【おススメの展覧会!】ブダペスト展・パート2〈気になった作品ベスト10!〉

2020年

前回からの続きで、今回も「ブダペスト展」の記事を書いていきます。
ここでは僕が気になった作品を10作品取り上げて、感想や解説を書いていきます。

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「ブダペスト展」で気になった作品ベスト10

《聖トマス》ジュゼペ・デ・リベーラ


《聖トマス》1609-1610年
ジュゼペ・デ・リベーラ
ブダペスト国立西洋美術館蔵

わたくしが好きなスペインの画家、ジュゼペ・デ・リベーラ(1591~1652)の作品です。
リベーラの作品との出会いは、2018年の「プラド美術館展」でした。
リベーラは肖像画を数多く描きましたが、彼の持ち味は絵の細部まで(肖像画に直接関係のない所まで)丁寧に描かれているところです。

この作品でも画面の下部の「S. THOMAS」の部分ががかなり凝って描かれています


《哲学者クラテース》1636年
ジュゼペ・デ・リベーラ
上野・国立西洋美術館蔵
こちらは上野の国立西洋美術館の常設展にあるリベーラの作品です。
この作品でも哲学者が手にする書物が、文字さえも読めてしまいそうなほど緻密に描かれています。
対象の表情や動きも見事ですが、描かれている細部にも気を配り、画面全体として肖像の印象を伝えるような彼の作品が僕はすごく好きですね。

《果物、魚介、高価な食器のある静物》アブラハム・ファン・ベイエレン


《果物、魚介、高価な食器のある静物》1654年
アブラハム・ファン・ベイエレン
ブダペスト国立西洋美術館蔵

これはうまいなぁと思いましたね。
タイトルにもある果物・魚介・食器がそれぞれの描き分けられており、そのそれぞれがすごくリアルです。
特にガラスの質感の表現は、写真かと思うほど見事でした。

静物画というジャンルは17世紀のオランダで花開きました。
当時の絵画のジャンルにはヒエラルキー(序列)があり、静物画は下位に位置付けられていました。
宗教画や神話画はそれを理解する知力が求められましたが、静物画は技量さえあれば誰でも描けると思われていたのです。
けれども中産階級や収集家の間で人気となり、静物画を専門とする画家も出始めました。

作者のアブラハム・ファン・ベイエレンオランダ・ハーグの出身で、数多くの優れた静物画を残しました。

《風景の中の花束》マティアス・ウィトースに帰属


《風景のなかの花束》1670年代(?)
マティアス・ウィトースに帰属
ブダペスト国立西洋美術館蔵

綺麗な花束が置かれています。
でも、なんだかすごく意味深です。

画面中央の花束に一番に目が行くこの作品。
そこに光があたり一見すると美しい作品に見えますが、周りの草木は暗く、後方には棺が置かれています。
さらに画面の奥には街が見えますが、その上空にも徐々に暗雲が迫ってきています。

まるで花束のような綺麗な瞬間はほんの少しで、草木のようにいずれは枯れてしまう。
暗雲が迫れば太陽は見えなくなり、暗くなる。
そして最後には「死」が待っている。
といった「人生の虚しさ(=ヴァニタス)」を表現している作品だと僕は感じました。

作者のマティアス・ウィトース(1627~1703)は、静物画の他にも風景画や肖像画を描きました。
オランダのアメルスフォールトに生まれたのち、21歳でイタリアに渡りました。
以後、アメルスフォールトに戻るも、この街がフランス軍に占領されてからは、北のホールンという所で残りの生涯を過ごしました。

《お茶を入れる召使い》フェリーチェ・スキアヴォーニ


《お茶を入れる召使い》19世紀中頃
フェリーチェ・スキアヴォーニ
ブダペスト国立西洋美術館蔵

第一印象は「フェルメールみたい!」でした。
画面左側からの柔らかい光、そこでお茶を入れる女性。

まさにフェルメール!

立っている女性の姿も美しいですし、彼女の後ろの板は黒板でしょうか?
それが女性の上半身とぴったり重なり、そこだけ見ると彼女の単独の肖像画にも見えます。

描いたのは、フェリーチェ・スキアヴォーニ。

《小さな宝石箱》ヨハン・バプティスト・ライター


《小さな宝石箱》1850年
ヨハン・バプティスト・ライター
ブダペスト国立西洋美術館蔵
この作品を目の前にした時、なぜか涙がでそうになりました。
それくらい美しかったです。

《漁師たち》マルコー・カーロイ(父)


《漁師たち》1851年
マルコー・カーロイ(父)
ブダペスト、ハンガリー・ナショナル・ギャラリー蔵

 

《紫のドレスの婦人》シニェイ・メルシェ・パール


《紫のドレスの婦人》1874年
シニェイ・メルシェ・パール
ブダペスト、ハンガリー・ナショナル・ギャラリー蔵

今回のメインビジュアルにもなっている作品ですね。
僕はこの作品が見たくて、「ブダペスト展」に足を運びましたが、期待を裏切らない素晴らしい作品でした。

近くで見て絵のタッチを楽しむのも良いですし、うんと壁側まで離れて見ると近くで見た時よりもドレスの質感がはっきりと分かります。手触りまで伝わるようです。

ドレスの女性に目が行きますが、それ以外にも鑑賞する部分が沢山あります。
澄み渡る青空を見ても綺麗ですし、青々とした草原とそこに咲く花を見ても良し、土のタッチを見るもよし。

どこを見ても飽きない、いやずっと見ていたいとさえ思える作品でした。
さすがはハンガリーの「モナ・リザ」と称されるだけのことはあります。

《オンディーヌ》ジュール・ジョゼフ・ルフェーヴル

*画像は現在準備中です*

《母性》ウジェーヌ・カリエール


《母性》1890-1900年頃
ウジェーヌ・カリエール
ブダペスト国立西洋美術館蔵

 

《白い水玉のドレスの女性》リップル=ローナイ・ヨージェフ


《白い水玉ドレスの女性》1889年
リップル=ローナイ・ヨージェフ
ハンガリー・ナショナル・ギャラリー蔵

ハンガリー人の画家のリップル=ローナイの作品です。
彼は1887年から1900年にかけてパリで暮らし、他の画家たちと共存関係を結びながら活動をしました。
また、パリ時代の初期にはムンカーチ・ミハーイの助手として働いていた事もあります。

僕はこの作品を目にした時「クリムトかな?」と思いました。
縦長の構図にいる女性といい、扇子に見られる日本要素、洒落たデザインの洋服などどことなくクリムト感があるなと思いました。
調べてみた所、クリムトとの接点はどうやらないようですが・・・
あと個人的にはこのドットのドレスがかわいいな、と思いました。

今回の「ブダペスト展」ではもう一つ彼の作品《赤ワインを飲む私の父とピアチュク伯父さん》という作品が出展されています。
こちらもなかなか味のある良い作品でした。

コメント

  1. […] よろしければ是非パート2もお付き合いください♪ 【おススメの展覧会!】ブダペスト展・パート2〈気になった作品ベスト1… […]

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