【ぶら美10周年SP】2020年4月の企画展【MOA美術館②】

ぶらぶら美術・博物館

2020年4月14日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#344 祝!10周年スペシャル 春の熱海アートツアー①〜パワースポット・來宮神社とMOA美術館 国宝「紅白梅図屏風」〜】の回をまとめました。
今回の記事はパート3になります。
前回のパート2はこちら☚からご覧いただけます。

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

今回はMOA美術館で2020年4月まで開催されていました2つの展覧会「歌川広重 東海道五十三次」と「特集陳列 人間国宝 奥山峰石の仕事 一代一職」の作品についてまとめていきます。

スポンサーリンク

企画展「歌川広重 東海道五十三次」

まず初めに2020年3月から4月まで開催された企画展「歌川広重 東海道五十三次」の展示作品をご紹介していきます。
この展覧会ではMOA美術館が所蔵する「東海道五十三次」全55枚が一挙に公開されました。

東海道五十三次」にはいくつかバージョンがあり、その中でも一番最初の”保永堂版(ほえいどうばん)”が展示されていました。
その他のバージョンには「行書版」や「隷書版(れいしょばん)」があり、同じ宿場の絵でもそれぞれが違う絵になっています
その中でも「保永堂版」が一番有名で、私たちの良く知っている”東海道五十三次”なのです。

『日本橋』

こちらはスタート地点の日本橋です。
「東海道五十三次」なのに全部で55枚存在するのは、このスタート地点の”日本橋”とゴールの京都”三条大橋”が含まれているからです。

今回はその55枚の中から何点かピックアップしてご紹介していきます。

この『日本橋』では大名行列の出発(スタート地点)が描かれています。
背景には朝焼けが描かれており、時間にして朝4時頃です。

朝4時に出発しなきゃいけないなんて大変ですね~

『品川』

そして最初の宿場が品川になります。
描かれているのは今の八ツ山橋付近です。

『日本橋』では大名行列の一番先頭の人が描かれていましたが、今回は行列の一番最後の人が描かれています。
また時間の経過もリンクしており、4時頃に日本橋を出て、日の出の頃に品川まで行けるのが分かります。
(6キロの道を2時間ほどかけて進みました)

『箱根』

「東海道五十三次」の中でも傑作の呼び声の高い『箱根』です。
箱根の山の高さを表すための岩の表現が見事です。

大名行列が山を登っていく姿もちゃんと描かれています。

海の向こう側には富士山も見え、壮大な風景が広がっています。
実際には箱根のどこを探しても、このような風景は存在しないので、広重が想像で描いた心象風景という事でしょう。

MOA美術館の内田館長によると、この岩のデフォルメされた表現は抽象表現を先取りしているのではないか、との事。
西洋美術において抽象絵画が出てくるのが1910年前後ですが、それよりも80年前の1830年代にすでに広重が抽象表現に取り組んでいた事を示しています。

『京師』

そしてこちらが「東海道五十三次」のラスト京都の三条大橋です。
画面を大きく横切るような大胆な構図で三条大橋が描かれ、その向こうに東山が描かれています。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

山の中腹には八坂の塔と清水寺が描かれています。
広重は京都に行ったわけではないので、実際の位置関係とは異なります。
当時の「東海道名所図絵」などを参考にして描かれたと考えられます。

細かく描かれている人物を見ていくと発見があるのも「東海道五十三次」の魅力の一つです。

企画展「特集陳列 人間国宝 奥山峰石の仕事 一代一職」

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

奥山峰石氏(おくやまほうせき、1937~)は東京都出身の金工家です。
木づちや金槌で金物を叩いて器を造る鍛金(たんきん)を手掛けています。
1995年に人間国宝に認定をされました。

今回の企画展では、代表的な作品8点が展示されていました。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

こちらの「枝垂桜(しだれざくら)」は、奥山氏が枝垂桜の作品を作りたいと思い、京都まで足を運んで写真を撮るなどしてモチーフの材料を集めたといいます。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

こちらは元々一枚の銀の板(幅約50センチ、厚さ1.2ミリ)を叩いていく事で、その形を作っていきます。

ここからあんな丸い形の器になるなんてすごいですね!

ひたすらその銀の板を叩き続けて、この形になっていきます。
製作期間はおよそ半年だと言います。

奥山氏曰く、作品が完成してこのように個展が開催されると嬉しい反面、一点一点自分の作品を見ると制作の苦労が思い出され疲れてしまうとの事でした。

それだけ生みの苦しみがあるという事なんですね。

いかがでしたでしょうか。
今回のパート3はここまでです。
続くパート4がMOA美術館特集のラスト!
最後はMOA美術館の至宝、尾形光琳国宝紅白梅図屏風》、そして重要文化財の《阿弥陀如来及両脇侍坐像》についてまとめていきます。
こちら☚からご覧いただけます。

コメント

  1. […] パート2は一旦ここまでです。 続くパート3では2020年の3月から4月にかけて行われた企画展「歌川広重 東海道五十三次」についてご紹介していきます。 こちら☚からご覧いただけます。 […]

  2. […] 2020年4月28日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#344 祝!10周年スペシャル 春の熱海アートツアー①〜パワースポット・來宮神社とMOA美術館 国宝「紅白梅図屏風」〜】の回をまとめました。 今回の記事はパート4になります。 前回のパート3はこちら☚からご覧いただけます。 […]

タイトルとURLをコピーしました