるかと思いますが、女性の絵師です

この作品は一見すると浮世絵のような上村松園らしくない作品です。
作品の読み方は「にんぎょうつかいのず」。
喜多川歌麿の《音曲恋の操》(おんきょくこいのみさご)という作品の模写作品になります。

松園は構図はそのままに写してますが、所々オリジナリティを出しています。
例えば、着物の柄などに松園のこだわりが見て取れます。
また人形遣いの二人の表情もどこか怪しげで、色っぽい雰囲気です。

美人画を得意とした上村松園ですが、喜多川歌麿からの影響も受けているのがこの作品から分かります。

《柳に鶏図》伊藤若冲、18世紀後半

 

画像出展:福田美術館ホームページより

続いては伊藤若冲の作品をご紹介します。

柳から出てきた鶏が目を見開いてこちらを見ています
目だけでなく、毛もまるでこちらを威嚇するかのように逆立っています
その毛を若冲は、刷毛でスピード感を持って描いています。

この作品は紙ではなく、絹に描かれたものになります。
このように絹がベースとなる作品は絹本(けんぽん)と呼びます。
若冲の絹本作品は数が多くなく、貴重です。

柳の背景には、おそらく月の光があるのでしょう。
手前と奥にある柳がまるで風に揺れているかのような、臨場感を出しています。

鶏の毛の素早いタッチと、背景の念入りに描かれた柳の描き方の対比も楽しめる作品になっています。

今後の展覧会で見る事ができる作品

《雪女》上村松園、1992年頃

 

画像出展:朝日新聞デジタルより

上村松園の数少ない版画作品《雪女》の原画と考えられる作品です。
大正時代に《雪女》の版画が近松門左衛門の画集の付録として出されています。

「雪女」シルエットのみにもかかわらず、激しい怨念が感じられます。
しかしこの「雪女」はなぜ刀を手にしているのでしょう?

実は生前この女性は騙されて、とある偉い人の刀を奪います。
その後、騙したその人物に雪の中に閉じ込められ凍死してしまいます。
それでこの女性は雪女の幽霊になってしまいます。
雪女になってからその奪った刀を手に、恋人の元に現れ、その騙した人に復讐を頼んでいる、という場面なのです。

あの華やかで優美な美人画でしられる上村松園が、このような作品を描いていたことがまず意外です。
画面全体が墨一色で仕上げられており、刀の部分にだけ金が使われています。

雪女は右手で自らの髪をさわる仕草をしており、その動きはどこか色っぽいところがあります。
例え幽霊を描いても、持ち味の女性らしさを出すところはさすが松園といったところでしょうか。

この作品は1月29日㈬から3月8日㈰まで開催される「美人のすべて」という展覧会にて出品されます。

《雲中阿弥陀如来像》伊藤若冲、18世紀中頃

 

画像出展:ファッションプレスより

こちらは大変珍しい伊藤若冲の仏画作品です。
雲海の中から阿弥陀如来様が手に花を持ち、上半身だけ御姿を現しています。

有名且つ代表作の《動植綵絵》(どうしょくさいえ、30幅からなる動植物を描いた彩色画)の対となる《釈迦三尊図》で若冲仏画を描いていますが、それ以外ほとんど例がなく本作は大変貴重な作品です。

若冲だって言われないと、

彼の作品だとは分かりませんね!

釈迦三尊図》を描く際、若冲は京都のお寺にある中国や高麗の仏画を参考にしています。
おそらくこの作品も、そこから影響を受けたと思われます。

若冲らしくはない作品と言えど、優美で浮世離れしたゆったりとした阿弥陀様で、細かい所には技巧の冴えも見られます。

こちらの作品は2020年3月20日㈮から6月21日㈰まで開催される「若冲誕生~葛藤の向こうがわ」という展覧会にて出品されます。
この展覧会では《雲中阿弥陀如来像》をはじめ、若冲の初期作品と思われる《蕪に双鶏図》も初公開されます。

いかがでしたでしょうか、福田美術館。
僕は関東に住んでいるので中々京都に行くのは難しいですが、
是非一度訪れてみたい美術館だな、と思いました。

コメント

  1. […] パート3では上村松園の作品と、今後の福田美術館での展覧会の情報をまとめていきます。 こちらからご覧ください☟☟ 【ぶらぶら美術・博物館】④福田美術館 パート3【今後の展覧会の目玉作… […]

タイトルとURLをコピーしました