【ぶら美】死ぬまでに見たい日本絵画10選!④【美術番組まとめ】

ぶらぶら美術・博物館

2020年7月7日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#351 ぶらぶらプロデュース!夢の特別展③~死ぬまでに見たい日本絵画10選!山下裕二x仏画の最高峰から琳派、若冲、隠し玉まで~】の回をまとめました。

今回の記事はパート4になります。
前回のパート3はこちら☚からご覧いただけます。

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

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《藤花図屏風》円山応挙


《藤花図屏風》1776(安永5)年
重要文化財
円山応挙
根津美術館蔵
(画像上:左隻 下:右隻)

こちらは円山応挙(1733-1795)が描いた《藤花図屏風》という作品です。


国宝《雪松図屏風》1786年
円山応挙
三井記念美術館蔵

円山応挙と言えば、国宝雪松図屏風》が良く知られています。
しかし意外にも国宝に指定されている作品はこの一点のみなのです。

山下先生応挙の作品について「もう3作くらい国宝になってもいいのでは?」と考えており、その内の一つがこちらの《藤花図屏風》だといいます。


円山応挙は元々は京都のはずれの農家の出身でした。
絵画はほぼ独学で習得しました(一時狩野派に習ったとも言われています)。
また応挙眼鏡絵(めがねえ)と呼ばれるレンズを通して見る立体的な浮世絵も手掛けていました。

そんな応挙の特徴の一つは”写生”です。
彼は”見たものをそのままリアルに描く”という事に徹しました。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

しかし応挙の場合はただリアルなだけではなく、そこに様々な工夫を施しています。
こちらの《藤花図屏風》では、幹と枝の部分は墨で描かれて、葉と花は絵具を使って描かれています。

全く異なる技法を一つの画面に落とし込んでいますが、違和感なく共存しています。
ここが応挙の上手い所でもあります。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

また画材だけでなく、描き方もそれぞれ部分で違います。
上の画像で山下先生が示した部分は、かなり早いサッとした筆さばき、スピード感を持って描かれたことが想像できます。
その一方で葉と花の部分は、一枚一枚緻密に丁寧に描かれています。

円山応挙はそれまでのありとあらゆる画法を勉強し、取り入れ、どんなものでも描ける画家になったのです。

《夏秋草図屏風》酒井抱一


《夏秋草図屏風》江戸時代、19世紀
重要文化財
酒井抱一
東京国立博物館蔵

こちらは琳派の絵師である、酒井抱一が描いた《夏秋草図屏風》という作品です。
この作品は2020年11月3日㈫から東京国立博物館で公開が予定されています。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

ここで「琳派」の流れをおさらいしておきましょう。

始まりは戦国時代から江戸初期にかけて活躍した俵屋宗達です。
風神雷神図屏風》を描いたことで知られる絵師です。

宗達からおよそ100年後尾形光琳がその画風を引き継ぎ、発展させました。
琳派」という名称は、から一字をとったものになります。

さらに光琳の時代から約100年後に、舞台を京都から江戸(宗達光琳も京都で活躍)に移して、活躍したのが、今回取り上げる酒井抱一です

狩野派など多くの画派が、弟子が師匠の作品を模写して技術を会得していったのに対して、琳派は私淑(ししゅく)による継承であり、また時代を超えて、場所や身分も関係なく受け継がれました。
このような受け継がれ方は、琳派独自の特徴といえます。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

山下先生が今回、宗達光琳ではなく抱一を選んだ理由。
それはこの《夏秋草図屏風》が、100年おきの”琳派の系譜の象徴”だからだといいます。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

実はこの《夏秋草図屏風》は、元々は尾形光琳が描いた風神雷神図屏風》の屏風の裏に描かれた作品なのです。
現在は保存上の理由から、別々に離されてそれぞれ表装されています。

抱一が《風神雷神図屏風》の裏面に作品を描けた理由は、その当時の持ち主である一橋治済(ひとつばし はるさだ)(11代将軍家斉の父)が抱一に注文をしたのがきっかけです。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

この《夏秋草図屏風》と《風神雷神図屏風》はそれぞれ表裏が対応するように描かれています

風神の裏には、風神が起こした風を受けてなびく秋の草花が描かれています。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

一方雷神の裏にあたる部分には、雷神の降らす雨に打ちひしがれたような夏の草と、増水している川が描かれています。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

画面全体の色使いにも抱一のこだわりが見られます。
風神雷神図屏風》が金色なのに対し、その裏面という事で全体を銀色に仕上げているのです。

これは渋いですね~カッコいい!

《夏秋草図屛風》右隻

右隻の描かれている百合の花は、本来であれば主役となるモチーフです。
しかし抱一は、その百合をあえて草で隠してしまっています。

《夏秋草図屛風》左隻

また画面に使われている色の多くは、緑・白・銀・青寒色系の色ですが、左隻の一部分だけ紅葉した蔦の葉に暖色が使われており、これが画面全体を効果的に演出しています。

この《夏秋草図屏風》は国宝ではなく、重要文化財です
しかし山下先生はこの作品は、未来の国宝の一番手だといいます。

かつては”琳派”といえば、宗達光琳が主で、抱一はその一段下という捉え方をされていました。
しかし最近では研究も進み、評価もうなぎ登りになってきているので、「近いうちに国宝になるでしょう」との事。

そうなると元々表面に描かれていた尾形光琳の《風神雷神図屏風》も国宝になるんですかね?

今回の記事は以上になります。
お読みいただきありがとうございました。

次のパート5で「死ぬまでに見たい日本絵画10選!」のまとめはラストです。
鏑木清方小村雪岱の作品についてまとめていきます。
こちら☚からご覧いただけます。

コメント

  1. […] 続くパート4では、円山応挙と酒井抱一の作品についてまとめていきます。 こちら☚からご覧いただけます。 […]

  2. […] 今回の記事はパート5になります。 前回のパート4はこちら☚からご覧いただけます。 […]

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