【ぶらぶら美術・博物館】画家が見たこども展②【美術番組まとめ】

ぶらぶら美術・博物館

2020年7月21日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#353 三菱一号館美術館「画家が見たこども展」〜かわいいだけじゃない!不思議な世界 ゴッホ、ボナール、ヴァロットンら100点集結!〜】の回をまとめました。
今回の記事はパート2になります。
前回のパート1はこちら☚からご覧いただけます。

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

スポンサーリンク

ナビ派が描く子ども


《タリスマン(護符)》1888年
ポール・セリュジエ
オルセー美術館蔵
*「画家が見たこども展」の出展作品ではありません。

ヘブライ語で”預言者”という意味を持つ「ナビ派」。
その始まりはポール・セリュジエという画家がゴーガンに指導を受けた事でした。

こちらの《タリスマン(護符)》はナビ派を代表する作品です。
ポール・セリュジエゴーガンから学んだのは、「色や構図で目に見えるリアルさを再現するのではなく、心の内を表現する」という事でした。
その特徴としてナビ派の作品は三次元的な奥行きはなく、平面的な構成が用いられました。

また色に関しても、例えば森の場合、草木の実際の色を使うのではなくもっとその先にあるものを表現しました。
ある種スピリチュアルな要素、「自然をただ写すのではなく、感じるままに色を塗る」というのがナビ派の目指した表現だったのです。

ナビ派の画家には、ポール・セリュジエの他に、ピエール・ボナールモーリス・ドニエドゥアール・ヴュイヤール、後に彫刻家になるアリスティド・マイヨールなどがいました。

特にピエール・ボナールは”日本かぶれのナビ”と呼ばれるほど、かなりの日本美術好きで、浮世絵の構図なども作品に取り入れています。
まずはそんなボナールが描いたこどもの作品を見てみましょう。

《乳母たちの散歩、辻馬車の列》ボナール


《乳母たちの散歩、辻馬車の列》1897年
ピエール・ボナール
ル・カネ、ボナール美術館蔵

こちらの作品も日本の屏風を意識した作りになっています。
余白を存分に使っているのも、日本の「琳派」の影響を感じられます。

この作品ではパリのコンコルド広場を舞台に、独自の造形世界が描かれています。
画面上部には辻馬車が並び、その下には三人の乳母の姿が見えます。


お母さんと遊ぶ子どもと動物が描かれています。
子どもの髪型はなんとアフロヘアーです。

パンチが効いていて、面白いですね~(笑)


真ん中にはよく見ると白抜きで表現された子どもが見えます。
(靴の所のシルエットから見ると分かります)
これがボナールの上手い所なのです。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

色の抑え方や余白の取り方、白塗りの使い方などボナールのセンスが詰まった傑作です。

ナビ派の画家たちの”子どもの描き方”で革新的だったのは、子どもっぽい仕草を描いたことです。
本来こどもというのは、自分の好きなように動いて、好きなことをして、大人の言う事はおかまいなし!という無邪気さを持っていますが、それを存分に表現したのが特徴です。

《学童》ボナール


《学童》1900年
ピエール・ボナール
ル・カネ、ボナール美術館蔵
こちらも同じボナールの作品です。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

扉から出ていこうとしているのが学童(こども)で、右側に描かれいるのが母親(あるいは乳母)です。

母親と思しき女性は犬を連れて立っています。
極限まで単純化・デフォルメされて装飾的に描かれています。


学童はかなりお洒落な装いをしており、帽子にも羽が付いています。

まるでこっそりと出ていくかのような学童の姿。
ここにも”日本かぶれのナビ”と呼ばれたボナールならではの、浮世絵や北斎漫画の影響を感じられます。

もしかすると、こんなポーズが北斎漫画にあるのかもしれませんね。

《赤いスカーフの子ども》ヴュイヤール


《赤いスカーフの子ども》1891年頃
エドゥアール・ヴュイヤール
ワシントン・ナショナル・ギャラリー蔵

エドゥアール・ヴュイヤール(Édouard Vuillard、1868-1940)はボナールと並んでナビ派を牽引した画家です。

この《赤いスカーフの子ども》では写真のスナップショットのような、大胆なトリミングの構図が印象的です。
男性の首から下のみを描く事で、自然に女の子に視線が誘導されます。

画面全体が暗い色調の中で、女の子が明るく際立っています
なんともお洒落で可愛らしい装いです。

隣にいる男性は手も繋いでますし一見すると、「お父さんかな?」と思いますが、その割に女の子の服装との釣り合いが取れていないようにも見えます。

この服装の子のお父さんなら、ピシッと正装で決めていてもおかしくなさそうですよね。

もしかするとこの男性はお父さんではなく、使用人なのかもしれません。

ヴュイヤールボナールはこの作品のように”日常生活の一場面”を主題として取り上げる事が多く、ナビ派の中でもアンティミスト(親密派)と呼ばれていました。

今回の記事はここまでになります。
この続きはパート3にて。
こちら☚からご覧いただけます。

コメント

  1. […] 続くパート2ではいよいよナビ派の画家が描いたこどもたちの作品を見てまいります。 こちら☚からご覧いただけます。 […]

  2. […] 2020年7月21日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#353 三菱一号館美術館「画家が見たこども展」〜かわいいだけじゃない!不思議な世界 ゴッホ、ボナール、ヴァロットンら100点集結!〜】の回をまとめました。 今回の記事はパート3になります。 前回のパート2はこちら☚からご覧いただけます。 […]

タイトルとURLをコピーしました