【ぶらぶら美術・博物館】「法隆寺金堂壁画と百済観音」まとめ①

ぶらぶら美術・博物館

2020年4月28日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#346 東京国立博物館 特別展 「法隆寺 金堂壁画と百済観音」】の回をまとめました。

(*今回の記事では特別展「法隆寺 金堂壁画と百済観音」のみアップします。
番組内で取り上げた「体感!日本の伝統芸能」については割愛させて頂きます)

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

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特別展『法隆寺 金堂壁画と百済観音』

東京国立博物館の本館で行われる予定でした、特別展「法隆寺 金堂壁画と百済観音」。
残念ながら、展覧会は中止となってしまいました。

今回は公開される予定だった貴重な作品の数々をご紹介していきます

この特別展は、1950年に制定された「文化財保護法」の制定70周年の節目の年として企画された展覧会でした。
文化財保護法」が制定されるきっかけとなったのが、その前年(1949年)に起こった法隆寺金堂の火災でした。

この火災は早い段階で消し止められ、丸焼けこそ逃れられましたが、貴重な金堂壁画は焼損してしまいました。
しかし幸いなことに、焼損以前に多くの模写が描かれていたり、写真が撮られていましたので、そこから焼損以前の状態を知る事ができました。

この展覧会では、その壁画の優れた模写焼損後に再現された壁画、さらには国宝百済観音》(23年ぶりの東京での公開)をはじめとする金堂に関連する仏像が展示され、法隆寺金堂の世界を体感できるのと合わせて、文化財保護の大切さが分かる内容となっていました。

法隆寺金堂模型

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

法隆寺の本堂にあたる金堂は、世界最古の木造建築といわれます。
こちらの模型は、昭和9年から60年にかけて約50年行われた「昭和の大修理」の際に作られた模型です。
焼損前の金堂の断面を再現しています。

一階中央部分が本尊が安置される場所で、大きな厨子のような形で守られており、その周囲に廻廊があります。

金堂は外側から見ますと2階建てに見えますが、この模型からも分かるように2階部分は形だけで歩けるようなスペースはないのです。

法隆寺の伽藍が整備されたのは、670年以降と言われています。
670年に火災で全焼したという記録が日本書紀に残されており、その直後に再建が始まったと考えられるため、670年以降とされています。

しかし調査の結果、この金堂の部材には670年以前のものがあるのが分かっています。
なので少なくとも、今日で1300年以上の歴史がある、という事になります。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

金堂中央の一段上がった所に、本尊であり国宝の《釈迦三尊像》など仏像群が鎮座しています。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

法隆寺金堂を上から見た図がこちらになります。
上の図からも分かるように、ご本尊の周りを廻廊が囲み、さらにその壁に仏教絵画が描かれています。

東側の第一号壁から全部で12面で金堂壁画は構成されています。

1949年に起こった火災の際には、金堂は解体修理中でした。
二階から上の部分は別の場所に移されており、また中央の仏像群も他に場所に移されていたので、それらは火災の被害から逃れる事ができたのです。

しかし残念ながら、金堂の太い柱と壁画が焼損してしまったのです。

それでは続いて火災が発生する直前まで描かれていた模写と、火災後に再現された模写作品を紹介していきます。

祐参筆《阿弥陀浄土図》

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

今回の展覧会「法隆寺 金堂壁画と百済観音」では、実際には入る事のできない金堂内部を再現するように、一つの展示スペースの周囲を壁画の模写で囲っています。

まず初めにその中でも、最も古い壁画模写の作品をご紹介します。


《阿弥陀浄土図》1852(嘉永5)年
祐参
山梨、放光寺

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

かなりカラフルな作品ですね。

こちらは模写というよりも、模写をベースに新たに制作された仏画です。
時期は江戸時代の終わり頃になります。

金堂壁画の第六号壁の『阿弥陀浄土図』の基にしています。
描かれている仏様は左から順に、勢至菩薩阿弥陀如来観音菩薩です。

幕末から明治初期の浄土宗の僧侶であり、仏教史家の養鸕徹定(うがいてつじょう)という人物が、研究のために地方を巡っていました。
その際に法隆寺金堂内部を特別に見せてもらい、壁画の素晴らしさに感動し、「模写を作成し人々に広める事」が大事だと考えました。

こうして同行していた弟子の祐参(ゆうさん)が、絵の模写をする事になりました。
その出来上がった模写を下絵にして、新たにこの三幅一対の作品に仕上げたのです。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

現在この作品は山梨県の法光寺(ほうこうじ)というお寺が所蔵しています。
同地出身で江戸幕府の幕臣でもあった真下晩菘(ましもばんすう)が、その法光寺に羅漢図を奉納します。
それを耳にした養鸕徹定が、その信仰心を讃えて、この《阿弥陀浄土図》を寄贈したというのが法光寺に収蔵されるようになった経緯です。

パート1は一旦ここまでです。
パート2へと続きます。
こちら☚からご覧いただけます。)

コメント

  1. […] 2020年4月28日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#346 東京国立博物館 特別展 「法隆寺 金堂壁画と百済観音」】の回をまとめました。 こちらの記事はパート2になります。 前回のパート1はこちら☚からご覧いただけます。 […]

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