2022年7月3日にNHKで放送された「日曜美術館アートシーン」の展覧会紹介の内容をまとめました。
*画像出展元:テレビ番組「日曜美術館 アートシーン」より
国立西洋美術館リニューアルオープン記念 自然と人のダイアローグ
フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで
東京・上野の国立西洋美術館。
今年4月にリニューアルオープンしました。
美術館の基礎となる作品を収集した松方幸次郎と、同時期のドイツの収集家カール・エルンスト・オストハウス。
二人のコレクションを紹介する展覧会。テーマは「自然と人の対話」です。
「それぞれの作品同士のダイアローグ、響き合いを楽しんでいただくとともに、その多彩な中からそれぞれご覧になる方の心に響くものが何か残って、また新しい自然とのダイアローグにつなげていっていただければというふうに考えております」
雲は画家たちにとって変化してやまない自然を捉えるための重要なモチーフでした。
ドイツの現代美術家ゲルハルト・リヒターの『雲』。油彩画です。
リヒターは姿を変え続ける「雲」を描くことで、「見る」という人間の知覚そのものへの問いを投げかけています。
一方、印象派の画家クロード・モネも水面に映る雲を描いています。
水の揺らぎによって雲の形はより曖昧になっています。
現実と虚構のはざまを行き来するような浮遊感が生まれています。
光を前に立ち尽くす後ろ姿。
大いなる自然の力への感動が伝わります。
カスパー・ダーヴィト・フリードリヒは、ドイツ・ロマン主義を代表する画家です。
自然を科学によって解き明かそうとしていた19世紀。
フリードリヒは神秘性を見出しました。
フィンランドのアクセリ・ガッレン=カッレラが描いた故郷の自然は神聖な印象を与えます。
鏡のように澄み切った湖面。それをリズミカルに切り裂くさざなみ。
北欧神話の英雄が漕ぐ船の航跡ともいわれています。
フィンセント・ファン・ゴッホは自然の営みに人間の一生を重ねました。
ゴッホは釜で麦を刈る人物の中に「死」のイメージを見、人間は刈り取られる麦のようだと語りました。
そしてこう続けています。
「しかしこの死の中には哀しみはなく、
それは純金の光を溢れさせる太陽とともに
明るい光の中にあるのです(弟テオへの手紙より)」
「自然と人のダイアローグ展」は国立西洋美術館で9月11日までです。
今回の記事はここまでになります。