【ぶら美】日本に来ない名画展③【ミケランジェロ、ラファエロ】

ぶらぶら美術・博物館

2020年7月14日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#352 ぶらぶらプロデュース!夢の特別展④~世界の美術館を旅しよう!山田五郎「もう絶対、日本に来ない名画」展~】の回をまとめました。
今回の記事はパート3になります。
前回のパート2はこちら☜からご覧いただけます。

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

前回のパート2ではルネサンス三大巨匠の一人、レオナルド・ダ・ヴィンチについてまとめました。
今回のパート3では、残る二人のミケランジェロラファエロについてまとめていきます。

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《最後の審判》ミケランジェロ


《最後の審判》1536-41年
ミケランジェロ・ブオナローティ

こちらはヴァチカン宮殿のシスティーナ礼拝堂の祭壇画、《最後の審判》です。
縦が約14メートル、横幅約12メートルの大画面です。

これは日本には持ってこれませんね(笑)

ミケランジェロが60歳の頃から5年近くの歳月をかけてほぼ一人で描きました。

山田五郎さんは「さすがのミケランジェロも60過ぎでやっているので、全体に構図が少しばらけている」と言います。

精も根も尽き果てて、「これはさすがにキツイ!」となったのでしょう。
その様子を表した自画像がこの画面の中には描かれています。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

この朽ち果てたような人がミケランジェロの自画像だと言われています。

それを持っているのは聖バルトロマイという聖人です。
彼は最終的に”皮剥ぎの刑”で殉教したといわれ、それを暗示するかのように皮だけにされた状態の自画像が描かれています

ミケランジェロにとっては、「俺はもう抜け殻だ!」という彼の心の叫びなのかもしれません。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

システィーナ礼拝堂のミケランジェロの作品はこれだけではありません。
この《最後の審判》の祭壇画の前の天井にも天井画が描かれています。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

さらに壁の横の絵も、ボッティチェリギルランダイオといったルネサンスの画家たちの絵が並んでいます。

その上をミケランジェロの天井画が覆っているのです。

《天井画「創世記」》ミケランジェロ


《天井画「創世記」》1508-12年
ミケランジェロ・ブオナローティ

山田五郎さんはこの天井画を「ルネサンスの最後を飾る超大作」だと言います。

この天井画は画像上部(手前)から画像下部(奥・祭壇側)に向かって描かれています。
4年の歳月をかけて描かれた天井画ですので、手前から奥にかけて段々と絵が上手くなっているといいます。

ミケランジェロのレベルでもそんな事があるんですね!

天井に絵を描くという事自体、普通に描くのとは勝手が違いますので、そういう部分の慣れもあるのかもしれません。

この《天井画「創世記」》はフレスコという絵画技法で描かれています。
フレスコは画面の下地の漆喰が乾く前に、水で溶いた顔料(色の粉)で絵を描く方法です。
乾燥すると、顔料が漆喰にしみ込んで一体化し、耐久性の高い画面になるのが特徴で、壁画などに多く用いられました。

しかしフレスコ漆喰が乾燥してしまうと、描き直す事ができません
ですので、描く前に綿密な作業計画と素早く描くことが求められるのです。

この天井画の制作にはたいへんな労力を費やしたと考えられます。
ミケランジェロは30代の頃にこの天井画を描きました。

ミケランジェロはこれらのような祭壇画や天井画も描ける人でしたが、彼の本職は彫刻家でした。

サン・ピエトロ大聖堂の《ピエタ》は有名ですね!

ですが絵も上手に描けてしまうばっかりに、このように絵画の注文もきてしまったのです。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

システィーナ礼拝堂の天井画は旧約聖書の「天地創造」の世界、つまり”世界の始まり”を描いており、祭壇画の《最後の審判》は”世界の終わりの日”を描いています。

《小椅子の聖母》ラファエロ


《小椅子の聖母》1514年頃
ラファエロ・サンツィオ
イタリア、パラティーナ美術館蔵

レオナルド・ダ・ヴィンチラファエロと並ぶ三大巨匠の一人、ラファエロの作品です。
山田五郎さんは「もしかすると来日するかもしれない作品」と言っています。
縦横およそ71センチほどの大きさなので、持ってこられない事もないそうですが、貸し出すことは無いと考えられます。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

ラファエロ三大巨匠の中でもバランスの取れた人物です。
弟子を抱え、自ら大工房を経営し、多くの作品を制作しました。

レオナルドのようなこだわりの強いアーティスト気質でもなく、ミケランジェロのような超人的職人でもありません。

この《小椅子の聖母》でも《モナ・リザ》で見られたスフマート技法が使われてますが、レオナルドのように極端なものではありません。
丁度良い所を考え、納期に間に合うように描かれているのです。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

またラファエロはデッサン画が抜群に上手い事でも知られています。
それは現代の美術教育の現場でも、お手本になっているほどです。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

山田五郎さんは「ラファエロは子どもが可愛く描ける数少ないオールドマスター」だと言います。

この時代の西洋絵画の子どもと言えば、幼子イエス天使、あるいは王侯貴族の子どもでした。

と言うのも、ヨーロッパでは「子ども=大人未満の未完成な存在」としてその価値が認められておらず、一般の子どもが描かれるという事はほとんどなかったのです。

ですので、当時の画家の描く子供は可愛らしさよりも、威厳や賢さが分かるように描かれているのです。
そんな中でもラファエロの描く子供は、可愛らしさもありつつ威厳や賢さが伝わってくる絶妙なバランスで描かれているのです。

ラファエロレオナルドミケランジェロ、そしてその前の時代のボッティチェリ達の良い所を全て吸収した上で、それを沢山描くためのテクニックを確立した人なのです。

ですので、西洋の古典絵画といえばラファエロの名が挙げられるのです。

今回の記事は以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。

次のパート4ではルネサンスと同時代ネーデルラント、そしてドイツに美術について見ていきます。
こちら☚からご覧頂けます。

コメント

  1. […] 2020年7月14日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#352 ぶらぶらプロデュース!夢の特別展④~世界の美術館を旅しよう!山田五郎「もう絶対、日本に来ない名画」展~】の回をまとめました。 今回の記事はパート4になります。 前回のパート3はこちら☜からご覧いただけます。 […]

  2. […] 次のパート3では、ミケランジェロとラファエロについてまとめていきます。 こちら☚からご覧頂けます。 […]

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