【ぶら美10周年SP】仁清の国宝・黄金の茶室【MOA美術館①】

ぶらぶら美術・博物館

2020年4月14日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#344 祝!10周年スペシャル 春の熱海アートツアー①〜パワースポット・來宮神社とMOA美術館 国宝「紅白梅図屏風」〜】の回をまとめました。
今回の記事はパート2になります。
前回のパート1はこちら☚からご覧いただけます。

番組内容に沿って、それだけでなく+α(美術検定で得た知識など)をベースに、自分へのメモとして記事を書いていこうと思います。
見逃した方やもう一度内容を確認されたい方は是非ご覧になって下さい(^^♪

今回はMOA美術館の収蔵作品の中から国宝色絵藤花文茶壺》と再現された「黄金の茶室」についてまとめていきます。

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こだわりの展示スペース

MOA美術館の収蔵作品を見ていく前に、展示スペースのこだわりポイントをご紹介していきます。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

こちらの展示室に向かう廊下の床ですが、なんとこちら「」が使われています。
それも奈良の東大寺の瓦を焼いた職人の手によるものだそうで、細部からもこだわりが感じられます。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

続いてこちらが展示スペースです。
右側が展示スペースですが、まるでガラスがないように見えます。
(本当はあるんですよ)
低反射ガラスを使っているのと、これにはもう一つ秘密があります。

それが左側の壁です。
こちらは黒漆喰で作られた壁になっています。
この壁をガラスの正面に置くことで、ガラスの反射がなくなるのです。

僕も実際に見に行きましたが、透明すぎてうっかり頭が当たってしまいました(笑)

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

この黒漆喰の壁はただ反射を防ぐだけの目的ではなく、じつは箱のような展示スペースになっているのです。

そこに展示されているのが、MOA美術館が誇る国宝の一つ《色絵藤花文茶壺》です。

《色絵藤花文茶壺》野々村仁清


国宝《色絵藤花文茶壺》
野々村仁清
江戸時代(17世紀)
MOA美術館蔵
撮影:masaya(2018年2月)

作品の読み方は「いろえふじはなもんちゃつぼ」です。

このような焼き物や陶磁器が展示される際は、釣り糸のようなもので固定されているのを美術館でよく目にすると思います。
しかしこちらの《色絵藤花文茶壺》にはそれがありません。
そのままの状態で展示されているのです。

国宝なのに⁉倒れちゃわないの?

じつは展示している台に秘密があります。
免震台と呼ばれる台が使われており、もし地震が来た時にはこの台も一緒に揺れるようになっており、それにより地震の影響を受けない造りになっているのです。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

黒く見えている花の部分は元々は銀色でした。
銀が経年の酸化により、黒色に変色しているのです。

赤い花の周りには金彩で縁取りがされています。
葉の緑色も爽やかな色彩になっています。


国宝《色絵雉香炉》17世紀
野々村仁清
石川県立美術館蔵

こちらは石川県立美術館が所蔵する、国宝色絵雉香炉(いろえきじこうろ)》です。
野々村仁清国宝は《色絵藤花文茶壺》と《色絵雉香炉》の2点になります。

野々村仁清(生没年不詳)は江戸時代前期に京都で活躍した陶工です。
この当時、京焼の色というのは「たまたま焼いたらこうなりました!」というくらいでした。
そこで仁清は、計算して色を出せるように研究をし京焼の色絵の完成者として評価されています。


また”立体に絵を描く”という技術も極めました。
この《色絵藤花文茶壺》では、作品をどこから見ても絵付けに破綻がありません。
まさに「どこから見ても正面」といえる一品なのです。

黄金の茶室

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

MOA美術館には展示室に行く途中に見逃せない展示スポットがあります。
それがこちらの復元された「黄金の茶室」です。
壁から柱から天井、障子にいたるまで全て本物の金で再現されています。
(ちなみに茶室内に入る事はできません)

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

茶道具ももちろん金です。
千利休の唐金の茶道具と台子を純金で復元しています。
茶道具だけでおよそ50キロ、外側を入れた全体で80キロの純金が使われています。
(山田五郎氏の計算だと総額は4億円を超えるとか!)

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

この茶室は1586年の正月、豊臣秀吉が関白になったお礼として、時の天皇の正親町天皇(おおぎまちてんのう)に茶を献じるために金の茶室を京都御所内に運びました。
このMOA美術館はその時の茶室の様子を再現しており、茶室の外側も作られているのです。

どうして美術館の中に茶室があるでしょうか?

これはMOA美術館の初代館長である吉岡庸治(よしおかようじ)氏が長年温めていた構想でした。
この「黄金の茶室」と庭園にある「光琳屋敷」は、昔からその存在は知られていましたが、実際に建ててみないとその全貌は分からないという事で、美術館内に作られる事になったのです。

画像出展元:テレビ番組「ぶらぶら美術・博物館」より

茶室内は扉を閉めると、わび茶室の感じになっているといいます。
扉を開けた状態と印象が変わるのが分かります。

パート2は一旦ここまでです。
続くパート3では2020年の3月から4月にかけて行われた企画展「歌川広重 東海道五十三次」についてご紹介していきます。
こちら☚からご覧いただけます。

コメント

  1. […] パート1は一旦ここまでです。 つづくパート2では、MOA美術館の所蔵作品についてまとめていきます。 こちら☚からご覧いただけます。 […]

  2. […] 2020年4月28日にBS日テレにて放送された「ぶらぶら美術・博物館」の【#344 祝!10周年スペシャル 春の熱海アートツアー①〜パワースポット・來宮神社とMOA美術館 国宝「紅白梅図屏風」〜】の回をまとめました。 今回の記事はパート3になります。 前回のパート2はこちら☚からご覧いただけます。 […]

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